犬のごはんにベストな時間は何時?獣医師が朝・昼・夜の最適なタイミングと健康管理を解説

「犬のごはんを与えるのに最適な時間はいつなのか?」「食事の時間は固定すべきか?」といった疑問を持つ飼い主の方は多いでしょう。犬の食事時間は、ライフステージや生活リズムによって適切なタイミングが異なります。
特に子犬や老犬は成犬とは違う注意点があり、消化の負担を軽減する工夫も必要です。本記事では、朝・昼・夜の食事タイミングの目安や健康管理のポイントを詳しく解説します。
- 目次
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【ライフステージ別】犬のごはんの回数と時間の目安
・子犬の場合
・成犬の場合
・老犬の場合 -
犬のごはん時間の決めるコツ
・与える時間を適度に固定する
・ごはん時間の間隔を均等にする
・散歩や運動の前後は避ける - 犬のごはんを時間通りに与えられない時の対処法
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犬のごはんの時間間隔を調整すべきケース
・食欲が低下している
・空腹で吐いてしまう
・季節の変わり目 -
犬のごはんについてよくある質問
・朝起きてすぐにごはんを与えても大丈夫?
・ごはん時間に寝ている場合はどうする?
・ごはん時間がバラバラになるのは避けるべき?
・飼い主の食事よりも後に与えるべき?
・ごはんの適切な量は? - まとめ ライフステージに合わせて適切な時間で与える
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【ライフステージ別】犬のごはんの回数と時間の目安
【ライフステージ別】犬のごはんの回数と時間の目安
犬のごはんの回数や時間は、年齢や成長段階によって異なります。体重や健康状態、犬種、運動量、生活リズムなどの要因によっても適切な頻度は異なるため、あくまで目安として参考にしてください。
愛犬の様子を観察しながら、最適な食事スケジュールを見つけましょう。
子犬と成犬、老犬に分けて、ごはんの回数と時間の目安を紹介します。
子犬の場合
子犬のごはんの回数や時間の目安は、成長段階によって異なります。特に生後1~3ヶ月、生後3~6ヶ月、生後6ヶ月以降などの時期によって食事の頻度や量が異なるため、それぞれの成長段階に応じた適切な食事管理が重要です。
時期別の食事回数と与える時間帯の目安は下記のとおりです。
生後1~3ヶ月 |
生後3~6ヶ月 |
生後6ヶ月~ |
|
1回目 |
6~7時頃 |
6~7時頃 |
6~7時頃 |
2回目 |
12~13時頃 |
13~14時頃 |
17~18時頃 |
3回目 |
17~18時頃 |
20~21時頃 |
|
4回目 |
21時頃 |
ー |
子犬は成長のために多くの栄養を必要としますが、消化機能が未熟なため、一度に大量の食事をとることができません。そのため、1回の食事量を少なくし、回数を増やすことで胃腸への負担を軽減しながら、必要な栄養を効率的に摂取できるようにしましょう。
上記の時間帯はあくまで参考ですので、飼主さんのライフスタイルに合わせて時間を決めてください。大事なポイントは、毎日同じ間隔で、決まった時間に与えることです。
成犬の場合
成犬の食事回数は1日2回(朝・晩)が基本ですが、犬の体質や健康状態によっては1日3回、4回に分けることも推奨されます。特に、食事の間隔が長くなることで空腹時に嘔吐しやすい犬や、1回に大量に食べると消化不良を起こしやすい犬は、全体の食事量は変えずに食事回数を増やすとよいでしょう。
1日の食事回数別に、食事を与える時間帯の目安を紹介します。
回数 |
1日2回 |
1日3回 |
1日4回 |
1回目 |
6~7時頃 |
6~7時頃 |
6~7時頃 |
2回目 |
18~19時頃 |
13~14時頃 |
12~13時頃 |
3回目 |
― |
20~21時頃 |
17~18時頃 |
4回目 |
― |
― |
21時頃頃 |
老犬の場合
老犬(特に12歳以上)になると、消化機能が衰えやすく、一度に多くの食事をとることが負担になる場合があります。そのため、食事の回数を増やし、1回の食事量を抑えることが推奨されます。一般的に、1日3回~4回の食事が目安です。
食事回数ごとの食事を与える時間帯の目安は、下記のとおりです。
回数 |
1日3回 |
1日4回 |
1回目(朝) |
6時~7時 |
6時~7時 |
2回目(昼) |
13時~14時 |
12時~13時 |
3回目(夕) |
20時~21時 |
17時~18時 |
4回目(夜) |
― |
21時頃 |
犬のごはん時間の決めるコツ

犬の食事時間を決める際には、健康管理や生活リズムを整えるために次のポイントを押さえましょう。
与える時間を適度に固定する
犬の食事時間は、適度に固定することが健康管理の面で望ましいとされています。毎日バラバラの時間に食事を与えると、犬の体内リズムが乱れ、消化器官に負担がかかる可能性があるでしょう。
また、食事時間が安定していると、犬も安心して食事をとることができ、食欲の低下や過剰な空腹による嘔吐などのリスク低減につながります。
一方で、「食事時間を固定すると要求吠えにつながる」という意見もありますが、これは根本的なしつけの問題です。食事時間を変動させて要求吠えを防ぐのではなく、犬がごはんの時間に吠えないようにしつけることが大切です。
ごはん時間の間隔を均等にする
犬に食事を与えるタイミングは、できるだけ均等な間隔を空けることが理想的です。食事の間隔を極端に空けたり短すぎたりすると、消化のリズムが乱れ、消化不良や空腹時の嘔吐を引き起こしやすくなります。
適切な食事間隔の目安は、下記のとおりです。
食事回数 |
理想的な間隔 |
1日2回 |
約12時間ごと(例:朝7時・夜19時) |
1日3回 |
約7時間ごと(例:朝7時・昼14時・夜21時) |
1日4回 |
約6時間ごと(例:朝7時・昼13時・夕方18時・夜24時) |
ただし、食事を与える時間を厳密に守る必要はありません。無理のない範囲で一定のリズムを作ることが大切です。飼い主のライフスタイルや犬の体調に合わせて、できるだけバランスの取れた食事時間を設定しましょう。どうしても間隔の調整が難しい場合は、1日に与えるご飯の量は変えず、間隔が長くなる場合に多めに与え、間隔が短くなる場合は少なめに与えるなどの調整をしてもいいかもしれません。
散歩や運動の前後は避ける
犬の食事は、散歩や運動の前後を避けて与えることが大切です。特に胸の深い大型犬では運動直前に食事を与えると、胃捻転(胃がねじれてしまう危険な状態)のリスクが高まる可能性があります。
特に大型犬は胃捻転のリスクが高いため、運動前に食事を与えないようにしましょう。お散歩前に食事を与えるのではなく、お散歩後に食事を与えるように習慣づけましょう。早食いや1回のご飯の量が多いことも胃捻転のリスクの要因になる可能性がありますので、リスクを減らす対策も検討しておきましょう。
犬のごはんを時間通りに与えられない時の対処法
飼い主のスケジュールによっては、毎日決まった時間にごはんを与えることが難しい場合があります。
仕事や外出の予定が不規則な場合、食事の時間が日によって変わってしまい、犬の生活リズムに影響を与えることもあります。
そのような場合に役立つのが自動給餌機です。決まった時間に食事を与えられるため、犬の食事リズムを一定に保つことができます。最近では、スマホで遠隔操作できるものや、ウェットフードに対応したものもあるようです。
ただし、衛生管理を徹底することが重要です。長時間フードをセットしたままにすると、カビや害虫が発生しやすくなるため、定期的に清掃を行いましょう。
犬のごはんの時間間隔を調整すべきケース
犬の食事時間は一定の間隔を保つのが理想ですが、柔軟に調整する必要があります。体調や生活リズムの変化に応じて食事の間隔や回数を見直すことで、犬の健康を維持しやすくなります。
犬のごはんの時間間隔を調整すべきケースは次のとおりです。
食欲が低下している
犬の食欲が低下している場合は、食事時間を固定せず、犬が食べられるタイミングで与えることが重要です。食欲がない時に無理に食べさせようとすると、食事に対してストレスを感じるおそれがあります。
また、食欲の低下が一時的なものであれば問題ありませんが、長期間続く場合は病気のリスクも考えられます。特に、元気がなくなったり、体重が減少している場合は、消化器系の疾患や内臓の問題が隠れている可能性があるため、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。
空腹で吐いてしまう
犬は空腹時間が長くなりすぎると、胃酸や胆汁の分泌過多によって嘔吐することがあります。特に、朝方や食事前に白い泡状の液体(胃液)や黄色い液体(胆汁)を吐く場合は、空腹による胃の刺激が原因である可能性が高いでしょう。
食事の間隔が長すぎることが原因の可能性があるため、獣医師に相談しながら食事の回数や時間を調整することが大切です。
たとえば、1日2回の食事では空腹時間が長くなりすぎる場合は、1日3~4回に分けることで嘔吐を防げる可能性があります。
季節の変わり目
季節の変わり目は、気温や湿度の変化に伴い犬の体調が不安定になりやすく、食欲や消化の状態に影響を与えることがあります。状況に応じて食事の量や回数を調整することが必要です。
夏場は食欲が落ちる犬が多く見られます。朝晩の涼しい時間帯に食事を与えることで、負担を軽減できる場合があります。冬場は活動量が減り、消化のペースが遅くなることがあるため、食事量を調整したり、消化の良いフードに切り替えたりするのも1つの方法です。
犬のごはん量についてよくある質問

犬の食事に関して、与えるタイミングや食事のルールについてさまざまな疑問を持つ方が多いでしょう。犬のごはんに関するよくある質問を取り上げて回答します。
朝起きてすぐにごはんを与えても大丈夫?
寝起き直後はまだ運動量が少なく、犬によってはあまりお腹が空いていないことがあります。朝の散歩や軽い運動をしてから食事を与えることで、食欲が増し、消化もスムーズに進みやすくなります。
ごはん時間に寝ている場合はどうする?
食事の時間に犬が寝ている場合は、無理に起こしてまで与える必要はありません。犬は自分のペースで食事をとることが大切なため、起きるまで待ちましょう。
ただし、長時間寝続けて食事を取らず、普段よりも元気がないような様子が見られる場合は、体調不良の可能性があります。食事をまったく取らずにぐったりしているようであれば、早めに動物病院を受診しましょう。
ごはん時間がバラバラになるのは避けるべき?
食事時間のバラつきが大きすぎると、犬がストレスを感じる可能性があります。
食事の時間が極端に遅くなったり、間隔が長すぎたりすると、嘔吐することもあるため、できるだけ一定のリズムを作りましょう。
毎日分単位で厳密に時間を決める必要はなく、大まかな時間帯を決めておいて、無理のない範囲で安定した食事習慣を作ることが大切です。飼い主さんのライフスタイル上どうしても与える時間にばらつきが出やすい場合は、前述した自動給餌機の使用を検討してみましょう。
飼い主の食事よりも後に与えるべき?
飼い主の食事の前後どちらに犬のごはんを与えるかについては、厳密なルールはありません。
以前は「飼い主が先に食べることで主従関係を示すべき」というリーダー論が広く信じられていましたが、近年ではこの考え方は絶対的なものではなく、必ず必要なこととはされなくなっているようです。
食事の順番ではなく、落ち着いて食事を待てるように信頼関係を築くことが大切です。
ごはんの適切な量は?
犬の食事量は、体重、年齢、健康状態、運動量などによって異なります。たとえば、成長期の子犬や活動量の多い犬はエネルギーを多く必要とします。
一方で、シニア犬や運動量の少ない犬は活動量が多い犬と比べて必要なカロリー量が少ないため、肥満を防ぐためにも適切な量を見極める必要があります。
ごはんの適切な量は?
犬の食事量は、体重、年齢、健康状態、運動量などによって異なります。たとえば、成長期の子犬や活動量の多い犬はエネルギーを多く必要とします。
一方で、シニア犬や運動量の少ない犬は活動量が多い犬と比べて必要なカロリー量が少ないため、肥満を防ぐためにも適切な量を見極める必要があります。
具体的な食事量の目安や調整方法については、こちらの記事をご覧ください。
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犬のごはんの量はどう決める?計算方法や目安について:
https://vetzpetz.jp/blogs/column/dog-food-amount
まとめ ライフステージに合わせて適切な時間で与える
犬のごはんを与える回数とタイミングは、子犬・成犬・老犬といったライフステージに応じて決めることが重要です。子犬は消化機能が未熟なため、1回の食事量を抑え、回数を増やすのが理想的です。
成犬は1日2回が基本ですが、食事間隔が長すぎると嘔吐しやすい犬もいるため、必要に応じて3回以上に分けるとよいでしょう。老犬は消化機能が低下するため、負担を減らすために1日3〜4回の食事を推奨します。
また、ごはんの時間はできるだけ一定にすることで、犬の体内リズムを整え、健康管理がしやすくなります。ただし、食欲が低下している時や季節の変わり目など、状況に応じて時間や回数を調整する柔軟性も大切です。愛犬の体調や生活リズムをよく観察しながら、無理のない範囲で適切な食事時間を決めましょう。
- 監修者プロフィール
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岩谷 直(イワタニ ナオ)
経歴:北里大学卒業。大学研修医や企業病院での院長、製薬会社の開発や学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許