老犬の介護はどうする? 食事や必要なケアなど
2022.10.26
やんちゃだった子犬も、年月とともに成長し、やがて老犬と呼ばれるようになります。人間と同じで、老犬になると体の機能にも衰えが出るため、食事内容の見直しや体調に応じた介護が必要です。老犬の介護とは、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか。
この記事で、老犬の介護についての基本を確認しておきましょう。
老犬を介護する心構えとして大切なことは、老犬の様子をよく観察し、老犬に合ったケアをするということに尽きます。体の大きさは犬種によって違いますし、持っている個性もそれぞれ。すべての犬が同じような経過をたどるわけではありません。まずは、飼っている老犬の様子を毎日しっかり見てあげましょう。
そのうえで「介護はこうあるべき」と、自分を縛りつけないことも大切です。あるべき介護ではなく、老犬にとって必要な介護を常に考えていきましょう。
介護が必要となる時期は、年齢だけでははかれません。老犬に次のような様子が見られたら、介護を検討してみてください。
ひとつは、それまでは避けて通れていた家具にぶつかったり、動いているものに対する反応が鈍くなったりすること。脳の働きが衰えている、視力が落ちているといったことが考えられます。
食事の量が減ったり、硬いフードが食べられなくなったりしたときも要注意。咀嚼する力や飲み込む力が弱っている、消化機能が衰えているなどの可能性があります。下向きで食事がとりにくそうにしていたら、筋力の衰えが原因かもしれません。
足腰が弱ると、運動量の低下、歩き方の変化、トイレの失敗といったことも見られるようになります。トイレの失敗は認知症の可能性も否定できません。認知症の場合、夜鳴きや無駄吠え、無意味な徘徊という症状が出ることもあります。
いずれにしても、老犬にそれまでとは違う様子が見られたときが介護を考えるときと言っていいのではないでしょうか。
次に、介護が必要な老犬への基本的な対処法を掘り下げていきます。
そのほか、頭を下げて食べることが辛そうなとき、ふらつくようなときも、手を貸すなどの介助が必要です。食事用の器、高さなども検討してみましょう。
激しい運動は控えたいところですが、筋力は使わないでいると落ちる一方です。無理のない範囲でゆるい坂道等を歩いたりしてみてください。後ろ足が弱ったり麻痺したりして歩けないときは、犬用のカートなどを使って散歩に出てみましょう。老犬にとっても外の空気に触れることは、いい気分転換になります。ただし、いやがる様子が見られたら無理強いは禁物です。
運動は、手足を持って軽く曲げ伸ばしをしてあげるなど人の手で動かすことも有効ですし、マッサージも効果的。スキンシップもはかれます。
それでもうまくいかないときは、おむつの使用を検討します。ただ、おむつは蒸れたりかぶれたりするのが難点。こまめに取り換える、おしりやしっぽの周りを清潔に保つなどのケアを心がけるようにします。
ほとんど動けない老犬、寝たきりの老犬の場合は、おむつはせずにペットシーツで対応することも方法の一つです。おむつによるトラブルを避けられますし、片づけるのも意外と手間がかかりません。
動ける老犬の場合は、昼間にたくさん体を動かしてあげること。さらに積極的なスキンシップやコミュニケーションを心がけると、気持ちが安定するようです。
寝床は安心できる環境にしてあげてください。通気性のあるマットなどを老犬の状態に合わせて選びます。冷暖房の位置にも配慮しましょう。
徘徊対策で有効なのは、室内や庭に自由に動き回れる空間を用意すること。留守にするときも、このスペースにいるようにすると安心です。
飼い主さんにとっても老犬にとっても、介護のストレスはできるだけ減らしたいもの。そんな便利な介護グッズをご紹介します。
食事では、高さのあるフードボウル、高さの調節ができる台があると便利です。そのほか、老犬の口元に食器を運びやすい持ち手つきの食器も重宝します。
足腰が弱った老犬の散歩や運動には、歩行の補助機能がついたハーネスが便利です。立ち上がりの補助、排泄の介助にも使えます。自力で歩けない老犬には、専用のカートが重宝します。
排泄に関する便利グッズの筆頭は紙おむつですが、しっぽを出す穴を開ければ、赤ちゃん用の紙おむつでも代用できます。防水仕様のペットシーツも粗相対策に役立ちます。
寝たきりの老犬には、ペット専用のベッドやマットも。寝た状態で装着できるアシスタントバンドがあると、老犬を移動させたり寝返りを打たせたりするときにラクです。
ひと口に老犬とはいっても、状態はさまざまですし、必要な介護も異なります。まずは、老犬の様子をよく見てあげましょう。不自由そうなことに気づいたら、そこがケアのポイントです。
また、老犬の介護は自分一人では抱えきれないこともあります。ペットシッター、老犬ホーム、老犬介護士に頼るなどして、飼い主さんの健康も守りましょう。
この記事で、老犬の介護についての基本を確認しておきましょう。
老犬の介護の心構え
老犬を介護する心構えとして大切なことは、老犬の様子をよく観察し、老犬に合ったケアをするということに尽きます。体の大きさは犬種によって違いますし、持っている個性もそれぞれ。すべての犬が同じような経過をたどるわけではありません。まずは、飼っている老犬の様子を毎日しっかり見てあげましょう。
そのうえで「介護はこうあるべき」と、自分を縛りつけないことも大切です。あるべき介護ではなく、老犬にとって必要な介護を常に考えていきましょう。
介護が必要になる老犬の状態
介護が必要となる時期は、年齢だけでははかれません。老犬に次のような様子が見られたら、介護を検討してみてください。
ひとつは、それまでは避けて通れていた家具にぶつかったり、動いているものに対する反応が鈍くなったりすること。脳の働きが衰えている、視力が落ちているといったことが考えられます。
食事の量が減ったり、硬いフードが食べられなくなったりしたときも要注意。咀嚼する力や飲み込む力が弱っている、消化機能が衰えているなどの可能性があります。下向きで食事がとりにくそうにしていたら、筋力の衰えが原因かもしれません。
足腰が弱ると、運動量の低下、歩き方の変化、トイレの失敗といったことも見られるようになります。トイレの失敗は認知症の可能性も否定できません。認知症の場合、夜鳴きや無駄吠え、無意味な徘徊という症状が出ることもあります。
いずれにしても、老犬にそれまでとは違う様子が見られたときが介護を考えるときと言っていいのではないでしょうか。
犬の介護の基本
次に、介護が必要な老犬への基本的な対処法を掘り下げていきます。
食事について
食事の介護は、食べやすいように、ペースト状のフードに切り替えたり、硬いフードをぬるま湯等でふやかしたりといったことが基本になります。食べ残すことが多くなってきたら、1回当たりの食事量を減らし、回数を増やすことも考えてみましょう。そのほか、頭を下げて食べることが辛そうなとき、ふらつくようなときも、手を貸すなどの介助が必要です。食事用の器、高さなども検討してみましょう。
散歩や運動について
散歩や運動の介護は、老犬の状態によって変わります。歩ける場合は、老犬のペースに合わせることが基本です。散歩の距離を短めにしたり、休憩をとったりして様子を見ましょう。激しい運動は控えたいところですが、筋力は使わないでいると落ちる一方です。無理のない範囲でゆるい坂道等を歩いたりしてみてください。後ろ足が弱ったり麻痺したりして歩けないときは、犬用のカートなどを使って散歩に出てみましょう。老犬にとっても外の空気に触れることは、いい気分転換になります。ただし、いやがる様子が見られたら無理強いは禁物です。
運動は、手足を持って軽く曲げ伸ばしをしてあげるなど人の手で動かすことも有効ですし、マッサージも効果的。スキンシップもはかれます。
排泄について
粗相をするなどトイレでの失敗が増えてきたら、まずはトイレの数を増やす、トイレに誘う回数を増やすといったことで対処してみましょう。それでもうまくいかないときは、おむつの使用を検討します。ただ、おむつは蒸れたりかぶれたりするのが難点。こまめに取り換える、おしりやしっぽの周りを清潔に保つなどのケアを心がけるようにします。
ほとんど動けない老犬、寝たきりの老犬の場合は、おむつはせずにペットシーツで対応することも方法の一つです。おむつによるトラブルを避けられますし、片づけるのも意外と手間がかかりません。
夜鳴きや徘徊について
夜鳴きや徘徊の原因は認知症といわれ、認知症に対しては「こうすればいい」という解決策がないのが悩ましいところ。でも、工夫はできます。動ける老犬の場合は、昼間にたくさん体を動かしてあげること。さらに積極的なスキンシップやコミュニケーションを心がけると、気持ちが安定するようです。
寝床は安心できる環境にしてあげてください。通気性のあるマットなどを老犬の状態に合わせて選びます。冷暖房の位置にも配慮しましょう。
徘徊対策で有効なのは、室内や庭に自由に動き回れる空間を用意すること。留守にするときも、このスペースにいるようにすると安心です。
あると便利な犬の介護グッズ
飼い主さんにとっても老犬にとっても、介護のストレスはできるだけ減らしたいもの。そんな便利な介護グッズをご紹介します。
食事では、高さのあるフードボウル、高さの調節ができる台があると便利です。そのほか、老犬の口元に食器を運びやすい持ち手つきの食器も重宝します。
足腰が弱った老犬の散歩や運動には、歩行の補助機能がついたハーネスが便利です。立ち上がりの補助、排泄の介助にも使えます。自力で歩けない老犬には、専用のカートが重宝します。
排泄に関する便利グッズの筆頭は紙おむつですが、しっぽを出す穴を開ければ、赤ちゃん用の紙おむつでも代用できます。防水仕様のペットシーツも粗相対策に役立ちます。
寝たきりの老犬には、ペット専用のベッドやマットも。寝た状態で装着できるアシスタントバンドがあると、老犬を移動させたり寝返りを打たせたりするときにラクです。
ひと口に老犬とはいっても、状態はさまざまですし、必要な介護も異なります。まずは、老犬の様子をよく見てあげましょう。不自由そうなことに気づいたら、そこがケアのポイントです。
また、老犬の介護は自分一人では抱えきれないこともあります。ペットシッター、老犬ホーム、老犬介護士に頼るなどして、飼い主さんの健康も守りましょう。
- 監修者プロフィール
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牛尾 拓(ウシオ タク)
経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許