猫のシニア期は何歳から? 老猫のお世話の注意点
2022.11.03
人間よりも早いペースで年を取る愛猫。ついこの間まで子猫だと思っていたら、あっという間に大人になり、老猫に……。とはいえ、外見の変化があまり見られない場合は、成猫なのかシニア期に入っているのかわかりにくい面があります。何歳からが老猫と呼ばれるシニア期で、子猫や成猫とはお世話をどのように変えていけばいいのでしょうか。この記事で解説します。
愛猫の成長は人間に比べるととても早く、生後6か月で人間年齢の10歳、1歳で15歳、2歳で24歳に換算することができるとされています。2歳以降は、人間で4歳分ずつ年を重ねていきますから、3歳で28歳、4歳で32歳と、人間でいったら現役のビジネスマン世代に相当するわけです。
このように年齢を重ねていく愛猫のシニア期というのは、いったい何歳からなのでしょうか。近年の獣医学界では、ざっくりと次のように分類をしています。
7歳〜10歳が中高年期、11歳〜14歳が高齢期、15歳以上になると老齢期。この分類でいくと、高齢期に入る11歳以降がシニア期といえます。ただ、中高年期に入る7歳〜8歳ごろになると、体の機能が衰え始め、健康診断で異常が見つかるケースも出てくるようです。そのことも、ぜひ念頭に置いておいてください。
シニア期に入った愛猫は、顔つきはさほど変わらないケースもありますが、よく観察するとさまざまな変化に気づくことができます。
まずは、毛並みです。成猫は毛づくろいを丁寧に行うことが一般的ですが、シニア期に入ると毛づくろいの回数が減り、毛がボサボサしてくるケースがあります。これは、比較的わかりやすい老化現象のひとつです。
それまでは器用に足を上げたり体を曲げたりして全身の毛をなめることができましたが、関節に痛みがあったりすると、思うような体勢をとることができません。そうなると、だんだん毛づくろいをしなくなり、毛につやがなくなるだけでなく、毛玉状にかたまってしまうことも。また、多くの老猫が腎臓に問題を抱えているとされていますが、水分や栄養素の代謝が落ちて毛のつやが悪くなることもあります。
そのほか、目やにが目立つようになる、歯周病により口臭が強くなる、爪とぎをしなくなるため爪の皮が太くなったり形が変わったりするなどの変化も見られます。定期的に全身の様子をチェックして、変化に気づけるようにしましょう。
生活面では、睡眠にも老化のサインが見て取れます。子猫や成猫であってもよく寝る動物ではあるのですが、以前に比べてさらに睡眠時間が長くなったら、老化が原因かもしれません。そうかと思えば、睡眠時間が乱れ、夜も寝ずに動き回る老猫もいます。甲状腺機能の亢進が関係するともいわれる症状ですが、いずれにしても老猫になると、これまでと違う睡眠の様子が見られるケースがあることを覚えておくといいでしょう。
また、シニア期に入ると、それまできちんとできていたトイレの失敗が増えることもあります。老猫にとってはトイレのふちが高すぎてまたぎにくい可能性もありますし、認知機能に障害が出て粗相をしてしまうことも考えられます。
運動面では、高いところに上がらなくなった、動作が鈍くなった、どこかをかばうように歩くなどの変化も。食事では、量が減ることもあれば、食欲は増しているのにどんどん痩せていくということもあり、ふと背中をなでてみたら骨がゴツゴツしていることに驚いたという飼い主さんもいます。日々愛猫とコミュニケーションを取りながら、変化がないかチェックしていきましょう。
愛猫がシニア期に入ったら、どのようにお世話をしてあげたらいいのでしょうか。基本的には愛猫の様子をよく観察し、変化に対応することを心がけていきましょう。
例えば、フードが食べにくそうなら、高齢猫用に柔らかくしたフードや粒の細かいフードを用意してあげましょう。老猫の場合、腎機能の働きに関連して水をたくさん飲みたがる場合があるので、いつでも新鮮な水が飲めるようにしておきます。必要であれば、数カ所に水飲み場を作ってあげるといいでしょう。
トイレをまたぐのが大変そうなときは、浅めのトイレに替えてあげてください。動きが鈍くなってトイレに間に合わないと考えられるなら、複数のトイレを設置しておくと安心です。
キャットタワーやキャットウォークの造りも見直してみましょう。老猫に使いやすく組み替えるか、不要であれば撤去することも検討してみてください。
もうひとつ、ブラッシングで毛づくろいのサポートをしてあげることも大切です。かたい毛玉になってしまうと、なかなかほぐすことができません。愛猫にとっても不快なものとなりますので、しっかりとケアをしてあげましょう。
愛猫は、どんなに飼い主さんのことを信頼していても、痛みや不調を見せようとしない動物です。シニア期の変化や不調も、愛猫から訴えてくることはほとんどないでしょう。だからこそ、定期的に健康診断を受けること、日々のスキンシップが大切になってきます。
抱っこをしたりブラッシングをしたりして体調を観察するようにすると、変化に気づきやすくなるはずです。気になる症状を見落とさないよう、しっかりとケアをしていきましょう。
愛猫もシニア期に入ると、見た目や体調にさまざまな変化が出てくると思います。年齢で分類するとシニア期は11歳からになりますが、7歳を過ぎると老化のサインが現れるので注意したいところです。定期的に健康診断を受け、スキンシップをはかることで、小さなサインにも気づきやすくなります。愛猫の状態に合わせたお世話をして、快適な生活をサポートしてあげてくださいね。
猫のシニア期は何歳から
愛猫の成長は人間に比べるととても早く、生後6か月で人間年齢の10歳、1歳で15歳、2歳で24歳に換算することができるとされています。2歳以降は、人間で4歳分ずつ年を重ねていきますから、3歳で28歳、4歳で32歳と、人間でいったら現役のビジネスマン世代に相当するわけです。
このように年齢を重ねていく愛猫のシニア期というのは、いったい何歳からなのでしょうか。近年の獣医学界では、ざっくりと次のように分類をしています。
7歳〜10歳が中高年期、11歳〜14歳が高齢期、15歳以上になると老齢期。この分類でいくと、高齢期に入る11歳以降がシニア期といえます。ただ、中高年期に入る7歳〜8歳ごろになると、体の機能が衰え始め、健康診断で異常が見つかるケースも出てくるようです。そのことも、ぜひ念頭に置いておいてください。
シニア期の猫に現れる老化による変化
シニア期に入った愛猫は、顔つきはさほど変わらないケースもありますが、よく観察するとさまざまな変化に気づくことができます。
まずは、毛並みです。成猫は毛づくろいを丁寧に行うことが一般的ですが、シニア期に入ると毛づくろいの回数が減り、毛がボサボサしてくるケースがあります。これは、比較的わかりやすい老化現象のひとつです。
それまでは器用に足を上げたり体を曲げたりして全身の毛をなめることができましたが、関節に痛みがあったりすると、思うような体勢をとることができません。そうなると、だんだん毛づくろいをしなくなり、毛につやがなくなるだけでなく、毛玉状にかたまってしまうことも。また、多くの老猫が腎臓に問題を抱えているとされていますが、水分や栄養素の代謝が落ちて毛のつやが悪くなることもあります。
そのほか、目やにが目立つようになる、歯周病により口臭が強くなる、爪とぎをしなくなるため爪の皮が太くなったり形が変わったりするなどの変化も見られます。定期的に全身の様子をチェックして、変化に気づけるようにしましょう。
生活面では、睡眠にも老化のサインが見て取れます。子猫や成猫であってもよく寝る動物ではあるのですが、以前に比べてさらに睡眠時間が長くなったら、老化が原因かもしれません。そうかと思えば、睡眠時間が乱れ、夜も寝ずに動き回る老猫もいます。甲状腺機能の亢進が関係するともいわれる症状ですが、いずれにしても老猫になると、これまでと違う睡眠の様子が見られるケースがあることを覚えておくといいでしょう。
また、シニア期に入ると、それまできちんとできていたトイレの失敗が増えることもあります。老猫にとってはトイレのふちが高すぎてまたぎにくい可能性もありますし、認知機能に障害が出て粗相をしてしまうことも考えられます。
運動面では、高いところに上がらなくなった、動作が鈍くなった、どこかをかばうように歩くなどの変化も。食事では、量が減ることもあれば、食欲は増しているのにどんどん痩せていくということもあり、ふと背中をなでてみたら骨がゴツゴツしていることに驚いたという飼い主さんもいます。日々愛猫とコミュニケーションを取りながら、変化がないかチェックしていきましょう。
シニア期の猫のお世話
愛猫がシニア期に入ったら、どのようにお世話をしてあげたらいいのでしょうか。基本的には愛猫の様子をよく観察し、変化に対応することを心がけていきましょう。
例えば、フードが食べにくそうなら、高齢猫用に柔らかくしたフードや粒の細かいフードを用意してあげましょう。老猫の場合、腎機能の働きに関連して水をたくさん飲みたがる場合があるので、いつでも新鮮な水が飲めるようにしておきます。必要であれば、数カ所に水飲み場を作ってあげるといいでしょう。
トイレをまたぐのが大変そうなときは、浅めのトイレに替えてあげてください。動きが鈍くなってトイレに間に合わないと考えられるなら、複数のトイレを設置しておくと安心です。
キャットタワーやキャットウォークの造りも見直してみましょう。老猫に使いやすく組み替えるか、不要であれば撤去することも検討してみてください。
もうひとつ、ブラッシングで毛づくろいのサポートをしてあげることも大切です。かたい毛玉になってしまうと、なかなかほぐすことができません。愛猫にとっても不快なものとなりますので、しっかりとケアをしてあげましょう。
シニア期の猫のお世話をする上での注意点
愛猫は、どんなに飼い主さんのことを信頼していても、痛みや不調を見せようとしない動物です。シニア期の変化や不調も、愛猫から訴えてくることはほとんどないでしょう。だからこそ、定期的に健康診断を受けること、日々のスキンシップが大切になってきます。
抱っこをしたりブラッシングをしたりして体調を観察するようにすると、変化に気づきやすくなるはずです。気になる症状を見落とさないよう、しっかりとケアをしていきましょう。
愛猫もシニア期に入ると、見た目や体調にさまざまな変化が出てくると思います。年齢で分類するとシニア期は11歳からになりますが、7歳を過ぎると老化のサインが現れるので注意したいところです。定期的に健康診断を受け、スキンシップをはかることで、小さなサインにも気づきやすくなります。愛猫の状態に合わせたお世話をして、快適な生活をサポートしてあげてくださいね。
- 監修者プロフィール
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牛尾 拓(ウシオ タク)
経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許