【獣医師監修】チワワがなりやすい7つの病気|予防法についても解説

チワワは、世界で最も小さな純血種で、小さくて愛くるしい容姿と甘えん坊な性格から人気の犬種です。その割には留守番をさせやすいなど、ご家庭でも飼いやすいのが特徴です。しかし、体格を極端に小型化させたため負荷が大きいとも考えられており、実際チワワには犬種特有のかかりやすい病気も存在しています。
この記事では、チワワがなりやすいと言われている病気や、日頃から心がけたい予防法について解説します。
- 目次
-
チワワは病気になりやすい?
チワワは1850年にメキシコで発見され、アメリカに渡りました。そのため犬種名も、メキシコ最大の州「チワワ州」に由来しています。最大の特徴は、純血種の中では世界最小と言われる2.7kg以下の小さい体格と、つぶらで潤んだ瞳でしょう。
超小型化をしてきたことで、体型的に大きな負荷がかかっているとも言われています。ただし、小型犬の平均寿命13.8歳に対して、チワワの平均寿命は13.9歳程度だと言うことを考えると、特別病気になりやすいと言うわけでもなさそうです。
ここでは、チワワがなりやすいと言われている病気や、その予防法などについてみていきましょう。
チワワがなりやすい7つの病気

チワワは小型犬の中では平均的な寿命をまっとうできる、比較的健康な犬種である反面、超小型化していく上での影響が考えられる、特定の病気にかかりやすいという特徴を持っています。
-
膝蓋骨脱臼(パテラ)
-
僧帽弁閉鎖不全症
-
気管虚脱
-
尿路結石症
-
低血糖症
-
水頭症
-
角膜炎
ここでは、チワワがなりやすいと言われている、上記7つの病気について解説します。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
犬の後肢は、太ももの骨である大腿骨、いわゆる膝のお皿と言われる膝蓋骨(しつがいこつ)、そしてその下にスネの骨である脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)が並んでつながっています。この膝蓋骨が、内側または外側に外れた状態が、膝蓋骨脱臼です。英語で「膝蓋骨=パテラ(patellar)」と言うことから、膝蓋骨脱臼もパテラと呼ばれるのが一般的です。
チワワをはじめとした小型犬に多く、大型犬の約12倍の罹患リスクだと言われています。小型犬は圧倒的に内方脱臼が多く、両側性(左右の後肢が脱臼する)が多いこともこの病気の特徴です。
膝蓋骨内方脱臼は、脱臼しても自然に元に戻るグレード1から、骨格の変形が著しく、膝蓋骨が常に脱臼したまま戻らず、手で押し戻すこともできないグレード4までに分類できます。グレード3〜4になると、外科的手術が必要になることも多くなります。
膝蓋骨脱臼の80%以上が先天性と考えられていますが、後天性の場合も含め膝関節への負担で発症しやすくなると考えられるため、フローリングなどの滑り止め対策や、段差からの飛び降りの抑制、適切な体重管理などが予防につながる可能性があります。
犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)の詳細については、こちらの記事をご一読ください。
- 関連記事:
-
【24年最新】獣医師が解説!犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)とは? 症状と予防・治療方法と治療費用など
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)は犬に多い心臓病で、特にチワワをはじめとした小型犬に多く見られます。新鮮な酸素や栄養素などを含んだ血液を、全身に送り出すポンプの役割を果たしている心臓が、その役割を十分に果たせなくなる病気です。
心臓は、大きく左心室と左心房からなる左心系と右心室と右心房からなる右心系に分けられます。肺から受け取った血液は、左心房から左心室を経由して、勢いよく大動脈に送られ全身へと運ばれます。左心房と左心室の境目にある僧帽弁は、左心室に入った血液が左心房に逆流しないようにしているのですが、僧帽弁閉鎖不全症になると、僧帽弁が正常に働かずに血液が逆流するようになります。
左心房に血液の一部が逆流することで、大動脈、つまり全身に送り出される血液量が減少して各臓器に供給できる酸素量が不足したり、逆流により溜まった血液で左心房が大きくなることで気管などの呼吸器が圧迫されうまく機能できなくなります。その結果、少しの運動や興奮でも疲れて動けなくなる、咳が出る、呼吸が苦しくなるといった症状が現れます。
まだ症状が現れないごく初期の段階でも、聴診による心雑音で発見できることが多いため、定期的な健康診断は早期発見にとても役立ちます。
気管虚脱
吸い込んだ空気を肺まで運ぶ器官が気管です。気管は、C字型の軟骨が輪状の靭帯でつながったような構造の円筒形をしています。軟骨のC字が開いている部分は、膜性壁と呼ばれる筋線維で覆われており、気管の内腔の容積を変化させる際に働く部位となります。
気管虚脱とは、この膜性壁の部分が気管内腔側に垂れ下がってきたり、C字型の軟骨部分が変形したりして、だんだんと平坦な形に潰れていく病気で、多くは進行性です。チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなどのトイ犬種が好発とされていますが、その他のさまざまな犬種でも発症する可能性があります。
初期には単発の乾いたような咳が出て、進行すると咳が継続的になり、さらにガチョウの鳴き声のような独特な咳や呼吸となり、末期には呼吸困難で酸素不足(チアノーゼ)が現れます。
この病気は物理的に気管が潰れていくため、根治のためには、外科的治療が必要になります。
小型犬がかかりやすい「気管虚脱」の詳細については、こちらの記事をご一読ください。
- 関連記事:
-
小型犬がかかりやすい「気管虚脱」の症状や原因・治療法など
https://vetzpetz.jp/blogs/column/small-dog-tracheal-collapse
尿路結石症
尿路結石症とは、腎臓または膀胱で作られた結石が、尿路のいずれかに溜まる病気です。尿路とは、上部尿路と呼ばれる腎臓、尿管と、下部尿路と呼ばれる膀胱、尿道で、どこに結石が溜まったかによって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石などと呼ばれます。
上部尿路結石の場合は、排尿障害が見られないことが多いですが、下部尿路結石の場合は、頻尿や血尿など、膀胱炎とよく似た症状が現れます。また結石で尿管が詰まる(尿管閉塞)と腰背部の痛み・元気消失・食欲不振・嘔吐が、尿道閉塞が起きると排尿困難・排尿時の痛みが現れるようになります。上部・下部どちらの尿路結石であっても閉塞の程度が重度な場合は腎臓に傷害を引き起こす可能性があるため早期の発見が重要となります。
結石ができる原因は、犬種、性別、年齢、食事、水分不足などさまざまです。結石の種類も複数ありますが、チワワをはじめとした小型犬に多いのは、特別療法食や投薬などで溶かすことのできないシュウ酸カルシウム結石です。溶かせないため、自然排泄を望めない程大きくなった場合は、外科的治療が必要になります。また尿路結石は再発しやすいので、生涯にわたって予防や治療が必要になるケースも少なくありません。
低血糖症
血液中に含まれるブドウ糖の濃度を血糖値と呼び、通常は一定の範囲内の濃度に保たれています。何らかの事情で血糖値が下がることがあり、この状態を低血糖症と言います。
低血糖症を引き起こす原因には、体温の低下、空腹のまま長時間過ごす、消化機能の低下による栄養不足などが挙げられますが、体が超小型で、エネルギー貯蔵量が少なく、活動量の多いチワワの場合は、空腹状態で激しく運動することで低血糖症を起こしやすいとされています。
1度の食事量が少なく、活動的な子犬の時期は特に注意が必要です。6〜12時間の絶食でも低血糖症になることがあります。また低血糖状態が長く続くと、命に危険が及ぶ場合もあるため、油断は禁物です。
元気消失、体温低下、ふらつき、けいれん、意識混濁などの症状が見られた場合は、低血糖症の可能性がありますので、すぐに動物病院で受診させましょう。
水頭症
頭蓋骨に囲まれている脳と脊髄は、さまざまな生体機能をコントロールする大切な臓器です。頭蓋骨の下には硬膜とくも膜という2層の膜があり、くも膜と脳の間にできる空間をくも膜下腔と言います。また脳の中にはいくつかの脳室と呼ばれる空間があります。このくも膜下腔と脳室には脳脊髄液が流れています。
この脳脊髄液の流れが阻害されたり過剰に産生されたりすると、くも膜下腔や脳室に脳脊髄液が過剰に溜まってしまいます。この状態が、水頭症です。先天性と後天性がありますが、チワワなどのトイ犬種や短頭種に、先天性の水頭症が多く見られます。
先天性水頭症は、小さい体格・ドーム状に膨らんだ頭蓋・成長しても閉じない泉門(頭頂部の頭蓋骨の隙間)・両目に現れる斜視など独特な外観や、行動異常・意識障害・感覚障害などの、前脳の機能低下を示す神経症状が現れます。
重篤でない先天性水頭症の場合は、脳室と腹腔をシリコン性のチューブで繋ぎ、脳脊髄液を腹腔に流して体内に吸収させる手術(脳室ー腹腔シャント術)で、症状改善を図ることがあります。
犬の水頭症の詳細については、こちらの記事をご一読ください。
- 関連記事:
-
犬の水頭症はどんな病気? 症状・原因・治療法など
角膜炎
潤んだ大きな瞳は、チワワの魅力の一つです。しかし、この大きく突出している瞳は、その形状のために、角膜の疾患を引き起こしやすいので注意が必要です。角膜の疾患として多いのが、角膜炎です。
瞳を覆っている一番外側の膜が角膜で、外界のさまざまな刺激から瞳を守っています。この角膜に直接異物が触れることで傷ついたり、乾燥した空気などが刺激となって角膜に炎症が起きます。
角膜炎は適切な治療を行わないと、視力を失うことにもつながります。常に涙が出ている、目やにが多い、目が赤く充血している、瞼がぴくぴくけいれんするなどの症状が見られます。
また、チワワは角膜内皮ジストロフィーという角膜疾患の好発犬種でもあります。これは、角膜の最も内側にある細胞が先天的または遺伝的要因で徐々に機能が低下し、角膜の水分調節が出来なくなる病気です。結果として角膜がむくみ(角膜浮腫)、白く濁ります。適切な治療法がなく、徐々に視力を失っていく病気なので、早期発見により愛犬のQOL(生活の質)をできるだけ維持してあげられるような対処が大切です。
チワワの病気を予防するには
犬には、具合が悪いことを隠そうとする傾向があります。そこで大切になるのが、飼い主さんによる愛犬の健康管理です。
ここでは、病気を予防するためのポイントをまとめました。
日常での観察
最も基本的で大切なのが、愛犬の様子をしっかりと観察することです。次のような観点を意識しながら日常的に観察し、ノートなどに記録しておきましょう。
-
歩き方や立っている姿勢の変化
-
食事や飲水量の増減
-
活動量や呼吸の変化
-
排泄の回数、量、排泄物の状態(色や臭い)、排泄時の様子の変化
-
黒目や白目の色や濁り、涙や目やにの量の変化
歩き方や呼吸の様子などがおかしいと感じた場合は、受診の際に正しい情報を伝えられるため、動画撮影をしておくと良いでしょう。
バランスの整った食事
愛犬の体は、普段の食事で作られます。年齢や活動量などに合った、良質で最適な栄養バランスの食事を最適な量だけ与え、しっかりと健康管理を行いましょう。
太り過ぎは、関節や心臓、呼吸器などに余計な負荷をかけるため、病気にかかるリスクを高めます。フードの袋に書かれている給餌量はあくまでも目安です。実際の体重や体型を見ながら、その子に最適な量を与えましょう。また、たとえ愛犬が欲しがっても、人用の食事は分け与えないでください。
獣医師と愛犬の健康状態について相談し、愛犬の健康維持に有用と考えられる栄養素をサプリメントで補充することについて聞いてみるのもいいかもしれません。
適度な運動
チワワは体が小さく、かつ小型犬種の割には遊びに対する興味や活動性が低いため、留守番の時間が多少長くても耐えられるという面があります。しかし、それは散歩や運動の必要がないということではありません。
チワワは警戒心が強く、人に対して攻撃的な一面を見せることもあります。毎日の散歩をしっかりと行うことで、知的好奇心を満たしたり、ストレスをしっかりと発散させ、精神的な成長を促したり、問題行動を抑止しましょう。
また適度な運動は肥満を予防でき、病気の予防にもつながります。積極的に散歩や運動に連れ出しましょう。
定期健診
愛犬の健康寿命を延ばしたければ、ホームドクター(かかりつけ医)を作ることをおすすめします。通いやすく、信頼できる病院を選びましょう。日頃からホームドクターに通うことで、日常的な健康管理をサポートしてもらえ、ちょっとした健康相談などにも応じてもらえます。そして大切なのが、定期的な健康診断の受診です。
まだ明確な症状が現れていなくても、体の中で生じている病的な変化に気付くことで、初期の段階から適切な治療を始められ、愛犬への負荷を減らすことが可能なこともあります。愛犬が若い間は年に1回、シニア期を過ぎたら年に2回を目安に受けると良いでしょう。
チワワの病気についてよくある質問

チワワの病気について、よくある質問をご紹介します。愛犬の健康管理への参考にしてください。
震えるのは病気のサイン?
チワワは震えていることが多く、「発熱している?」「けいれんの発作?」などと心配になることも多いでしょう。
犬の震えには、生理現象からくる心配のいらない震えと、病気からくる震えがあります。愛犬が震えている時の状況が下記の場合は、生理現象による心配のいらない震えだと判断しても良いでしょう。
-
寒い
-
興奮状態である
-
怖がっている
-
老犬で筋力が低下している
しかし、震えの他に「下痢・嘔吐・食欲不振・元気消失・呼吸困難・激しい震え」などの症状を伴っている場合は、病気の可能性も考えられます。できるだけ速やかな受診をおすすめします。
元気がない時はどうすべき?
犬は感情が豊かな動物です。感情の起伏が原因で、元気がなくなる時もあります。下記のポイントに気をつけて観察し、判断すると良いでしょう。
・カーミングシグナルを見せている
あくびをする、自分の鼻先を舐める、目を合わせようとしないなど、犬にはストレスを感じた時に見せる「カーミングシグナル」という仕草があります。これらが見られる場合は無理に触ったり近づいたりせず、犬が安心できる距離を保ち、ストレス環境を調整するようにしてみましょう。
・病気の症状を伴っている
食欲不振、下痢、嘔吐など他の症状を伴っている場合は、カーミングシグナルの有無に関わらず、動物病院で診てもらいましょう。
呼吸が荒いのは病気?
犬は、よく口を大きく開けて舌を出し、ハァハァと荒い呼吸をすることがあります。この荒い呼吸は、パンティングと呼ばれています。
激しい運動後や夏の暑い時期のパンティングは、生理現象なので心配はいりません。静かで涼しい場所に連れていき、休ませればいつもの呼吸に戻るでしょう。
注意したいのは、下記のようなケースです。
-
運動もせず気温も高くないのにパンティングをしている
-
通常の呼吸に戻らない
-
呼吸時に雑音(ゼーゼー、ヒューヒュー等)がする
放置すると命に関わる可能性もありますので、速やかに動物病院で適切に対処してもらいましょう。
まとめ チワワの病気は予防・早期治療を大切に
小さくて愛らしい容姿のチワワは、日本でも人気の高い犬種です。しかし魅力の一つである超小型化の過程で体に負荷がかかったためか、遺伝性による好発しやすい病気をいくつか持っています。
とはいえ、平均寿命を見ても、特にチワワの健康上のリスクが高いとは言えません。愛犬が健康で長生きできるように、ご家庭での健康管理や食事管理、ストレス管理を行い、病気の予防や早期発見・早期治療を実現して健康寿命を延ばしてあげましょう。
- 監修者プロフィール
-
岩谷 直(イワタニ ナオ)
経歴:北里大学卒業。大学研修医や企業病院での院長、製薬会社の開発や学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許


