老猫の介護方法と飼い主の負担を減らすコツ
2022.11.21
食事、トイレ、毛づくろい――基本的に猫は、環境を整えておけば自分のことは自分でできる動物です。しかし老猫になると、できなくなること、しなくなることが増え、飼い主さんが介護しなければならないこともあります。その変化にとまどうこともあるかもしれませんが、工夫をすれば負担の少ない介護も可能です。この記事では、老猫の介護方法についてお伝えします。
猫は3歳ごろに成猫になり、その後7歳~10歳の中年期中高齢期になると少しずつ老化が始まり、11歳ごろから高齢期に突入します。その変化の中には、飼い主さんが気づきやすいこともあれば、気づきにくいこともあるので、注意深く観察してあげましょう。
気づきにくいのは、老猫に多い腎臓疾患など内臓の病気ですが、水を飲む量の変化、尿の様子に症状が出ていることがあります。愛猫の様子をよく見て、気になることがあれば早めに受診しましょう。
気づきやすいのは、行動や見た目の変化です。例えば、熱心にやっていた毛づくろいや爪とぎをしなくなることがあげられます。そうすると、被毛はツヤがなくなってボサボサした感じになりますし、爪は削れずに伸びたまま。また、トイレの回数が増え、時には失敗することもありますし、ジャンプのような行動は見られなくなります。
外見では筋肉量が減って太ももが細くなる、お腹がたるむ、歯が黄ばむなどの変化も。口臭がきつくなる、いつも目やにがついているなども、老化のサインです。
では、老猫の介護ではどのようなことを心がければいいのでしょうか。ポイントを確認しておきましょう。
まず実行したいのが、生活環境の見直しです。筋力が落ちてくると、それまで自由に行き来していた場所に行くことがおっくうになり、行動範囲が狭まります。ベッド、食事の場所、トイレの配置を見直し、愛猫が動きやすいように工夫しましょう。室温の変化の大きい場所やエアコンの風が直撃する場所、騒がしい場所を避け、清潔を保つことも大切です。
そのうえで愛猫の様子に変化が見られたら、早めに動物病院を受診するようにします。病気が見つかれば治療できますし、そうでなくても獣医師に介護のアドバイスをもらえると、飼い主さんにとっても安心です。
次に具体的な介護の方法について項目に分けて見ていきましょう。
また、頭を下げての食事は、老猫にとっては負担です。食器は台に置くなどして、高さを確保してあげましょう。そうしてあげることで、食事が食べやすくなります。
また、老猫になるとトイレの回数が増える場合がありますので、すぐに行ける場所に設置するほか、複数のトイレを置いておくといいでしょう。
愛猫が動けず寝たきりになったり、病気で食事がうまくとれなくなったりしたときには、次のような方法で介護をしましょう。
排泄は、おむつの利用を検討します。猫用のおむつも市販されていますし、体格によっては小型犬用のおむつも使用可能です。しっぽの穴を開ければ人間の赤ちゃん用のおむつでもかまいません。ただ、おむつは蒸れやすいという弱点があります。こまめに交換するようにしてください。
食事が上手にできない場合は、シリンジという注射器型の道具を使い、流動食を口の中に流し込みます。むせないように、少しずつ流し込むことがポイントです。
また、血行を促すためにマッサージをしてあげることも大切です。マッサージはコミュニケーションにもなりますので、ストレス軽減にもつながるとされています。ただし、痛がる素振りを見せた場合は、すぐにマッサージを中止して、獣医師に相談するようにしてください。
あまり手のかからなかった愛猫でも、老猫になると飼い主さんの負担が増えることがあります。そんなとき大切なのは、一人で頑張ろうとしないことです。
心配なことがあったら早めに獣医師の診断やアドバイスを仰ぎ、状況によっては猫の介護施設やペットシッターの利用も検討してみましょう。飼い主さんがダウンしてしまっては、元も子もありません。飼い主さんの健康、愛猫の健康、どちらも守れるように行動することが大切です。
老猫の介護方法についてお伝えしました。食事、トイレなど、愛猫の変化に気を配りながら、必要な対処をしてみてください。心がけたいのは、一人で背負い込まないことです。愛猫のためにも、自分自身のためにも、気になることは獣医師に相談し、ケアが大変なときは介護施設やペットシッターの利用も検討していきましょう。
老猫の変化に気づいてあげよう
猫は3歳ごろに成猫になり、その後7歳~10歳の中年期中高齢期になると少しずつ老化が始まり、11歳ごろから高齢期に突入します。その変化の中には、飼い主さんが気づきやすいこともあれば、気づきにくいこともあるので、注意深く観察してあげましょう。
気づきにくいのは、老猫に多い腎臓疾患など内臓の病気ですが、水を飲む量の変化、尿の様子に症状が出ていることがあります。愛猫の様子をよく見て、気になることがあれば早めに受診しましょう。
気づきやすいのは、行動や見た目の変化です。例えば、熱心にやっていた毛づくろいや爪とぎをしなくなることがあげられます。そうすると、被毛はツヤがなくなってボサボサした感じになりますし、爪は削れずに伸びたまま。また、トイレの回数が増え、時には失敗することもありますし、ジャンプのような行動は見られなくなります。
外見では筋肉量が減って太ももが細くなる、お腹がたるむ、歯が黄ばむなどの変化も。口臭がきつくなる、いつも目やにがついているなども、老化のサインです。
老猫の介護のポイント
では、老猫の介護ではどのようなことを心がければいいのでしょうか。ポイントを確認しておきましょう。
まず実行したいのが、生活環境の見直しです。筋力が落ちてくると、それまで自由に行き来していた場所に行くことがおっくうになり、行動範囲が狭まります。ベッド、食事の場所、トイレの配置を見直し、愛猫が動きやすいように工夫しましょう。室温の変化の大きい場所やエアコンの風が直撃する場所、騒がしい場所を避け、清潔を保つことも大切です。
そのうえで愛猫の様子に変化が見られたら、早めに動物病院を受診するようにします。病気が見つかれば治療できますし、そうでなくても獣医師に介護のアドバイスをもらえると、飼い主さんにとっても安心です。
老猫の基本の介護方法
次に具体的な介護の方法について項目に分けて見ていきましょう。
食事
フードは、老猫が食べやすいシニア用に変更します。ドライフードの場合は、お湯でふやかすか、ウェットフードと組み合わせてみてください。食べやすく、消化もよくなります。また、頭を下げての食事は、老猫にとっては負担です。食器は台に置くなどして、高さを確保してあげましょう。そうしてあげることで、食事が食べやすくなります。
爪切り
爪とぎをしなくなり、動き回ることも少なくなると、爪が伸びっぱなしになります。爪は丸まるように伸びていくので、放置しておくと肉球に爪が刺さってケガをすることも。また、爪が収納できなくなり、出たままになるケースもあります。これは、愛猫だけでなく飼い主さんにとっても危険な状態です。爪はこまめにチェックし、カットしてあげてください。ブラッシング
老猫になると毛づくろいをしなくなることがあるので、定期的にブラッシングをしてあげましょう。そのほか、専用のウェットタオルや濡らしたガーゼで、口や目の周り、被毛、おしりを拭いてあげると清潔に保てます。ベッド
寝るときの負担が軽減できるよう、ほどよいクッション性のあるベッドを用意します。ベッドの上にペットシーツやタオルを敷き、こまめな交換を心がけましょう。ベッドの位置は、老猫が出入りしやすい場所がベストです。夏はエアコンの風当り、冬は保温にも気を配ってください。トイレ
トイレのふちが老猫にとっては高いことがあります。そのようなときは、台を置いて入りやすくするか、ふちの低いトイレに変えましょう。また、老猫になるとトイレの回数が増える場合がありますので、すぐに行ける場所に設置するほか、複数のトイレを置いておくといいでしょう。
寝たきりや病気の老猫の介護方法
愛猫が動けず寝たきりになったり、病気で食事がうまくとれなくなったりしたときには、次のような方法で介護をしましょう。
排泄は、おむつの利用を検討します。猫用のおむつも市販されていますし、体格によっては小型犬用のおむつも使用可能です。しっぽの穴を開ければ人間の赤ちゃん用のおむつでもかまいません。ただ、おむつは蒸れやすいという弱点があります。こまめに交換するようにしてください。
食事が上手にできない場合は、シリンジという注射器型の道具を使い、流動食を口の中に流し込みます。むせないように、少しずつ流し込むことがポイントです。
また、血行を促すためにマッサージをしてあげることも大切です。マッサージはコミュニケーションにもなりますので、ストレス軽減にもつながるとされています。ただし、痛がる素振りを見せた場合は、すぐにマッサージを中止して、獣医師に相談するようにしてください。
老猫の介護に向き合う飼い主の負担を減らすコツ
あまり手のかからなかった愛猫でも、老猫になると飼い主さんの負担が増えることがあります。そんなとき大切なのは、一人で頑張ろうとしないことです。
心配なことがあったら早めに獣医師の診断やアドバイスを仰ぎ、状況によっては猫の介護施設やペットシッターの利用も検討してみましょう。飼い主さんがダウンしてしまっては、元も子もありません。飼い主さんの健康、愛猫の健康、どちらも守れるように行動することが大切です。
老猫の介護方法についてお伝えしました。食事、トイレなど、愛猫の変化に気を配りながら、必要な対処をしてみてください。心がけたいのは、一人で背負い込まないことです。愛猫のためにも、自分自身のためにも、気になることは獣医師に相談し、ケアが大変なときは介護施設やペットシッターの利用も検討していきましょう。
- 監修者プロフィール
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牛尾 拓(ウシオ タク)
経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許