犬の皮膚病の症状や原因・対策などを解説
2022.10.24
犬の皮膚病は、動物病院を受診する理由として上位に位置づけられる病気です。飼い主さんが気づきやすい病気ではあるのですが、ひと口に「皮膚病」といっても症状や原因はさまざま。原因に応じた対処が必要となります。
そこでこの記事では、犬によく見られる皮膚病をピックアップし、原因や対策をまとめました。かわいい愛犬の健やかな生活にお役立てください。
ただし、原因や症状の重さはさまざま。代表的な診断名だけでも、膿皮症(のうひしょう)、脂漏症(しろうしょう)、マラセチア皮膚炎、ニキビダニ症、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など、何種類もあります。
また、これらの中には、治療してすぐに快方に向かうものもあれば時間がかかるものも。遺伝性の疾患など完治が望めないケースもあり、その場合は生涯をかけて上手に付き合っていく必要があります。
それでは、犬の皮膚病の症状を具体的に見ていきましょう。
まず、わかりやすいのが脱毛です。部分的に毛が抜けてしまい、皮膚があらわになった状態をいいます。多くはかゆみを伴いますが、内分泌疾患に由来する場合は、かゆみがないことも。左右対称に抜けるかまばらに抜けるかなど、原因によって抜け方に特徴があり、診断の目安になります。
フケが多く出るのも、皮膚病の症状です。フケは、皮膚が再生するサイクルの過程で生じるもの。通常は3週間程度のサイクルなのでフケの量も気にならないほどですが、体内になんらかの異常が起きるとサイクルが短くなり、フケが目立つようになります。
かさぶたが目立つときも要注意です。かさぶたは皮膚を強い力で掻くなど、皮膚が傷ついたときに生じるもの。ケガをしていることも考えられますが、かゆみのある皮膚病でかさぶたができている可能性もあります。
ぶつぶつとした発疹が見られることもあります。色や大きさはさまざまで、手で触れたりブラッシングをしたりして気づくケースが多いようです。
被毛が脂っぽくなることも皮膚病の症状のひとつ。これは、皮脂の分泌に異常が起きているサインです。炎症やフケ、かさぶたなどを引き起こす要因でもあります。
しょっちゅう特定の部位をかいたりなめたりする、壁や床にこすりつけたりするなど、かゆがる仕草が見られるときも、皮膚病の可能性が大。毛をかき分けて、皮膚に赤みや発疹がないかをチェックしてみましょう。
次に皮膚病が起こる原因を見ていきましょう。
ひとつは、人間にもよく見られるアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギーです。
アトピー性皮膚炎には遺伝的な体質のほか、生活環境、犬種など、複数の要因が関与しているとされます。食物アレルギーは、フードに含まれる原材料や成分によって引き起こされます。
細菌感染によって皮膚病を発症することもあり、その代表が先ほど挙げた「膿皮症」です。膿皮症を引き起こす細菌は犬の皮膚に常在するものですが、内科的疾患などで皮膚機能のバランスが崩れると、発症につながるといわれています。
真菌、いわゆるカビも犬の皮膚病の原因のひとつです。代表的な症例が「マラセチア皮膚炎」。マラセチアも皮膚に常在している真菌(カビ)ですが、皮脂を栄養源としています。そのため、皮脂の分泌異常が起きると増殖してしまい、皮膚病を引き起こします。
ノミ、ダニ、シラミなどの害虫や寄生虫も激しいかゆみを伴う皮膚病の原因になります。それだけでなく、人間によくない影響が及ぶことも。日常生活にひそむ虫なので、注意したいところです。
さらには、ストレスも皮膚病の原因になるといわれています。例えば運動不足、長時間ケージに入れられているなどのストレス。犬はこういったストレスを、特定部位をひたすらなめるなどの行為で紛らわせようとします。すると、それが刺激となって皮膚に炎症が起きることがあります。
実は、生活環境上の乾燥も皮膚病の原因になります。人間もそうですが、乾燥しすぎると皮膚のバリア機能が損なわれてしまうのです。すると、かゆみが生じてしまうことがあります。
犬の皮膚病にはどのような対策が必要か、原因がわかると方法が見えてきます。
まずは、ストレスをためずに快適に過ごせる環境を整えること。室温や湿度にも気を配り、必要に応じて除湿や加湿することもポイントです。
ブラッシングや適度なシャンプー、ノミやマダニ対策の薬を使用するなどして丁寧なスキンケアを心がけていきましょう。ノミやマダニを増殖させないためには、部屋を清潔に保つことも大切です。
与えるフードは犬の栄養バランスを考えたものにしてください。皮膚の状態で気になることがある場合は、獣医師に相談のうえ、サプリメントで必要な成分を補給することも効果的です。
犬の皮膚病に気づいたら、すぐに動物病院に連れて行き、獣医師の診察を受けましょう。人間用の塗り薬をつけて様子を見るというようなことは、厳禁です。また、原因によっては人間に感染する可能性もあるので、部屋の掃除もしておくことをおすすめします。
獣医師は、血液検査やアレルギー検査を通して皮膚病の原因を探り、診断します。治療は投薬、注射、フード対応など、症状によって異なるので、指示通りに対処してください。
犬の皮膚病はポピュラーな病気であり、飼い主さんにとって気がつきやすい病気でもあります。また、ふだんからしっかりとケアをしていれば、予防することもできる病気です。飼い犬の様子をよく観察し、思い当たる原因があるときには取り除いていきましょう。もし皮膚に異常が見られたら、すぐに獣医師の診察を受けてくださいね。
そこでこの記事では、犬によく見られる皮膚病をピックアップし、原因や対策をまとめました。かわいい愛犬の健やかな生活にお役立てください。
犬の皮膚病とは
犬の皮膚病は、犬の皮膚に何かしらの異常が起きた状態をいいます。毛に覆われている犬の皮膚は、人間に比べると薄くてデリケート。そのため、ちょっとした刺激でも皮膚に異変が生じてしまうことがあります。ただし、原因や症状の重さはさまざま。代表的な診断名だけでも、膿皮症(のうひしょう)、脂漏症(しろうしょう)、マラセチア皮膚炎、ニキビダニ症、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など、何種類もあります。
また、これらの中には、治療してすぐに快方に向かうものもあれば時間がかかるものも。遺伝性の疾患など完治が望めないケースもあり、その場合は生涯をかけて上手に付き合っていく必要があります。
犬の皮膚病の症状
それでは、犬の皮膚病の症状を具体的に見ていきましょう。
まず、わかりやすいのが脱毛です。部分的に毛が抜けてしまい、皮膚があらわになった状態をいいます。多くはかゆみを伴いますが、内分泌疾患に由来する場合は、かゆみがないことも。左右対称に抜けるかまばらに抜けるかなど、原因によって抜け方に特徴があり、診断の目安になります。
フケが多く出るのも、皮膚病の症状です。フケは、皮膚が再生するサイクルの過程で生じるもの。通常は3週間程度のサイクルなのでフケの量も気にならないほどですが、体内になんらかの異常が起きるとサイクルが短くなり、フケが目立つようになります。
かさぶたが目立つときも要注意です。かさぶたは皮膚を強い力で掻くなど、皮膚が傷ついたときに生じるもの。ケガをしていることも考えられますが、かゆみのある皮膚病でかさぶたができている可能性もあります。
ぶつぶつとした発疹が見られることもあります。色や大きさはさまざまで、手で触れたりブラッシングをしたりして気づくケースが多いようです。
被毛が脂っぽくなることも皮膚病の症状のひとつ。これは、皮脂の分泌に異常が起きているサインです。炎症やフケ、かさぶたなどを引き起こす要因でもあります。
しょっちゅう特定の部位をかいたりなめたりする、壁や床にこすりつけたりするなど、かゆがる仕草が見られるときも、皮膚病の可能性が大。毛をかき分けて、皮膚に赤みや発疹がないかをチェックしてみましょう。
犬の皮膚病の原因
次に皮膚病が起こる原因を見ていきましょう。
ひとつは、人間にもよく見られるアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギーです。
アトピー性皮膚炎には遺伝的な体質のほか、生活環境、犬種など、複数の要因が関与しているとされます。食物アレルギーは、フードに含まれる原材料や成分によって引き起こされます。
細菌感染によって皮膚病を発症することもあり、その代表が先ほど挙げた「膿皮症」です。膿皮症を引き起こす細菌は犬の皮膚に常在するものですが、内科的疾患などで皮膚機能のバランスが崩れると、発症につながるといわれています。
真菌、いわゆるカビも犬の皮膚病の原因のひとつです。代表的な症例が「マラセチア皮膚炎」。マラセチアも皮膚に常在している真菌(カビ)ですが、皮脂を栄養源としています。そのため、皮脂の分泌異常が起きると増殖してしまい、皮膚病を引き起こします。
ノミ、ダニ、シラミなどの害虫や寄生虫も激しいかゆみを伴う皮膚病の原因になります。それだけでなく、人間によくない影響が及ぶことも。日常生活にひそむ虫なので、注意したいところです。
さらには、ストレスも皮膚病の原因になるといわれています。例えば運動不足、長時間ケージに入れられているなどのストレス。犬はこういったストレスを、特定部位をひたすらなめるなどの行為で紛らわせようとします。すると、それが刺激となって皮膚に炎症が起きることがあります。
実は、生活環境上の乾燥も皮膚病の原因になります。人間もそうですが、乾燥しすぎると皮膚のバリア機能が損なわれてしまうのです。すると、かゆみが生じてしまうことがあります。
犬の皮膚病の対策
犬の皮膚病にはどのような対策が必要か、原因がわかると方法が見えてきます。
まずは、ストレスをためずに快適に過ごせる環境を整えること。室温や湿度にも気を配り、必要に応じて除湿や加湿することもポイントです。
ブラッシングや適度なシャンプー、ノミやマダニ対策の薬を使用するなどして丁寧なスキンケアを心がけていきましょう。ノミやマダニを増殖させないためには、部屋を清潔に保つことも大切です。
与えるフードは犬の栄養バランスを考えたものにしてください。皮膚の状態で気になることがある場合は、獣医師に相談のうえ、サプリメントで必要な成分を補給することも効果的です。
犬が皮膚病になってしまったらどうすればいい?
犬の皮膚病に気づいたら、すぐに動物病院に連れて行き、獣医師の診察を受けましょう。人間用の塗り薬をつけて様子を見るというようなことは、厳禁です。また、原因によっては人間に感染する可能性もあるので、部屋の掃除もしておくことをおすすめします。
獣医師は、血液検査やアレルギー検査を通して皮膚病の原因を探り、診断します。治療は投薬、注射、フード対応など、症状によって異なるので、指示通りに対処してください。
犬の皮膚病はポピュラーな病気であり、飼い主さんにとって気がつきやすい病気でもあります。また、ふだんからしっかりとケアをしていれば、予防することもできる病気です。飼い犬の様子をよく観察し、思い当たる原因があるときには取り除いていきましょう。もし皮膚に異常が見られたら、すぐに獣医師の診察を受けてくださいね。
- 監修者プロフィール
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牛尾 拓(ウシオ タク)
経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許