猫の尿路結石の原因や治療方法は? 手術が必要?

2023.02.11
猫の尿路結石の原因や治療方法は? 手術が必要?

猫には、腎臓や膀胱など、尿に関わる器官の病気がよく見られます。尿路結石もそのひとつ。尿路というのは、腎臓から尿管、膀胱、尿道という尿の通り道をひとくくりにした呼び方で、そのどこかに結石ができる病気が尿路結石です。愛猫を病気から守るためにも、尿路結石の原因や治療方法について理解を深めておきましょう。こちらの記事で解説します。


目次

猫の尿路結石とは?


猫の尿路結石は、冒頭でも触れたように、腎臓で作られた尿が、尿管を通って膀胱にたまり、尿道を通って排せつされるまでのどこかの器官に結石ができてしまう病気です。


尿は液体ですが、結石は文字通り石のような固体。大きさは砂粒状のものから数センチというものまで大小さまざまですが、結石ができると、尿管や膀胱、尿道などを傷つけたり、詰まらせたりするというのが大きな問題です。


結石には、その構成要素によりいくつかの種類があります。代表的なのは「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム」です。ストルバイトは「ストルバイト結晶」と呼ばれる結晶が集まってできた白い結石です。構成成分は、マグネシウム、アンモニア、リン酸です。シュウ酸カルシウムは「シュウ酸カルシウム結晶」が集まってできた茶色の結石で、おもな構成成分はカルシウムです。


ちなみに、尿路結石はオス猫、メス猫、どちらにも見られる症状で、発症に関して性別による大きな違いはありません。ただし、オス猫とメス猫では、尿道の構造に違いがあります。オス猫は、尿の出口につながる尿道が長く、なおかつカーブしているのが特徴です。一方のメス猫の尿道はオス猫ほど長くはなく、カーブもしていません。そのため、尿道に関していうと、オス猫は結石が詰まりやすい傾向にあります。



猫の尿路結石の原因


猫の尿路結石の原因は、尿がアルカリ性に傾いたり、尿中のミネラル成分が増えてしまうためです。


ではなぜ、尿にそのような変化が起こるのでしょうか。その原因はさまざまですが、尿路や膀胱の炎症、食事でマグネシウムやリンを摂りすぎること、細菌感染などが挙げられます。シュウ酸カルシウム結石のおもな構成成分はカルシウムですが、カルシウムの摂取に関しては、尿のアルカリ化との関連性は低いといわれています。


そのほか、肥満や運動不足、食事内容の偏り、水をあまり飲まないという猫の性質、遺伝、ストレスも要因と考えられているので、覚えておいてください。



猫の尿路結石は手術が必要?


人間の場合、大きくなりすぎた結石は手術で取り出すなどの処置が必要ですが、猫の場合はどうなのでしょうか。


結石が尿路のどこかに詰まってしまって動かない場合など、手術が必要となるケースもありますが、手術をせずに食事管理や投薬でよくなるケースもあります。治療方法については次の項目で詳しく説明しますが、手術は愛猫の体にも大きな負担がかかるもの。回避するためには、早期発見と治療がとても大切です。



猫の尿路結石の治療方法


猫が尿路結石になったときには、次のいずれかの方法、または複数を組み合わせた治療が行われます。


食事療法

食事療法は、結石が生じやすいミネラル成分を調整した食事を与えるなどして、結石を溶かしたり、結石ができにくくしたりする治療法です。


投薬

炎症や細菌感染が見られる場合は、抗炎症剤や抗生物質などを投与して症状を取り除いていきます。


手術

大きくなりすぎた結石や、尿路がふさいで重篤な症状に陥ることが懸念される結石は、手術により取り除くことになります。


ほかにも、尿道からカテーテルを挿入して尿道の詰まりを取って膀胱内を洗浄する処置、オス猫が再発を繰り返す場合は尿道を短くするといった処置も行なわれることがあります。



猫の尿路結石の予防方法


猫の尿路結石は、再発しやすい病気だとされています。場合によっては重篤な症状につながることがあるので、ぜひとも予防を心がけていきましょう。


予防法のひとつは、水をたくさん飲めるように工夫をすることです。水飲み場を増やしたり、水がたっぷり入る器を用意したりしてみましょう。水をしっかり飲むことは、尿の成分のバランスを整えることにつながります。


また、今のトイレは愛猫にとって使いやすいか、いつも清潔が保たれているか、ぜひ見直してみてください。トイレを我慢すると尿のpHバランスが崩れるなどして結石ができやすくなることがあります。


肥満が尿路結石の原因となる可能性もあるため、食事は適量を意識して与えるようにしましょう。また、ミネラルバランスに配慮した食事に変更することも予防につながります。愛猫に合ったものを選ぶためにも、まずは獣医師に相談してみてください。



猫の尿路結石は、早めに発見し、まだ小さなうちに治療してしまうことが大切です。そのためにも、予防を心がけていきましょう。早期発見のためには、定期的な健康診断での尿検査や血液検査も役に立ちます。

また、猫は膀胱炎を発症することも多く、尿路結石とも関連があります。ぜひ「猫の膀胱炎はどんな症状? 原因や予防・治療法など」にも目を通してみてくださいね。


 

監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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