老犬の歯周病が心配! 症状・治療法・対策など

2023.03.04
老犬の歯周病が心配! 症状・治療法・対策など
人間と同じように、犬も歯周病になることをご存知でしょうか。年齢とともに徐々に発症率が増加するとされており、老犬の場合、若いころに発症した歯周病が進行して、重症化してしまうことも。歯周病の症状や治療法、対策について知り、愛犬の歯を病気から守りましょう!
目次



老犬の歯周病の注意点


若い犬でも歯周病になるので注意は必要ですが、老犬の場合、特に気をつけたいことがあります。それは、歯周病を放置してしまうと、歯周病菌の毒素が体じゅうに回り、持病を重篤化させたり、ほかの病気の発症につながったりする恐れがあるということです。

さらに、もうひとつ気にかけなければならないことがあります。老犬にとって、歯周病の治療自体が大きな負担となってしまうケースがあるのです。歯周病の治療は、犬にとって安全に進められるよう、全身麻酔をかけて行われることが多いのですが、麻酔は効きすぎると目覚めるまでに時間がかかったり、持病に影響が出てしまったりする可能性があります。

老犬ともなると持病を抱えているケースも多いですし、若い犬に比べると、体力や筋力、内臓などの働きが落ちていることも否めません。高齢になればなるほど、治療には慎重にならざるを得ないというのが実情です。

老犬の歯周病の症状


歯周病は、歯の表面、あるいは歯と歯茎の間にたまった食べ物のかすなどから細菌が繁殖し、歯の周りや口腔内に炎症を起こす病気で、具体的には次のような症状が見られます。

初期の症状は、歯の黄ばみや歯茎の腫れなど。これが進行すると、腫れはどんどんひどくなり、歯茎に膿がたまる、出血する、痛みを感じるといった症状を伴うようになります。口臭もかなりきつくなりますし、細菌の繁殖が歯の根っこにまで及んでしまうと、歯が抜け落ちてしまうことも。

歯や歯茎がこのような状態になることでの二次的な症状もあります。例えば食事です。痛みで食べる量が減ったり、食べこぼしが増えたり。食べる量が減れば体重も減ってしまいますし、栄養不足に陥ることもあるのです。

老犬の歯周病が悪化するとどうなる?


じつは老犬の歯周病の症状は、お伝えした範囲ではとどまらず、悪化すると次のような症状にまでつながることがあります。

ひとつは、鼻炎です。これは、構造的に鼻と口腔がつながっていることによるもの。感染が広がると歯周病の膿が鼻の奥にまで達してしまうため、くしゃみや膿の混ざった鼻水が出るというかたちで症状が現れます。さらには、感染が顔の骨に及ぶこともあるのです。こうなると骨がもろくなり、あごを骨折したり、ひどいときには顔に穴が開いたりすることも。

また、歯周病の細菌は血管に入り込んでしまうことがあります。こうなると、肺炎、心内膜炎、糖尿病などの病気を引き起こしたり、それらの症状を悪化させたりと、歯周病は歯の病気だけにはとどまらず、全身に不調をもたらす恐れがあるのです。

老犬の歯周病の治療法


歯周病の基本的な治療法は、専用の器具で歯石を除去し、腫れたり膿んだりしている歯茎の内側、いわゆる歯周ポケットを洗浄することです。ぐらつきがあるなど歯の状態がよくない場合は、抜歯をして対処することもあります。

これらの治療は、犬が恐がって暴れたりすることのないように、安全確保を目的として全身麻酔をかけて行われるのが一般的です。しかし、冒頭の注意点でもお伝えしたように、全身麻酔にはリスクがあります。老犬の場合は、そのリスクが高まることも見逃すことはできません。治療法はあるものの、実際に治療をするか否かについては、難しい判断を迫られることになります。

老犬の歯周病を防ぐための対策


老犬の歯周病を防ぐためには、若いときから予防をすることがとても重要です。その対策は人間と同じ。丁寧に歯磨きをして、歯と歯茎の汚れを落とす習慣をつけることです。

とは言っても、愛犬にしてみれば、口の中をいじられる歯磨きは決して楽しいことではないでしょう。飼い主さんの気持ちも知らず、嫌がることもあるはずです。そのようなときは無理強いをせず、ステップを踏みながら、少しずつ歯磨きに慣らしていきましょう。

最初の1週間は口の周りを触ることに慣れさせる、次の1週間は口の中に指や歯ブラシが入ることに慣れさせるという具合です。歯を磨くときも、初日は1本、次の日は2本……というように、徐々に増やしていくといいのではないでしょうか。こうして習慣化できてしまえば、愛犬にとっては飼い主さんとのコミュニケーションが取れる喜びの時間になるかもしれません。

なお歯磨きをするときは、口の中全体を点検することも習慣にしてみてください。特に口の奥は見えにくいので、歯磨きのときがチャンスです。口臭に変化がないかも定期的にチェックしておくと、歯周病の早期発見につながります。もし何か気になること、気づいたことがあれば、放置せずに動物病院を受診してください。これも、予防対策のひとつです。


老犬の歯周病は口の中だけにとどまらず、全身に影響を及ぼす可能性があります。歯茎の腫れや出血、歯のぐらつきなど歯周病が疑われる症状が見られたときには速やかに獣医師の診察を受け、適切な処置をしてもらいましょう。また、年齢の若いうちから歯磨きの習慣をつけ、予防に努めることも大切です。
監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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