【26年最新獣医師監修】犬の骨折の症状・見分け方は?応急処置や治療についても解説

愛犬が突然足をかばうように歩いたり、元気や食欲がなくなったりすると、「もしかして骨折?」と不安になる飼い主も多いのではないでしょうか。犬の骨折は、転倒や落下といった身近な事故でも起こり、外見からは判断が難しいケースも少なくありません。
本記事では、犬の骨折の症状や見分け方をはじめ、骨折が疑われる場合の応急処置、治療方法や治療期間・費用、日常生活でできる予防策までをわかりやすく解説します。いざというときに慌てず対応できるよう、ぜひ参考にしてください。
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犬の骨折の症状・見分け方
犬の骨折は、骨が皮膚の外に露出しない「閉鎖骨折」が多く、犬は痛みを隠す本能があることから必ずしも外見だけで判断できないことがあります。出血や明らかな変形が見られない場合でも、行動や体調に変化が現れる場合があります。そのため、普段の様子と比べて「何かおかしい」と感じたときには、骨折の可能性も視野に入れて観察することが重要です。ここでは、骨折が疑われる代表的な症状について解説します。
行動に違和感がある
骨折した犬は、痛みを避けるために行動が大きく変わることがあります。特に足を骨折している場合、患部をかばうように足を気にしたり、足をあげたまま歩いたり、引きずるような歩き方をする様子が見られることがあります。
また、普段は触られることを嫌がらない犬でも、骨折部位に触ろうとした際に強く嫌がったり、逃げようとしたりすることがあります。このような行動の変化が見られる場合は、無理に触らず、安静を保ったうえで動物病院を受診することが大切です。
食欲が低下する(元気がなくなる)
骨折による強い痛みや、それに伴うストレスは、犬の食欲や元気にも影響を与えることがあります。普段は食欲旺盛な犬が急に食事を残すようになったり、好物にも反応を示さなくなったりする場合は注意が必要です。
また、横になって過ごす時間が増えたり、呼びかけに対する反応が鈍くなるなど、全体的に元気がない様子が見られることもあります。こうした変化は、痛みを我慢しているサインの可能性があるため、軽視せず早めに対応しましょう。
呼吸が不規則になる
肋骨を骨折している場合、呼吸に影響が出ることがあります。息が荒くなったり、呼吸のリズムが不規則になったり、息苦しそうに見える様子がある場合は特に注意が必要です。肋骨が骨折すると、肺などの呼吸器が損傷し、放置すると命に関わることもあります。
呼吸に異変を感じた場合は、緊急性が高いケースもあるため、できるだけ早く動物病院を受診してください。
犬に骨折の疑いがある場合の応急処置
愛犬に骨折の疑いがあるとき、飼い主が慌ててしまうと、かえって状態を悪化させてしまうことがあります。強い痛みを感じている犬は興奮しやすく、無理な対応はさらなるケガや事故につながる恐れもあります。
大切なのは、落ち着いて行動し、犬の負担をできる限り抑えながら動物病院へ連れて行くことです。ここでは、骨折が疑われる場合に自宅で行える基本的な応急処置について解説します。
状態を確認する
犬に骨折の疑いがある場合、まずは冷静になり、全身の状態をそっと観察することが大切です。足や体の一部が不自然に腫れていないか、出血している箇所はないかなどを、無理に触らず目で確認しましょう。
ただし、強い痛みから犬が唸ったり噛みつこうとしたりするなど、攻撃的な反応を見せている場合は、無理に状態を確認する必要はありません。安全を優先し、速やかに動物病院を受診する判断も重要です。
骨折箇所を固定する
手足の骨折では、患部が不安定でプラプラと動いているように感じられることがあります。そのような場合は、割り箸や木の棒などを添え木として骨折箇所に沿わせ、ハンカチやタオルでやさしく固定する方法もありますが、無理な固定は症状を悪化させる恐れがあり、また現実的には痛みから犬が嫌がることで困難なことが殆どです。
固定が難しいと感じた場合は無理をせず次のように対応しましょう。
無理に動かさない
動物病院へ連れて行く際は、できるだけ犬が動かずに済むよう配慮することが重要です。キャリーケースを使用する場合は、中に毛布やクッションを敷き、体が安定するようにしてあげましょう。
自力で起き上がれない場合や大型犬の場合は、無理に抱き上げず、毛布やタオルの上に乗せて担架のようにして運ぶことで、体への負担を軽減できます。移動中もできるだけ揺れを抑え、静かに行動することを心がけてください。
犬の骨折の治療方法
犬が骨折した場合、治療方法は骨折の部位や程度、年齢、全身状態によって大きく異なります。そのため「必ずこの治療を行う」と一概には言えませんが、一般的には外部から固定する方法と、手術によって骨を固定する方法が中心となります。ここでは、動物病院で行われる代表的な骨折治療について解説します。
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治療方法 |
治療内容 |
特徴・注意点 |
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ギプス固定 |
骨折した部位をギプスや副木で外側から固定する |
不完全な骨折やズレの少ない骨折など比較的軽度の骨折に用いられる。犬への負担は少ないが、完全に元の形に戻らない場合もある |
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プレート固定 |
手術により骨を金属プレートとネジで固定する |
強固に固定でき、回復が早い傾向がある。全身麻酔を伴うため体への負担がある |
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創外固定 |
皮膚の外からピンを通して骨を固定する |
切開を最小限に抑えられるが、ピンが体外に露出するため管理が必要 |
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髄内ピン固定 |
骨の内部にピンを通して固定する |
単独では固定力が弱く、ギプスと併用されることが多い。近年では選択されるケースは減少傾向 |
ギプス固定は、骨のずれが小さい場合や手術が難しいケースで選択されることが多く、比較的身体への負担が少ない治療法です。一方で、骨折の状態によっては十分な固定が得られず、治癒後に歩行へ影響が残る可能性もあります。
骨折の程度が重い場合や、正確な位置に骨を戻す必要がある場合には、手術による治療が選択されます。プレートやピンを用いた固定方法には複数の種類があり、骨折の形や感染リスクなどを考慮して最適な方法が選ばれます。
また、骨自体は癒合しても、長期間動かさなかったことによって筋肉が萎縮したり、関節の動きが悪くなったりすることがあります。そのような場合には、獣医師の指導のもとでリハビリを行い、少しずつ元の歩行状態に近づけていくことが重要です。
犬の骨折の治療期間・費用

犬が骨折した場合、治療にどのくらいの期間がかかるのか、また費用はどの程度必要になるのかは、飼い主にとって大きな不安要素です。骨折の部位や重症度、治療方法によって差はありますが、ある程度の目安を知っておくことで、心構えや準備がしやすくなります。ここでは、治療期間と費用について一般的なケースをもとに解説します。
治療は2週間〜数ヵ月かかる
骨折の治療期間は、症状の軽重によって大きく異なります。軽度の骨折であれば、ギプス固定などの保存的な治療によって、早ければ2週間程度で骨の修復がある程度進むこともあります。一方で、手術を伴う骨折の場合は、入院や術後の経過観察、定期的な通院が必要となり、治療期間は2〜3ヵ月程度かかるケースが一般的です。歩行機能の回復までを含めると、さらに時間を要することもあります。
また、老犬では骨の再生力が低下しているため、回復までに時間を要し、完治まで半年ほどかかることもあります。
治療後にリハビリを行う場合もある
骨折の部位や治療内容によっては、治療後にリハビリを行うことがあります。特に足の骨折では、固定期間が長くなることで筋肉や関節の動きが低下しやすくなるため、着地の練習や関節のストレッチを段階的に取り入れていきます。
リハビリでは、骨が正しく癒合するよう適度な刺激を与えることも重要で、犬の状態を見ながら無理のない範囲で進めていくことが大切です。
治療費は20万円以上かかるケースが多い
犬の骨折治療にかかる費用は、治療方法によって大きく異なりますが、一般的には手術を伴う治療では20万円以上かかるケースが多いとされていますが、骨折の程度や治療方法によっては5万円程度で済む場合もあります。このような負担に備える方法として、ペット保険に加入していれば、治療内容によっては保険が適用され、自己負担を抑えられる場合もあります。
犬の骨折の原因
では、犬はどのような原因で骨折してしまうのでしょうか。大きな事故に遭わなくても、日常生活の中で骨折してしまうこともあります。
よく見られるのが、ソファなど高さのあるところや、飼い主さんの抱っこから飛び降りることです。飛び降りたとき、愛犬は前足で着地します。このとき、飛び降りた勢いと自分の体重を前足だけで受け止めなければなりません。つまり、前足に強い負荷がかかってしまうということです。
階段からすべり落ちたり、フローリングの床で滑って転んだりということも、骨折につながることがあります。また、閉まりかけのドアに挟まれて骨折してしまうことも。飼い主さんにとっては問題なく快適に過ごせる自宅であっても、愛犬にとっては危険が潜んでいる可能性があるのです。特に、ポメラニアンやトイ・プードルなど骨が細い犬種では、簡単に骨折してしまうことがあるので、注意が必要です。
また、誤って人に踏まれたり蹴られたりする、ドッグランで転倒したり衝突したりするといったことも、骨折につながることがあります。そのほか、病気や高齢により骨が弱っていることが原因ということもあるので、覚えておきましょう。
犬の骨折の予防方法
犬の骨折は、事故や不意の転倒によって突然起こることもありますが、日常生活の工夫によってリスクを減らすことが可能です。生活環境や食事、健康管理を見直すことで、骨や関節への負担を軽減し、ケガを防ぐことにつながります。ここでは、飼い主が日頃から意識したい予防方法を紹介します。
生活環境を安全に整える
段差が多い環境や床が滑りやすい状態は、犬の足に大きな負担をかけ、転倒や骨折の原因になりやすいです。室内では段差をできるだけ減らし、ソファやベッドなど高い場所に飛び乗らないようにしつけを行うことが理想です。
しつけが難しい場合は、専用のスロープやステップを設置することで、無理なジャンプを防ぐことができます。また、フローリングやタイルなど滑りやすい床では、犬がよく走る場所だけでもカーペットやラグを敷き、足元の安定性を高めてあげましょう。カーペットやラグを敷く場合は、ループに爪が引っ掛かって転倒するリスクがあるため、ループのないタイプのものを選ぶとよいです。
適切な食事と運動
骨や関節の健康を保つためには、日々の食事と運動が重要な役割を果たします。食事は量や与える時間、栄養バランスを意識し、成長段階や体調に合った内容を心がけましょう。獣医師に相談したうえで、EPAやDHAといった脂肪酸を含む関節ケア用のサプリメントを活用する方法もあります。
カルシウムは骨を強くするイメージがありますが、過剰に給与すると、リンなどの他のミネラルバランスが崩れて健康を損なうリスクもあるため、むやみに添加することは避けた方が無難です。
運動については、犬種や年齢に応じた適切な量を確保し、散歩や遊びを通じて無理のない範囲で体を動かすことが大切です。
健康診断を定期的に受ける
骨や関節に異常があると、わずかな衝撃でも骨折につながることがあります。こうしたリスクを早期に把握するためには、定期的な健康診断が欠かせません。健康診断によって骨密度や関節の状態に問題がないかを確認することで、予防や早期対応が可能になります。
特に老犬は骨や関節の機能が低下しやすいため、より意識的に健康チェックを受けることが重要です。
犬の骨折についてよくある質問

犬の骨折について調べていると、「どんな犬が骨折しやすいのか」「どの部位をケガしやすいのか」といった疑問を持つ飼い主は多いものです。ここでは、特に質問が多い内容について、犬種や骨折しやすい部位の特徴を交えながら解説します。
骨折しやすい犬種は?
骨折しやすい犬種としては、トイ・プードルやチワワ、マルチーズ、ミニチュア・ピンシャー、イタリアン・グレーハウンドなどの小型犬が挙げられます。これらの犬種は体重が軽く、手足の骨が細いため、落下や転倒といった比較的軽い衝撃でも骨折につながりやすい傾向があります。
特に成長期の子犬は骨がまだ十分に硬くなっていないため注意が必要です。また、活発でジャンプや走る動作が多い犬ほど、日常生活の中で骨折リスクが高まる点も特徴と言えるでしょう。
骨折しやすい部位は?
犬の骨折で多く見られるのは、前足の骨折です。ある保険会社の報告によると、犬の骨折部位は55%以上が前足だったとの報告があります。犬は高いところから飛び降りた際や転倒した際、前足から着地することが多く、体重や衝撃が前足に集中しやすいためです。前足は歩行や走行を支える重要な部位である分、骨折すると痛みが強く、歩行に大きな影響が出やすい傾向があります。
また、状況によっては後ろ足や肋骨を骨折するケースもあり、特に肋骨の骨折では呼吸に影響が出ることもあるため、早めの受診が重要です。
まとめ 犬の骨折は適切な処置と予防が大切
犬の骨折は、行動や体調の変化として現れることが多く、早期に気づいて対応することが重要です。骨折が疑われる場合は無理に動かさず、応急処置を行ったうえで速やかに動物病院を受診しましょう。
治療には数週間から数ヵ月かかることがあり、費用も高額になるケースがあります。日頃から生活環境を整え、適切な食事や運動、定期的な健康診断を心がけることで、愛犬の骨折リスクを減らすことにつながります。
- 監修者プロフィール
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岩谷 直(イワタニ ナオ)
経歴:北里大学卒業。大学研修医や企業病院での院長、製薬会社の開発や学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許


