【獣医師監修】犬が下痢をする原因とは?種類・病院に行く目安・自宅での対処法を解説

2026.06.16
【獣医師監修】犬が下痢をする原因とは?種類・病院に行く目安・自宅での対処法を解説

犬の下痢は、多くの飼い主が一度は経験する身近な症状です。しかし、「すぐ病院に行くべきか」「様子を見ても大丈夫なのか」と判断に迷うことも少なくありません。下痢の原因は食事の変化やストレスといった一時的なものから、感染症や病気まで多岐にわたります。


本記事では、犬が下痢をする主な原因や便の種類ごとの特徴、受診の目安、自宅でできる対処法について詳しく解説します。正しい知識を身につけることで、愛犬の体調変化にいち早く気づき、適切に対応できるようにしましょう。

目次

 

犬が下痢をする主な原因
 

犬の下痢は、日常的なちょっとした変化から病気まで、さまざまな要因によって引き起こされます。一時的なもので自然に回復するケースもありますが、中には早めの対応が必要な場合もあります。原因を正しく理解し、適切に対処することが大切です。


ここでは、犬が下痢をする主な原因について解説します。

食事の変化や食べ過ぎ

フードの急な変更や食べ過ぎは、消化不良を起こし下痢の原因になることがあります。特に新しいフードに切り替える際は、腸内環境が追いつかず便が緩くなることがあります。


また、人の食べ物や脂っこい食事も消化に負担をかけ、下痢を引き起こす要因となる可能性があります。フードを変更する場合は、腸内環境(腸内細菌)の適応速度を踏まえて数日〜1週間ほどかけて徐々に切り替えることが重要です。

ストレスや環境の変化

引っ越しや旅行、来客などの環境変化は犬にとって大きなストレスとなり、下痢を引き起こすことがあります。留守番の増加や生活リズムの変化も影響することがあります。


こうしたストレス性の下痢は一時的なことが多く、環境に慣れることで自然に改善するケースも見られます。

寄生虫・細菌・ウイルス感染

回虫やジアルジアなどの寄生虫感染は、下痢の代表的な原因のひとつです。また、細菌やウイルスによる腸炎でも下痢が起こります。


特に子犬は免疫力が未熟なため、感染症による下痢に注意が必要です。症状が強い場合や元気がない場合は、早めに動物病院での検査が必要です。

誤飲や中毒

おもちゃや布などの異物を誤って飲み込むことで、消化管に負担がかかり下痢を引き起こすことがあります。


また、チョコレートや玉ねぎなど犬にとって有害な食品を摂取した場合、中毒症状として下痢や嘔吐が見られることがあります。誤飲が疑われる場合は速やかな対応が必要です。

病気(膵炎・食物アレルギー・腫瘍・内分泌疾患など)

腸炎や膵炎などの消化器系の病気でも下痢が見られます。また、内分泌疾患などの全身疾患が原因となることもあります。下痢は様々な病気で症状の一つとしてみられることがありますので、下痢以外の症状が内かどうか注意深く観察し、消化器疾患以外の病気の可能性についても注意していきましょう。


慢性的に下痢が続く場合や、元気がない・食欲がないなどの下痢以外にも症状がある場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。

 

犬の下痢の種類

 

犬の下痢の種類

 

犬の下痢は、便の状態によって体調のサインを読み取れることがあります。色や形、硬さの違い、便に異物が含まれていないかなど、日頃から便の状態を観察し、変化に気づくことが健康管理につながります。

ここでは、犬の下痢の種類について解説します。

軽度軟便

やや柔らかいものの形は保たれている便で、一時的な消化不良や食事内容の変化によって起こることが多い状態です。


環境の変化や軽いストレスでも見られることがありますが、元気や食欲に問題がなければ、すぐに受診せず様子を見ることも可能です。ただし、数日以上続く場合は注意が必要です。

重度軟便

形が崩れている状態の便で、腸内環境の乱れや軽度の炎症が関与している可能性があります。食事内容の影響だけでなく、細菌バランスの変化なども原因となることがあります。

短期間で改善することもありますが、繰り返す場合や他の症状が見られる場合は、早めの対応が望まれます。

水様性下痢

ほぼ水のような状態の便で、「腸の水分吸収がうまく行われていない」あるいは「水分が腸内に大量に出てしまう」状態です。急激に水分が失われるため、脱水症状のリスクが高まります。

特に子犬や高齢犬では体力低下につながる恐れがあるため注意が必要です。長く続く場合や元気がない場合は、早めに受診を検討しましょう。

血便・黒色便

便に血が混ざる状態で、腸の粘膜に炎症や傷があり出血している可能性が考えられます。出血部位が肛門に近い大腸などの下部消化管の場合は血液の色がそのまま認められ血便となり、出血部位が小腸などの上部消化管の場合は血液が消化管を通過中に黒っぽくなるため黒色便となります。


細菌感染や寄生虫、ストレス性の腸炎や腫瘍など原因はさまざまですが、

少量であっても繰り返す場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。

粘膜便(ゼリー状の便)

便の表面や内部にゼリー状の粘液が混ざる状態で、大腸に炎症がある際に見られることがあります。ストレスや食事の変化でも起こることがありますが、腸炎が関与しているケースもあるため注意が必要です。


一時的であれば問題ない場合もありますが、繰り返す場合や他の症状を伴う場合は受診を検討しましょう。

白色便

白っぽい便は、胆汁の分泌異常や脂肪の消化不良が関係している可能性があります。通常の便の色と明らかに異なるため、体内の消化・吸収機能に異常があるサインと考えられます。


単発であれば様子を見ることもありますが、継続して見られる場合は早めの受診が推奨されます。

 

犬の下痢はどの程度で動物病院に行くべき?

 

犬の下痢は一時的な体調不良で起こることもあれば、病気のサインである場合もあります。そのため、「どの程度で受診すべきか」は症状の重さや継続期間、全身状態を総合的に見て判断することが重要です。


軽度であれば様子を見ることも可能ですが、異変が重なる場合は早めの受診が安心につながります。

ここでは、犬の下痢はどの程度で動物病院に行くべきか解説します。

緊急性の高いサイン

次のような症状が見られる場合は、早急に動物病院を受診することが推奨されます。単なる下痢ではなく、体に大きな負担がかかっている可能性があります。


まず、食欲や元気がなくぐったりしている状態は、体力の低下や重篤な疾患のサインであることがあります。水のような下痢が何度も繰り返される場合は脱水のリスクが高く、特に子犬や高齢犬では低血糖や脱水のリスクが高いため注意が必要です。さらに、嘔吐を伴う場合は消化器全体、さらには他の臓器にトラブルが起きている可能性があります。


また、血便や黒っぽい便が見られる場合は、腸や消化管からの出血が疑われます。さらに、体重が減少している場合は慢性的な疾患の可能性も考えられます。加えて、2~3日以上下痢が続いている場合は自然回復が難しいケースも多く、早めの診察が望まれます。

緊急性の低いサイン

一方で、比較的軽度と考えられるケースもあります。例えば、下痢の回数が1~2回と少なく、便の状態も軽度の軟便にとどまっている場合です。また、血便や嘔吐がなく、元気や食欲が普段と変わらない場合は、急を要しないことが多いとされています。


このような場合は、食事内容を見直したり安静に過ごさせることで改善することもあります。ただし、軽度に見えても症状が長引いたり悪化する場合は、早めに動物病院へ相談することが大切です。

 

犬が下痢をしたときの自宅での対処法

 

犬の下痢が軽度で、元気や食欲が保たれている場合は、自宅でのケアによって改善することもあります。ただし、症状の変化をよく観察しながら対応することが重要です。無理に食事を与えたり放置したりせず、体への負担を減らすケアを心がけましょう。


ここでは、犬が下痢をしたときの自宅での対処法について解説します。

こまめに水分補給させる

下痢の際は体内の水分が失われやすいため、脱水予防として水分補給が非常に重要です。新鮮な水をいつでも飲めるように用意し、こまめに様子を確認しましょう。


自力で水を飲めない場合や、飲んでもすぐに吐いてしまう場合は、脱水が進行する可能性があるため早めの受診を検討する必要があります。

消化のいい食事を与える

消化に負担をかけない食事を選ぶことも大切です。消化の良いフードや療法食を少量ずつ与えることで、腸への負担を軽減できます。脂っこい食事や刺激の強いものは症状を悪化させる可能性があるため避けましょう。

また、必要に応じて腸内環境を整える目的でプレバイオティクスやプロバイオティクスを含むサプリメントなどを取り入れる方法もありますが、使用については獣医師に相談するのが安心です。

 

 

犬の下痢についてよくある質問

 

犬の下痢についてよくある質問

 

犬の下痢に関しては、「どのくらい様子を見てよいのか」「受診のタイミングはいつか」など、不安を感じる飼い主も多いものです。

ここでは、よくある疑問について分かりやすく回答します。

何日続くと危ない?

犬の下痢は一時的なものであれば自然に改善することもありますが、一般的には2〜3日以上続く場合は注意が必要とされています。


特に、水様性の下痢が続く場合や回数が多い場合は、脱水や体力低下のリスクが高まります。また、嘔吐や元気消失、血便などの症状を伴う場合は、期間に関わらず早めの受診が望まれます。

元気がある場合も動物病院に行くべき?

元気や食欲が普段通りであれば、軽度の下痢として様子を見ることができるケースもあります。

ただし、下痢が繰り返される場合や数日以上続く場合は、見た目が軽そうでも体内で異常が起きている可能性があります。

便の状態や回数をよく観察し、少しでも違和感があれば受診を検討することが大切です。

食欲がある場合は様子見で良い?

食欲がある場合は重症ではない可能性もありますが、それだけで安心はできません。軽い軟便であれば様子見も可能ですが、水様性の下痢や頻度が多い場合は注意が必要です。


また、症状が長引く場合や悪化する場合は、食欲があっても受診が推奨されます。判断に迷う場合や不安がある場合は、早めに動物病院へ相談することが安心です。

 

まとめ 犬の下痢は観察が大切

 

犬の下痢は一時的な体調変化で起こることもありますが、症状の出方や継続期間によっては病気のサインである可能性もあります。特に、元気や食欲の低下、嘔吐や血便を伴う場合は早めの受診が重要です。


また、軽度であっても便の状態や回数、体調の変化を日頃から観察することが、早期発見につながります。自宅での適切なケアを行いつつ、少しでも異変を感じた場合は無理に様子を見続けず、動物病院へ相談することが安心です。


愛犬の健康を守るためにも、「いつもと違う」に気づけるようにしましょう。

監修者プロフィール

岩谷 直(イワタニ ナオ)

経歴:北里大学卒業。大学研修医や企業病院での院長、製薬会社の開発や学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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