【2025年最新獣医師監修】猫の夜鳴きの原因は?対策や向き合い方について解説

2025.06.18
【2025年最新獣医師監修】猫の夜鳴きの原因は?対策や向き合い方について解説

猫の夜鳴きが続き、不安に思う方がいるのではないでしょうか。対策しようと思うものの、具体的な方法がわからず、困っている方もいるでしょう。


本記事では、猫の夜鳴きの原因や対処法について解説します。猫の夜鳴きに対処するために、日々の生活の様子をしっかりチェックし、適切に対応しましょう。

目次


猫の夜鳴きの原因

 

猫の夜鳴きの原因

 

猫の夜鳴きの原因は、猫の年齢や発情期かどうかによって異なる場合があります。以下を参考に当てはまるものがないか確認してください。

子猫の場合

生まれて間もない生後1ヶ月未満の子猫の場合、寂しさを感じると、飼い主や母猫を探し、夜鳴きをする場合があります。たとえば、里子として引き取られる場合に母猫と別れると、不安を感じて夜鳴きが続くことがあります。子猫は社会化期(2~9週齢)に母猫や兄弟と過ごすことで安心感や社会性を学ぶため、それ以前に引き離されると夜鳴きしやすくなる可能性があります。


また、授乳欲求や空腹、自分で排泄ができないケースにも夜鳴きすることがあります。飼い主と遊びたい気持ちが高まったり、他人や他の動物に対して警戒心を感じたりする場合も夜鳴きを繰り返すことがあります。


対策として、子猫の様子を観察したうえでフードを与えたり、排泄のサポートをしたりすることが重要です。生後2~3か月までの子猫は4時間おきの食事が理想とされています。また離乳が不完全な場合の空腹対策は猫用ミルクの追加給餌を検討しましょう。

成猫と異なり、無視する方法は分離不安が増幅する可能性があるため子猫の時期には推奨されず、むしろ適切に甘えさせる方が望ましいとされることもあります。

母猫や兄弟からの分離が原因の可能性がある場合は、ぬいぐるみや湯たんぽなどの使用を試してみてもいいかもしれません。また、寝る前に優しくなでる・声をかけるなどして安心感を与えることも対策として実施してみましょう。

成猫の場合

成猫の夜鳴きは主に以下の原因が考えられます。


  • 生理的・習慣によるもの

  • 環境・生活リズムの乱れ

  • 分離不安

  • 空腹・要求鳴き


猫は薄明薄暮性であり、早朝や夕方が活動のピークで、本来夜に活発になる動物であるため、本能としてこの活動サイクルが残っている可能性があります。また日中に十分な運動や刺激がない場合は、エネルギーが有り余って夜に鳴く可能性もあります。

ご飯を欲しがる、遊びを求める、かまってほしいといった要求行動としての夜鳴きや、分離不安のように、就寝時などで飼い主がいなくなる事への不安や寂しさから鳴くこともあります。

老猫の場合

老猫になり、聴力や視力、脳機能や関節の機能などが衰えると、ストレスを感じて夜鳴きが起こる場合があります。


たとえば、目や耳の機能が低下すると家の中で物にぶつかったり、迷ったりします。また、脳機能が低下すると、トイレの場所を認識しづらくなり、適切に排泄できなくなることもあります。


思いどおりに生活ができなくなると、ストレスを感じ、夜鳴きにつながる場合があります。


老猫になると日常生活に支障が出てしまい、ストレスに発展することがあるため、必要に応じて食事や排泄をサポートしましょう。脳機能の健康維持に関して獣医師に相談し、オメガ3脂肪酸サプリメントや専用療法食を検討してみるのも良いかもしれません。

発情期の場合

猫は発情期になると、夜鳴きをする場合があります。とくに去勢をしていないオス猫の場合、メス猫のフェロモンを感じると発情行動を取るようになり、夕方から明け方にかけて鳴くことがあります。


また、避妊手術をしていないメス猫が発情期になると、オス猫を求めて夜鳴きするのが特徴です。オス猫と同様に、夕方から明け方にかけて頻繁に鳴くことがあります。


発情期の関係で頻繁に夜鳴きが起こる場合は、去勢・避妊手術を検討することをおすすめします。

 

猫の夜泣きは病院で相談できる?


猫が夜鳴きするようになり、病院で相談すべきか判断に悩む方も多いでしょう。夜鳴きは無視した方が良い場合もありますが、病気が隠れているリスクもあります。


病気の種類によっては、放置することで症状が悪化し、日常生活に支障が出ることがあります。最悪のケースでは命に関わることもあるので、注意が必要です。


猫が夜鳴きした際に、嘔吐や下痢、食欲低下といった別の症状が見られた場合は速やかに動物病院を受診してください。病気が見つかればすぐに治療ができますし、そうでない場合でも、ケアの方法についてアドバイスをもらうことができるかもしれません。

 

猫の夜鳴きは無視しても良い?

 

「かまってほしい」というアピールによる夜鳴きに関しては、一貫した無視を徹底することが必要となることがあります。一度かまってしまうと、「泣いてアピールすれば要求に応じてくれる」と学習し、頻繁に夜鳴きが起こるからです。場合によっては夜に眠れなくなることもあるでしょう。


とはいえ、無視をしすぎると、近隣との騒音トラブルになる可能性があります。音が気になる方は防音対策するのがおすすめです。


また、夜鳴きが病気のサインになっていることもあり、無視をすることで見逃してしまうリスクがあります。夜鳴きの他に、嘔吐や下痢、食欲低下など他の症状が見られる場合は早めに動物病院を受診してください。


猫の夜鳴きにつながる病気の症状と対処法


猫の夜鳴きが病気のサインになっていることがあります。夜鳴きとともに何らかの症状が見られる場合は、次のような病気に注意が必要です。

甲状腺機能亢進症

甲状腺は、のあたりにある組織を指します甲状腺の役割は、甲状腺ホルモンを分泌して代謝を司ることです。


甲状腺機能亢進症になると、甲状腺ホルモンが必要以上に分泌されてしまい代謝異常が起こります。


特徴として、行動が異常に活発化したり、食欲が亢進したり、発情期のような夜鳴きをしたりする様子が見られます。行動に攻撃性が感じられることがあったり、嘔吐や下痢などの症状がみられる事もあります。また、食欲は増しているのに痩せていくのもこの病気の特徴の一つです。


治療方法としては、ホルモン分泌を調整する薬を内服するほか、原因によっては手術も選択肢となることがあります。

認知症

猫が年齢を重ねると、認知症(認知機能不全症候群)を発症することが報告されています。意味もなく鳴き続ける夜鳴きのほか、同じ場所をぐるぐると徘徊する、粗相をしてしまう、声をかけても気づかずに反応しないなどの症状が見られた場合、認知症の可能性が考えられます


認知症は、今のところ治療法がないのですが、抗不安薬などの精神安定系の薬やサプリメントで症状が緩和されるという報告もあります。また、認知症傾向の高齢猫には夜間も薄明りを付けると安心する場合が多いと話されていた飼い主さんもいらっしゃいました。

 

猫の夜鳴きへの家庭での対処法


猫の夜鳴きへの家庭での対処法

 

猫の夜鳴きは、家庭での対策で改善できる場合があります。猫の様子をしっかり観察したうえで、以下の方法を実践しましょう。

不安を取り除いて安心させる

不安が原因で夜鳴きが止まらない場合は、こまめにスキンシップを取り、安心させてあげましょう。猫の好きなおもちゃで遊んであげたり、猫じゃらしで運動させたりすることをおすすめします。


また、家に来たばかりの猫は慣れていないため、不安を感じて夜鳴きする場合があります。この場合は猫をケージに入れ、その周りをタオルで覆っておくと効果的です。


動物病院では、猫の不安を和らげる薬や補助的に使えるサプリメント、薬ではありませんが猫フェロモン製品を取り扱っている場合があるため、一度相談してみることをおすすめします。

快適に生活できるよう環境を見直す

猫の生活環境が原因でストレスを感じ、夜鳴きにつながっている場合は、見直しが必要です。たとえば、猫の寝床が整っていない場合、ストレスにつながり、夜鳴きが起こることがあります。


猫がリラックスして寝られるよう、お気に入りの場所にベッドを複数置いておくことをおすすめします。ベッドとしては、寝心地の良いふわふわの毛布や段ボールといったものを用意しましょう。


また、室温が高すぎたり低すぎたりすると、ストレスを感じて夜鳴きする場合があります。目安として、エアコンや扇風機などを使用し、室温が21〜28度になるよう調整してください。

食事やトイレ掃除に注意する

食事の与え方やトイレの環境が適切でない場合、猫はストレスを感じ、夜鳴きすることがあります。


フードを与える際は、商品の袋に記載されている目安量を考慮し、猫の運動量や体型、排便状況を踏まえる必要があります。適切なフードの量が把握できていない場合は、一度動物病院を受診し、獣医師に相談してください。


またトイレが汚れている場合、夜鳴きが起こったり、トイレとは異なる場所で排泄したりするため、こまめに掃除することが大切です。

遊ぶ頻度や時間を増やす

遊ぶ頻度や時間が足りないと、猫はストレスを感じ、夜鳴きをする場合があります。とくに、若い猫ほど1日に必要な活動量が多いため、うまくストレスが発散できない場合があります。


対策として、1日15分程度を目安として、夜寝る前に遊んであげましょう。一緒に遊ぶ際は、猫じゃらしなどのおもちゃや知育玩具など、狩猟本能を満たす遊びや運動につながるアイテムを活用するのがおすすめです。特に寝る前に激しい遊び→軽食→就寝のルーチンが効果的なこともあります。また、キャットタワーを設置し、日常的に運動量を増やす工夫も大切です。

不妊手術を検討する

発情することで夜鳴きを繰り返している場合は、去勢手術や避妊をすることで改善できる場合があります。


去勢手術や避妊をすると、発情にともなうスプレー行為(濃い尿を壁に吹きかける行為)や脱走などを防ぎやすくなります。また、若いうちに手術を受けることで、生殖器や乳腺の疾患を防止しやすくなるため、おすすめです。


避妊や去勢の手術は動物病院で受ける必要があります。発情期の猫の夜鳴きが気になる方は動物病院を受診し、獣医師に相談してください。

 

まとめ 猫の夜鳴きは様子をしっかりと観察してみる

 

猫の夜鳴きの原因は、年齢や発情期の要因などさまざまです。「かまってほしい」というアピールによる夜鳴きに対しては、徹底した無視が必要になることがあります。しかし、猫の夜鳴きには、空腹や排泄環境の悪さなどが原因の場合もあります。また、場合によっては病気のサインになっている可能性もあります。


猫が夜鳴きをする場合は、フードの与え方や生活環境に問題がないか見直し、必要に応じて動物病院へ相談することが大切です。特に、嘔吐や下痢、食欲低下といった症状が出ている場合は、病気の可能性があるため、なるべく早く動物病院を受診してください。

監修者プロフィール

岩谷 直(イワタニ ナオ)

経歴:北里大学卒業。大学研修医や企業病院での院長、製薬会社の開発や学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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