老犬の認知症はどんな症状? 予防と対処についても解説
2022.11.01
人間だけでなく、老犬も認知症を発症することをご存じですか。人間の認知症は初期症状になかなか気づきにくい面がありますが、老犬の場合はどうなのでしょうか。愛犬も大切な家族の一員です。老犬と呼ばれる年齢になっても、安心して健やかに過ごしてほしいもの。
この記事では老犬の認知症について解説しますので、ぜひ理解を深めてください。
老犬の認知症は、人間同様、脳に障害が起きて認知機能が低下し、生活に支障が出る状態を指します。犬の場合、年齢でいうと7歳から「シニア」に区分されますが、シニアになると症状が出始め、年齢が上がるにつれて認知症を発症する確率は上がっていきます。アメリカで実施された調査によれば11歳~12歳の犬のおよそ30%、15歳~16歳の犬のおよそ70%に認知症を示唆する症状が確認されるそうです。
犬種や体の大きさなどによる違いはあるものの、犬が10歳前後の年齢を迎えたら、認知症も含めた体調管理には気をつけたほうがいいでしょう。
さて、老犬が認知症になると、具体的にどのような症状が出るのでしょうか。すべての症状が出るというわけではないのですが、次に挙げる症状のいずれか、あるいは複数に思い当たる場合は、認知症の疑いがあるといえます。
まず、夜鳴きや無駄吠えが増えること。これは飼い主さんにとっては、気づきやすい症状のひとつです。そのほか、ぐるぐると同じ方向に回り続けてしまう旋回、目的もなくウロウロと歩き続けてしまう徘徊など、これまでにはない歩行行動も認知症の症状といえます。部屋の隅など狭い場所に入って、そこから自力で出られなくなる場面が増えてくるのも要注意です。
また、トイレの失敗など、これまでできていたことができなくなることも認知症の可能性があります。犬の名前を呼んでも反応しなかったり、遊びに誘っても興味を示さなくなったりという変化も見られますし、逆に、感情の起伏が激しくなり、いきなり噛みつくなど攻撃的な性格になってしまうことも。
そのほか、食事を終えてもさらにドッグフードを要求する食欲の異常、昼間は寝ているのに夜になると活発になる昼夜逆転の行動も、認知症の症状として知られているものです。
もし愛する老犬が認知症になってしまったら、飼い主さんとしてはどのように対処したらいいのでしょうか。まずは、動物病院を受診し、獣医師にアドバイスをもらうことが第一です。そのうえで、犬が快適に暮らせる工夫をしてあげましょう。
具体的には、食事や散歩といった生活サイクルを整え、落ち着いて過ごせるように心がけることです。グルグル歩き回って家具などにぶつかってしまう老犬には、飼い主さんの生活に支障のない範囲で家具を減らしたり、クッション性のあるマットでガードしたりして、危険を減らしてあげてください。広い場所をサークル状に仕切り、老犬が自由に歩き回れる空間を確保することも有効です。
また、脳の機能をこれ以上低下させないためには、マッサージをするなどして積極的なコミュニケーションをとること、運動させることも欠かせません。食事は、栄養バランスが偏らないように配慮して与えるようにします。
残念ながら認知症そのものを治療することはできないのですが、症状を軽減するために薬を使うことがあります。どのような薬が処方されるかは老犬の症状などを見て獣医師が判断するため一概には言えないのですが、気持ちを落ち着かせる鎮静剤や精神安定剤のほか、サプリメントで様子を見ることもあります。
全身の血流がよくなるように、鍼治療を取り入れている動物病院もあるので、獣医師と相談しながら、老犬に合った治療法を取り入れていきましょう。
認知症の原因は現在のところはっきりしていませんが、脳の機能に障害が見られることはわかっています。つまり、日常的に脳を刺激して、障害が出にくいようにしてあげることが予防法ともいえるのです。
例えば老犬に運動をさせるときは、ただ走らせるのではなく、放り投げたフリスビーを持ってくるなど、ちょっと頭を使うような工夫をすることも方法の一つ。これは、飼い主さんと老犬とのコミュニケーションにもつながります。
散歩では、時々コースを変えることも有効です。いつもとは違う景色や道の様子が老犬にとって刺激となります。坂や階段も、無理のない範囲で散歩コースに取り入れてみると良いでしょう。ただし、舗装されていない道路や歩きづらい道路など、老犬のケガにつながるような道は避けるようにします。
老犬にこれまでと違う様子や気になる動きが出てきたら、認知症の可能性も否定できません。気になることがあったらひとりで抱え込まず、動物病院を受診してアドバイスをもらうことも大切です。老犬認知症について理解し、生活環境を見直すなど老犬にとって心地好く過ごせる環境を整備しましょう。適切に対処すれば、老犬も飼い主さんも健やかに過ごせますよ。
この記事では老犬の認知症について解説しますので、ぜひ理解を深めてください。
老犬の認知症
老犬の認知症は、人間同様、脳に障害が起きて認知機能が低下し、生活に支障が出る状態を指します。犬の場合、年齢でいうと7歳から「シニア」に区分されますが、シニアになると症状が出始め、年齢が上がるにつれて認知症を発症する確率は上がっていきます。アメリカで実施された調査によれば11歳~12歳の犬のおよそ30%、15歳~16歳の犬のおよそ70%に認知症を示唆する症状が確認されるそうです。
犬種や体の大きさなどによる違いはあるものの、犬が10歳前後の年齢を迎えたら、認知症も含めた体調管理には気をつけたほうがいいでしょう。
老犬の認知症の症状
さて、老犬が認知症になると、具体的にどのような症状が出るのでしょうか。すべての症状が出るというわけではないのですが、次に挙げる症状のいずれか、あるいは複数に思い当たる場合は、認知症の疑いがあるといえます。
まず、夜鳴きや無駄吠えが増えること。これは飼い主さんにとっては、気づきやすい症状のひとつです。そのほか、ぐるぐると同じ方向に回り続けてしまう旋回、目的もなくウロウロと歩き続けてしまう徘徊など、これまでにはない歩行行動も認知症の症状といえます。部屋の隅など狭い場所に入って、そこから自力で出られなくなる場面が増えてくるのも要注意です。
また、トイレの失敗など、これまでできていたことができなくなることも認知症の可能性があります。犬の名前を呼んでも反応しなかったり、遊びに誘っても興味を示さなくなったりという変化も見られますし、逆に、感情の起伏が激しくなり、いきなり噛みつくなど攻撃的な性格になってしまうことも。
そのほか、食事を終えてもさらにドッグフードを要求する食欲の異常、昼間は寝ているのに夜になると活発になる昼夜逆転の行動も、認知症の症状として知られているものです。
老犬の認知症の対処法
もし愛する老犬が認知症になってしまったら、飼い主さんとしてはどのように対処したらいいのでしょうか。まずは、動物病院を受診し、獣医師にアドバイスをもらうことが第一です。そのうえで、犬が快適に暮らせる工夫をしてあげましょう。
具体的には、食事や散歩といった生活サイクルを整え、落ち着いて過ごせるように心がけることです。グルグル歩き回って家具などにぶつかってしまう老犬には、飼い主さんの生活に支障のない範囲で家具を減らしたり、クッション性のあるマットでガードしたりして、危険を減らしてあげてください。広い場所をサークル状に仕切り、老犬が自由に歩き回れる空間を確保することも有効です。
また、脳の機能をこれ以上低下させないためには、マッサージをするなどして積極的なコミュニケーションをとること、運動させることも欠かせません。食事は、栄養バランスが偏らないように配慮して与えるようにします。
老犬の認知症の治療法
残念ながら認知症そのものを治療することはできないのですが、症状を軽減するために薬を使うことがあります。どのような薬が処方されるかは老犬の症状などを見て獣医師が判断するため一概には言えないのですが、気持ちを落ち着かせる鎮静剤や精神安定剤のほか、サプリメントで様子を見ることもあります。
全身の血流がよくなるように、鍼治療を取り入れている動物病院もあるので、獣医師と相談しながら、老犬に合った治療法を取り入れていきましょう。
老犬の認知症の予防法
認知症の原因は現在のところはっきりしていませんが、脳の機能に障害が見られることはわかっています。つまり、日常的に脳を刺激して、障害が出にくいようにしてあげることが予防法ともいえるのです。
例えば老犬に運動をさせるときは、ただ走らせるのではなく、放り投げたフリスビーを持ってくるなど、ちょっと頭を使うような工夫をすることも方法の一つ。これは、飼い主さんと老犬とのコミュニケーションにもつながります。
散歩では、時々コースを変えることも有効です。いつもとは違う景色や道の様子が老犬にとって刺激となります。坂や階段も、無理のない範囲で散歩コースに取り入れてみると良いでしょう。ただし、舗装されていない道路や歩きづらい道路など、老犬のケガにつながるような道は避けるようにします。
老犬にこれまでと違う様子や気になる動きが出てきたら、認知症の可能性も否定できません。気になることがあったらひとりで抱え込まず、動物病院を受診してアドバイスをもらうことも大切です。老犬認知症について理解し、生活環境を見直すなど老犬にとって心地好く過ごせる環境を整備しましょう。適切に対処すれば、老犬も飼い主さんも健やかに過ごせますよ。
- 監修者プロフィール
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牛尾 拓(ウシオ タク)
経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許