【獣医師監修】フレンチブルドッグがなりやすい皮膚病は?対策や治療についても解説

2026.02.04
【獣医師監修】フレンチブルドッグがなりやすい皮膚病は?対策や治療についても解説

愛嬌のある顔つきと活発で社交的、そして遊び好きな性格が人気のフレンチブルドッグは、皮膚病の罹患率が高いことでも知られている犬種です。


本記事では、フレンチブルドッグに皮膚病が多い理由や発症しやすい皮膚病の概要や治療法、そしてご家庭で飼い主さんが実践できる皮膚病の対策等について、わかりやすく解説します。

目次

 

フレンチブルドッグの皮膚・被毛の特徴

 

フレンチブルドッグは、イギリス原産のブルドッグと同様に、古代モロシア犬に由来するマスティフ系の大型犬を小型化した犬種です。その外貌とサイズ感のギャップによるユニークさや、社交的で活発、遊び好きな性格により、日本でも人気の高い犬種です。


短毛で、光沢のある柔らかで滑らかな毛並みをしていますが、皮膚病にかかりやすいとも言われています。まずは、フレンチブルドッグの皮膚や被毛の特徴について解説します。

顔や体にシワが多い

フレンチブルドッグの外貌の最大の特徴が、顔のシワです。頭部に対称的なヒダやシワが、幅が広くて短いマズル(口吻)にも対称的なヒダが適度に入っています。


ヒダやシワの部分は通気性が悪くなるため皮脂や湿気がたまりやすく、特に口周りは食べかすも入り込むため、細菌やカビの繁殖による皮膚炎を起こしやすくなるという特徴があります。


通常体の皮膚は引き締まっていて、ブルドッグのような喉の下の皮膚のたるみはありません。肥満による皮膚のたるみを防ぐため、体重管理を心がけましょう。

他犬種より被毛が短い

皮膚には皮膚バリア機能があり、ウイルスや細菌などの病原体の侵入や、体内の水分の排出等を防いで体を守っています。そして被毛は、紫外線や寒気を直接皮膚に当てないようにすることで、皮膚バリア機能を補っています。


しかしフレンチブルドッグの被毛は短毛種の中でも特に短いため、間接的に皮膚トラブルのリスクが他犬種と比べても高くなる可能性があります。

アレルギー体質であることが多い

フレンチブルドッグは、遺伝的にアレルギー体質の素因を持っている傾向があると言われています。角質層の脂質異常や特定の遺伝子の変異など、皮膚バリア機能に関わる遺伝的要素が関与しているとされています。


アレルギー体質の犬は、特定の食材や花粉、ハウスダストなどのアレルゲンを口にしたり接触したりすることで、アレルギー反応を引き起こし、特に皮膚に反応が出ることが多いとされています。

 

フレンチブルドッグがなりやすい皮膚病    

 

フレンチブルドッグがなりやすい皮膚病

 

顔にヒダやシワが多く、皮膚バリア機能が弱いフレンチブルドッグは、総じて皮膚病にかかりやすい傾向があります。かかりやすい皮膚病には、下記の5つが挙げられます。


  • 犬アトピー性皮膚炎

  • 食物アレルギーによる皮膚炎

  • 膿皮症

  • マラセチア皮膚炎

  • ニキビダニ症


これらの皮膚病について、わかりやすく解説します。

犬アトピー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎は、犬種を問わず発症する、代表的な犬の皮膚病の一つです。主な症状は、しつこく続く中等度のかゆみで、犬は患部を舐める、噛む、引っ掻く、擦り付けるといった行為を繰り返します。


特に症状が出やすい場所は顔(目・鼻・口周り含む)、耳、首の内側、胸からお腹、脇、股、しっぽの付け根、足先で、左右対称に分布するのが特徴です。皮膚の薄い部分、皮膚と皮膚が重なる部分、お腹側をよくチェックしましょう。


アレルギー体質の犬が、花粉やハウスダストなど自然界に普通に存在し完全に排除することが困難なものを原因物質(アレルゲン)として引き起こすため、完治は難しく、アレルゲンを可能な範囲で排除した環境を整え、長期的に薬でかゆみなどの症状をコントロールしていくことになります。

犬のアトピー性皮膚炎の詳細については、下記の記事もご参照ください。

関連記事:

【獣医師監修】犬のアトピー性皮膚炎の症状・原因とは?治し方や治療費についても解説

https://vetzpetz.jp/blogs/column/dog-atobi

食物アレルギーによる皮膚炎

食物アレルギーは、特定の食材をアレルゲンとして引き起こされるアレルギー反応で、嘔吐や下痢といった消化器系の症状の他、アトピー性皮膚炎とよく似た皮膚の症状もよく現れます。特に耳、顔、足先、腋、お腹やお尻周りなどの皮膚バリアが薄い部位にかゆみが生じやすいとされています。


犬の場合、アレルゲンになりやすい食材は牛肉、乳製品、鶏肉、小麦などです。ただし、他の食材がアレルゲンとなることもあり得ますので、動物病院で除去食試験などの検査を行い、アレルゲンとなる食材を特定し、その食材を口に入れさせないようにすることが大切です。その上で、適切なスキンケア等を行うことで、二次感染を防ぎましょう。

膿皮症

膿皮症は、主に皮膚に常在しているブドウ球菌の過剰増殖で発症します。ブドウ球菌はさまざまな病原因子を産生し、表皮や毛包内に侵入します。そのため、ヒダやシワの中などの繁殖に適した環境で増殖すると、皮膚炎を引き起こしてしまうのです。


症状としては、中等度のかゆみと発疹が現れます。初期の発疹は、ブツブツとした膿を含んだニキビのようなできもの(膿疱)です。ブドウ球菌が毛包内で増えると、膿疱は毛孔の位置にでき、虫食いのような状態の脱毛になることもあります。また、黄色のフケが輪状につくのも特徴です。重度な場合は、大きなニキビのような腫れになることもあります。


症状が出やすい部位は体幹部(背中・胸・腹・尻)で、左右対称に分布することが多いですが、非対称に出る場合もあります。


犬の膿皮症の詳細については、下記の記事もご参照ください。

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【獣医師監修】犬の膿皮症の原因は?よくある症状や治療法・予防についても

https://vetzpetz.jp/blogs/column/dog-pyoderma

 

マラセチア皮膚炎

マラセチア皮膚炎は、皮膚に常在しているマラセチアという酵母様真菌の過剰増殖で発症します。マラセチアは主に皮脂を栄養にしているため、脂漏症が背景にあることが多いとされています。他にも、アトピー性皮膚炎、代謝異常、マラセチアに対するアレルギー反応などが背景に潜んでいる可能性があります。


症状は中等度のかゆみと赤みを持った発疹や大きくてベタついたフケです。また、マラセチアが増殖すると特有のにおいが生じることもありますマラセチアにアレルギーがある場合は、重度のかゆみになることもあります。かゆみが続くと掻きこわして炎症が進行し、脱毛や肥厚、色素沈着に進行していきます。


症状は左右対称に分布し、皮膚と皮膚が重なっているヒダやシワの部分、首の内側、脇、股、指の間、しっぽの付け根などに好発します。

ニキビダニ症

ニキビダニ症は、毛包内に常在するニキビダニの異常増殖で発症します。先天的素因、若齢や高齢、栄養不良、ホルモン異常、一部の薬剤などによる免疫力の低下で発症しやすく、二次的にブドウ球菌の感染を併発することもあります。


症状はかゆみと発疹です。ニキビダニ症単独によるかゆみは軽度ですが、ブドウ球菌やマラセチアによる二次感染を伴うと強いかゆみが出ます。毛孔に一致するブツブツの発疹、赤み、脱毛や、毛孔にフケが詰まって広がった発疹(コメド)が見られ、ブドウ球菌の感染や重症化により、膿疱、皮膚の腫れやただれ、出血へと進行します。


症状は左右対称に現れ、顔、頭部、足先に好発しますが、重症になると体幹も含め、広範囲に現れます。

犬のニキビダニ症の詳細については、下記の記事もご参照ください。

関連記事:

犬のニキビダニ症の症状や原因・治療法について解説

https://vetzpetz.jp/blogs/column/dog-demodex

 

フレンチブルドッグが皮膚病になった場合の治療

 

診断された皮膚病や症状、体質、背景に潜んでいる病気などを総合的に判断しながら、個別に適切な治療を行います。


<アトピー性皮膚炎・食物アレルギーによる皮膚炎>

症状や体質などに合わせてステロイド、免疫抑制剤、分子標的薬、抗ヒスタミン剤、減感作療法などによる治療が行われます。

ただし完治は難しく、症状を緩和して日常生活に支障が出ない範囲で維持することが治療の目的になります。定期的な通院による治療と並行して、生涯にわたる飼い主さんによるご自宅でのケアも、大切な治療の一環になります。


<膿皮症>

ブドウ球菌には、抗菌薬を使用します。ブドウ球菌が薬剤への抵抗性を獲得しないよう、獣医師の治療計画に則った投薬の継続が大切です。ただし常在菌なので、完全に取り除くことはできません。症状に応じた適切なスキンケアにも重点を置く必要があります。


<マラセチア皮膚炎>

膿皮症の治療と同様に、抗真菌薬を使用してマラセチアを取り除きながら、症状に合わせたスキンケアを重点に置いたコントロールを行います。


<ニキビダニ症>

ニキビダニには駆虫薬を、ブドウ球菌の増殖もある場合には、併せて抗菌薬を使用します。薬剤による治療をしっかりと行いながら、補助的にスキンケアを実施することで、しっかりとした治療を目指します。

 

フレンチブルドッグの皮膚病対策

体質や常在微生物による皮膚病は慢性化しやすいケースも多く、通院による投薬治療と併せて、飼い主さんによるご自宅での日頃の対策も大切になってきます。具体的には、次のような対策を行いましょう。


  • 日常的なスキンケア

  • バランスの整った食事

  • 清潔な生活環境

  • 定期的な健康チェック


ご家庭で実践できる上記のケアについて、わかりやすく解説します。


日常的なスキンケア

顔のシワは、フレンチブルドッグの魅力の一つです。しかし、皮膚病のリスクを引き上げる要因にもなっています。特に口周りは、フードの残りカスが入り込んで常在菌の増殖リスクを高めるため、毎食後にしっかりと、しかしやさしく食べカスを拭き取りましょう。


定期的に適切な洗浄を行い、全身も清潔に保ちましょう。洗浄の基本は「ブラッシング、入浴、シャンプー、すすぎ、保湿、ドライイング、アフターケア」です。シャンプーの種類や頻度、保湿用スプレーの使用などはなるべく自己判断せず、獣医師と相談して状態に適したケアを心がけましょう。

バランスの整った食事

皮膚病対策としては、内側からのスキンケアもとても重要です。皮膚バリア機能を十分に発揮できる健康な皮膚を維持するためには、皮膚の構成要素となるタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルを、バランスよく食事から摂らせることが大切です。


必要な栄養バランスは年齢や皮膚の状態によっても変化します。かかりつけの動物病院と十分に連携しながら、愛犬に最も適した栄養バランスが摂れる、良質な食事を与えましょう。獣医師のアドバイスを受けながら、不足しがちな栄養素をサプリメントから摂取するという方法もあります。

清潔な生活環境

特にアレルギーのある犬には、清潔な生活環境を整えることも重要です。こまめな掃除と換気や空気清浄機の活用などで、室内のハウスダストやダニ、カビへの対策を行いましょう。散歩等の外出時には、洋服を着用させることでアレルゲンの付着を抑えることも対策の一つとして検討してもよいかもしれません。


アレルギーの有無に関わらず、室内の温湿度管理も大切です。特に夏の高温多湿な時期には、室温を25〜28℃、湿度を60〜70%に維持することが望ましいです。

定期的な健康チェック

日々のスキンシップやブラッシング、爪切り、歯磨きなどのケア作業中や食事・排泄中の様子を観察し、日頃の様子をしっかりと把握しておきましょう。さらに、年に1回の動物病院での定期健診も大切です。


定期健診を続けることで、異常の早期発見につながります。また、スキンケアや生活習慣の改善など、健康管理のために必要なアドバイスを適切なタイミングで受けることができます。


愛犬がシニア期に入ったら、定期健診の頻度は年に2回以上に増やすことをおすすめします。


フレンチブルドッグの皮膚病についてよくある質問    

 

フレンチブルドッグの皮膚病についてよくある質問  

 

最後に、フレンチブルドッグの皮膚病について、よく寄せられる質問をご紹介します。愛犬の皮膚病対策の参考にしてください。

はげている箇所があるのは皮膚病?

脱毛していれば必ず皮膚病とは限りません。しかし脱毛だけではなく、かゆみが伴っていたり、腫れや赤み、フケの増加なども見られる場合には、皮膚病の可能性が考えられます。


あまりかゆみを伴わない場合は、パターン脱毛症や淡色被毛脱毛症など毛の構造異常によるものや、内分泌疾患(ホルモンバランスの不均衡)によるもの、季節性脱毛症(毛周期の異常)等、さまざまな原因があります。早めの受診で原因を究明し、適切に対処することが大切です。

皮膚病かどうか見分けるサインは?

愛犬の様子を普段からよく観察し、少しでも「いつもとは違う」と違和感を覚えた場合は、早めに診察を受けることをおすすめします。


特に「かゆがる」といった行動や、皮膚の「赤み、腫れ、フケ」、また撫でたときに「ベタつき」を感じるなどの変化を感じた場合は、皮膚病である可能性が高くなります。


かゆみには、制止すればすぐにやめられる軽度のものから、制止しても治らない重度のかゆみまであります。かゆみの度合いは正確な診断に欠かせないため、獣医師に伝えられるようにしっかりと把握しておきましょう。

 

まとめ フレンチブルドッグの皮膚病を悪化させないために

 

フレンチブルドッグは短毛なので、皮膚の状態を確認しやすいという利点がありますが、その分紫外線などの影響を受けやすく、皮膚トラブルのリスクが高くなる可能性があります。また遺伝的要因によりアレルギー体質が多い傾向にあったり、魅力の一つである顔のヒダやシワが皮膚病発症のリスクを上げる要因にもなっています。


日頃から愛犬の様子をよく観察し、定期健診を受けることで、早期発見・早期治療に努めましょう。また悪化を防ぐためには、定期的な通院による治療の継続と併せて、飼い主さんによるご自宅でのケアもとても大切です。


この記事を参考にし、動物病院としっかりと連携しながら、愛犬の皮膚病対策を行いましょう。

監修者プロフィール

岩谷 直(イワタニ ナオ)

経歴:北里大学卒業。大学研修医や企業病院での院長、製薬会社の開発や学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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