犬の水頭症はどんな病気? 症状・原因・治療法など

2022.12.10
犬の水頭症はどんな病気? 症状・原因・治療法など
犬に見られる病気のひとつ、水頭症。文字通り、頭に水がたまったような状態になり、その影響でふらつきや異常行動などが現れる病気です。具体的にどのような症状が出るかを知ると同時に、原因や治療法についても確認しておきましょう。わかりやすく説明しますので、愛犬の健康維持にお役立てください。
目次


犬の水頭症とは?


まず、犬の水頭症とはどのような病気なのか、概要を説明します。
水頭症は、脳の「脳室」というところで作られている「脳脊髄液(のうせきずいえき)」という液体が脳の内部に過剰にたまってしまい、脳を圧迫する病気です。脳が圧迫されることにより、脳そのものが損傷を負ったり、脳の機能に障害が生じたりして、通常では起こり得ない行動が症状として現れます。先天性と後天性があり、多く見られるのは先天性によるものです。

ここで、病状についてもう少し詳しくお話をしておきましょう。
脳室で作られた脳脊髄液は、クモ膜下腔から脊髄へと流れていきます。役割は、脳内を循環しながら脳を衝撃から保護すること、栄養分やホルモンを運搬すること、老廃物を排出することなどです。

ところが、何かのきっかけで脳脊髄液が作られすぎたり、流れにくくなったりすることがあります。その結果、脳内に過剰な脳脊髄液がたまってしまう――これが水頭症です。軽症のうちに処置をすれば症状を抑えることが可能なケースもあるのですが、重症化したときには死に至ることもあります。

なお先天性の水頭症は、チワワ、マルチーズ、ポメラニアン、トイ・プードル、ペキニーズ、ヨークシャー・テリア、パグ、シー・ズーといった小型犬によく見られるとされています。

犬の水頭症の症状


次に水頭症になると、どのような症状が見られるのかについて確認しておきましょう。先天性か後天性か、発症してからの期間がどのくらいか、脳にどの程度の圧迫や損傷が生じているかによっても変わりますが、おもな症状は次のようなものです。

行動面では、元気がなくいつも寝ている、あるいは眠たそうにしている、落ち着きがない、いつも興奮している、歩くときにふらふらしている、物覚えが悪くしつけができないなど。そのほかにも、けいれん発作、斜視、視点が定まらない眼球振盪、視力障害、失明、頭がドーム状にふくらむなどが挙げられます。

犬の水頭症の原因


なぜ水頭症を発症するのか、原因として挙げられるのは、次のようなことです。
先天性の水頭症の場合は、まず遺伝が疑われます。

後天性の場合は、事故など頭を殴打することで脳が損傷を負うことのほか、脳内出血、髄膜炎、脳腫瘍、脳炎など脳のトラブルによることが大多数を占めます。水頭症から脳疾患が発見されるケースもあるので、注意したいところです。

ところで、後天性では、どうして脳に腫瘍や炎症が生じることで水頭症になってしまうのでしょうか。主な原因としては、腫瘍や炎症がある部分は、どうしても脳脊髄液が流れにくくなってしまうことが挙げられます。脳の機能に影響することで、脳脊髄液の産生が過剰になる、循環が悪く排出がうまくいかなくなるというケースもあります。

犬の水頭症の治療方法


水頭症は見た目からある程度の判断がつくこともありますが、血液検査やX線検査、超音波検査、CT検査、MRI検査、脳波検査など必要な検査を経て診断されます。
その結果、水頭症と診断されたときには、どのような治療が行われるのでしょうか。治療方法は、内科療法と外科療法の2パターンに分かれます。

内科療法

軽度から中度くらいの症状は、まず内科療法で様子を見ます。
内科療法では、脳脊髄液による脳への圧力を下げるための利尿薬や脳圧降下薬、脳脊髄液の過剰分泌を抑えるステロイド薬などの処方が一般的です。けいれん発作が見られる場合は、抗けいれん薬など、けいれんに対処する薬も処方されます。

完治させることは難しい面があり、投薬で症状をコントロールすることが主眼の治療です。そのため、服薬は長期に渡ることがあります。

外科療法

内科療法では症状の改善が見られない場合や、症状が重度の場合に行われるのが外科療法です。
具体的には、頭に針を刺してたまった脳脊髄液を抜く方法、脳からお腹に管を通す手術をして脳脊髄液を取り除く方法があります。後者は「脳室腹膜シャント」と呼ばれる手術で、改善効果が高いのですが、専門の獣医師でないと処置ができない、費用が高額になるといった懸念点があります。

いずれにしても外科手術は、体力的に愛犬にとって大きな負担がかかるものです。どのような治療方法を取るかは、獣医師の診察を受け、家族ともよく話し合ったうえで決めるようにしましょう。


愛犬に、この記事でお伝えしたような症状が見られたら、一度獣医師に相談することが大切です。できるだけ早いうちに治療を始められれば、愛犬への負担も軽くなります。そのためにも早期の受診を心がけてください。
監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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