獣医師が解説!高齢猫の食事管理で気をつけることは?
ねこちゃんが快適に生活するためには日頃の健康管理が大切。 そのためにも気をつけたい食事について知っておきましょう。今回は、高齢のねこちゃんの食事管理について獣医師にお話を聞きました。
高齢猫の食事で気をつけること
水
見落とされがちですが、しっかりと水分を与えることは猫の健康維持の基本です。乾燥地帯で発達した歴史を持つ猫は、も ともと喉の渇きに鈍感な生き物ですが、加齢によりさらに鈍感になってしまいます。多くの高齢猫は腎臓の機能が低下してい きますが、そのようなときに水分が足りないと症状が悪化することになりかねません。水飲み場の数を増やしたり(各部屋に 最低1つは水飲み場を設置)、ウェットフードを利用したりして、積極的な水分補給に努めましょう。
タンパク質
猫が慢性腎臓病になってしまうと、タンパク質から作られる老廃物を体外に捨てづらくなるため、タンパク質を与える量を 減らすことになります。そのため、猫が高齢になると健康であってもタンパク質を抑えた方が良いと考える方もおられるよう です。実際には、タンパク質を減らした食事を与えても慢性腎臓病の予防にはなりませんし、むしろ慢性腎臓病の初期には筋 肉を維持するためにしっかりとタンパク質を与えることが重要なのです。タンパク質を控えるのは病気がかなり進行してから になりますので、ご家族の判断で低タンパク質フードに切り替えることは避けましょう。
エネルギーと肥満
猫は高齢になると、活動が減ることによって筋肉量が低下し、それに伴って基礎代謝量が減少します。そのため、7歳から 10歳くらいまで肥満のリスクが高まることになります。しかしながら、12歳を超えると肥満の猫は徐々に減り、痩せ気味の猫 が増えてきます。これは消化吸収が悪くなったり、食欲が低下したり、病気の影響だったり、様々な原因が考えられます。
高齢猫向けのキャットフードの多くは低カロリーになっています。したがって、「高齢期・シニア猫向け」というネーミングだけ を見てキャットフードを選ぶと、痩せ気味のためしっかり食べなければいけない状態なのに、低カロリーフードを与えてしま うということになりかねません。どのようなフードを与えるべきか迷ったときは、主治医に相談してみることをお勧めします。
その他の栄養成分
近年、高齢期に心配な関節や腎臓の健康管理のため、オメガ-3脂肪酸や抗酸化物質などを含むキャットフードが販売されて います。お気に入りのフードを変更せずに、このような成分を強化したい場合には、サプリメントの利用も検討してみましょう。
- 監修者プロフィール
-
徳本 一義
有限会社ハーモニー 代表取締役 獣医師
一般社団法人ペット栄養学会 理事
一般社団法人ペットフード協会
新資格検定制度実行委員会委員長
日本獣医生命科学大学 非常勤講師
帝京科学大学 非常勤講師
ヤマザキ動物看護専門職短期大学 非常勤講師