猫の皮膚炎の症状や原因とは? 治療・予防方法も解説

2023.01.21
猫の皮膚炎の症状や原因とは?  治療・予防方法も解説

猫は毛におおわれているため気づきにくいのですが、皮膚炎を発症することがあります。症状はさまざまですが、わかりやすいのが脱毛です。ふと気づいたら愛猫の毛が抜けて皮膚があらわに…なんていう場面に遭遇したら、飼い主さんも慌ててしまうことでしょう。この記事で、猫の皮膚炎の症状や原因、治療法や予防法も含めて解説しますので、愛猫の健康維持にお役立てください。


目次

猫の皮膚炎とは?


猫の皮膚炎は、皮膚に炎症などの異常が見られる病気全般をいいます。猫は毛でおおわれているため、皮膚の異変には気づきにくいのですが、かゆみなどなんらかの症状を伴う場合が多く、猫にとってはつらいものだといえます。


脱毛などは「そのうち治るんじゃないか」と様子を見ているうちに症状が広がってしまったり、治ったと思ったら再発したりということもよくあるため、飼い主さんとしては気にかけたい病気のひとつでもあります。



猫の皮膚炎の症状


猫の皮膚炎は皮膚全般に見られる病気ということもあり、症状は多岐に渡ります。ここでは、おもな症状についてピックアップして見ていくことにしましょう。


飼い主さんの目にわかりやすい症状のひとつが、先ほども触れた脱毛です。もともと猫は毛が抜ける動物ですし、暑くなる時期には抜け毛も増えます。ところが、部分的に皮膚があらわになるほど抜けてしまうことがあり、これは決して正常な状態ではありません。なんらかのトラブルが起きていると考えられます。


特にケガをしたわけではないのに、皮膚にかさぶたができていたときも皮膚炎が疑われます。猫の皮膚炎はかゆみを伴いますので、猫が強く掻いたりなめすぎたりすることで皮膚が荒れ、かさぶたができてしまうこともあるようです。


かさぶたができていなくても、愛猫が頻繁に同じ場所をかいたりなめたりする様子が見られたら、皮膚炎によるかゆみかもしれません。かゆみは発疹を伴うことも多いので、愛猫にかゆがる様子が見られたときは、毛を掻き分けてチェックしてみてください。


そのほか、これまで以上にフケが増えた、被毛が脂っぽくべたついているという症状も、皮膚炎が疑われます。



猫の皮膚炎の原因


どうして猫が皮膚炎になってしまうのか、症状がさまざまであるように原因もさまざまですが、おもな原因として挙げられるのは次のようなものです。


ひとつは、ノミやダニなどの寄生虫です。外に出たときに寄生されることもあれば、寄生虫持ちの猫からもらってしまうこともあります。ノミもダニも、猫の皮膚を刺すなどして傷つけるため、その傷が炎症を引き起こしてしまうのです。


なお、ノミは猫の血を吸うときに唾液を注入しますが、その唾液がアレルゲンとなって、アレルギー性の皮膚炎を起こすこともあります。アレルゲンはノミの唾液に限ったものではなく、食べ物、ハウスダストなどがアレルゲンとなることもあるので、覚えておいてください。


真菌(カビ)が皮膚炎を引き起こすこともあります。主に頭部や四肢等に円形の脱毛が発生しフケがみられることが多く、また初期は痒みを伴わないことが特徴です。



寄生や感染はしていないのに皮膚炎を発症したという場合は、ストレスが原因かもしれません。引っ越しや家族構成の変化など、住環境の変化が愛猫のストレスになることもあります。猫はストレスを感じると、手足など舐めやすい箇所をひたすらなめて気持ちを落ち着かせようとすることがありますが、猫の舌はざらざらしているため、なめすぎて毛が抜けたり皮膚を傷つけたりすることも。それが炎症を引き起こすこともあるようです。



猫の皮膚炎の治療方法


猫が皮膚炎になったときの治療法は、原因によりけりです。そのため、最初の診察では、問診、被毛や皮膚の状態チェック、寄生虫の有無の確認、血液検査、アレルギー検査などを行い、原因を見定めていきます。


そのうえで、飲み薬や塗り薬の処方、注射での薬剤注入、シャンプー洗浄など、原因に合った治療法をとるのが一般的です。


なお、アレルギーの場合は、アレルゲンを除去することが重要な治療法のひとつ。食べ物にアレルギーがある場合は、療法食に切り替えることもあります。


ストレスが原因の場合は、ストレスの原因を取り除くことが必要不可欠ですが、はっきりとした原因がわからない場合もあるでしょう。うまく原因に気づき、取り除くことができればいいのですが、そうでない場合は治療が長引いてしまうこともあります。



猫の皮膚炎の予防方法


愛猫につらい思いはさせたくない、飼い主さんなら誰もが思うでしょう。そこで最後に、猫の皮膚炎の予防方法をまとめておきます。


猫に寄生しやすいノミとダニには、予防薬を定期的に使用することが効果的だといえます。動物病院で処方してもらうこともできますし、市販薬もあるので、まずは獣医師に相談してみてください。


そのほか、こまめなブラッシングやシャンプー、マッサージなどの日常的なケア、愛猫の過ごす場所を清潔に保ちストレスを与えないこともポイントです。ちなみに、ブラッシングやマッサージを習慣化すると、皮膚炎を発症したときに早い段階で気づくことができます。食事も栄養バランスを考え、免疫力が低下しないように心がけていきましょう。



猫の皮膚炎はかゆみを伴うことが多く、猫にとってはつらい病気です。ノミやダニは定期的な投薬で予防を心がけましょう。また、日ごろからブラッシングやマッサージでスキンシップをはかることが早期発見、治療のためには大切です。食事内容、生活環境にも気を配りながら、愛猫の健康を維持してくださいね。


 

監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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