獣医師が解説!猫の軟骨異形成症(骨瘤)はどんな病気?スコティッシュフォールドやマンチカンなどの猫種は気を付けて!

2023.08.16
獣医師が解説!猫の軟骨異形成症(骨瘤)はどんな病気?スコティッシュフォールドやマンチカンなどの猫種は気を付けて!

 

ねこちゃんが快適に生活するためには日頃の健康管理が大切。 そのためにも気をつけたい病気について知っておきましょう。 今回は先天性の関節の病気、 猫の軟骨異形成症(骨軟骨形成不全症)について獣医師にお話を聞きました。

目次

どんな病気?

軟骨の形成に関与する遺伝子異常による遺伝病で、 軟骨が正常に成長しないで異常な形になり、骨瘤(こつりゅう 骨が増殖してこぶ状になったもの)ができてしまう病気です。

スコティッシュフォールドやマンチカンなどの猫種において、 若齢から発症する個体も多いため、これらの猫種に特異的な遺伝性疾患と考えられています。 これまでで最も早い発症は生後4ヶ月のスコティッシュフォールドでした。

症状の程度に差はありますが、 折れ耳のスコティッシュフォールドは100%この病気にかかっているともいわれています。

軟骨の異常がでやすい部位は、手首や足首の関節、 指の骨などです。 軟骨の異常が軽いうちは無症状ですが、進行して骨の変形がひどくなる と関節炎をひきおこし、痛みによって日常生活に様々な支障がでることに なります。

治療方法

進行性の病気で治療法が確立されていないため、猫用の消炎鎮痛剤をつ かって痛みと炎症を緩和する対症療法が中心となっています。

生涯にわたり付き合っていく病気なので、消炎鎮痛剤の副作用を最小限にするため、 なるべく少ない薬用量での管理が推奨されています。 脂肪酸のサプリメン トなどを併用すると、ねこちゃんへの負担も少なく長期管理にも安心です。

食事管理や環境で完全に予防することはできませんが、症状がでている 場合は関節への負担が少ない生活環境を整えましょう。 肥満している場合は、まずは適切な食事管理で減量して、関節への負担を減らしましょう。

こんな症状が出ていたら要注意

□ 爪切りや足先を触るとを極端に嫌がる
□ 以前よりも遊ばなくなった
□ おとなしく寝ている時間が長くなった
□ 耳が折れて垂れている
□ “スコ座り”をする
□ ジャンプが少なくなり、よじ登ることが増えた
□ 高いところから飛び下りるとき躊躇する
□ 毛づくろいをしなくなった

おうちで気をつけること

□ 低くて移動しやすい場所に快適な寝床を置く
□ 滑りにくく柔らかい床材 (カーペットや低反発マットを敷くなど)にする踏み台やスロープをつくって高い場所へも移動しやすくする
□ トイレの入り口を低くする
□ トイレの砂は柔らかいものにする
□ 飲み水や食器を、上り下りや移動が少なくて 済むような場所に複数設置する
□ 定期的に爪を切る
□ 適切な食事で体重管理をする (肥満の場合は減量する)

監修者プロフィール

東山哲 先生

ひがしやま動物病院 (東京都杉並区)
キャットフレンドリークリニック
JSFMねこ医学会副会長

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