老犬の息が荒いのは正常? 病院に連れていくべき?

2023.03.18
老犬の息が荒いのは正常? 病院に連れていくべき?
老犬になると、ふとしたときにも「息が荒い?」と気になる場面が増えてきます。こんなとき、年のせいと思って様子を見ていいものなのか、動物病院を受診すべきなのか、飼い主さんとしても悩みどころではないでしょうか。そんなときのために、犬、特に老犬の息が荒いときの原因や対処法について知っておくと安心です。わかりやすく説明しますので参考にしてください。
目次


老犬の息が荒いときの正常・異常の見分け方


年齢を重ねるにつれ、心肺機能をはじめとした体の機能が衰えてくる老犬。そのため、ちょっと動いただけでも息が上がりやすくなることがあります。つまり、息が荒いのは正常な生理現象であることも多いのですが、一方で体に異常が起きているという可能性も否定できません。そこで、正常か異常かを見分ける方法として、1分間、呼吸の回数を数えてみましょう。

回数のカウントは、吸って吐いてを1回とします。その回数が1分間に40回以上であるか否かが、ひとつの基準です。可能であれば、ふだんの呼吸の回数を数えておき、その状態と比較できるとベストです。例えば、ふだんの呼吸数は15回程度なのに40回を超しているのと、ふだんは30回くらいで40回を超しているのとでは、同じ40回でもまるで意味合いが異なります。

呼吸をカウントしてみたけれど回数はさほど多くない……という場合は、呼吸の様子も観察してみましょう。例えば、呼吸中に「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」などのおかしな音が確認できたら、異常のサインと考えることができます。

また、はた目に見ても苦しそうな呼吸をしている、呼吸のたびにお腹がふくらんだりへこんだりする、いわゆる腹式呼吸になっているということもあるかもしれません。これも、正常ではない呼吸と判断することができます。

老犬の息が荒くなる原因


どうして老犬は息が荒くなるのでしょうか。その原因としてよく挙げられるのが、暑さによるものです。これは老犬に限らない犬の特性で、暑くなると犬は、息をハァハァさせることで体温の調節をします。老犬であれば、年をとったことによる心肺機能の衰えも、息が荒くなりやすい原因のひとつです。これらは生理的な原因といえますが、次のようなことが起きたときも息が荒くなることもあります。

ひとつは、異物の誤飲です。飲み込んでしまったものが、のどや呼吸器をふさいだり圧迫したりすると、息が荒くなってしまいます。また、ケガによる痛み、不安や恐怖などのストレスを感じているときも呼吸は速くなるのが一般的です。そのほか、のど、鼻、気管、肺、心臓など、呼吸に関連する部位に異常が起きている、つまり病気を発症しているために息が荒くなることもあります。参考までに、いくつか具体例を挙げてみましょう。

のどの疾患として多いのは、「軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)」で、パグやフレンチ・ブルドッグに代表される短頭種に多く見られます。これは、のどにある軟口蓋という部位に先天的な異常があるため、息がしにくくなるという疾患です。年とともに症状が進行し、老犬になると息が荒くなるケースがよく見られます。

鼻や気管の疾患としては、「鼻炎」や「気管支炎」など。これは、炎症により鼻腔や気管の一部が狭くなり、息が通りにくくなるというものです。そのほか、肺の代表的な疾患「肺炎」や「肺水腫」、心臓病、血液中の二酸化炭素濃度の異常などが呼吸に影響することもあるので、覚えておきましょう。

老犬の息が荒いときの対処法


では、老犬の息が荒いと感じたときにはどうしたらいいのでしょうか。対処法をお伝えします。

暑さが原因と考えられるときは、室内であればエアコンで温度を下げる、屋外であれば木陰で休むなどして、暑さから老犬の身を守ることが基本です。暑い時期にのどが渇いているときは、あわせて水分の補給もしてあげてください。

加齢など生理的な原因と考えられる場合は、呼吸が楽にできるうつぶせの姿勢をとらせることもポイントです。横向きや仰向けは、肺が圧迫されやすい姿勢とされていますので、避けた方がいいでしょう。

老犬の息が荒いときは病院に相談するべきか?


上記のような対応をして老犬の呼吸が落ち着いてきたら、急いで動物病院を受診する必要はないといえるでしょう。

しかし、暑さが原因だと考えて室温を下げたにも関わらず息が荒いままだったり、呼吸の回数が増えていったりなど、少しでも気になる点がある場合は速やかに動物病院で獣医師の診察を受けることが肝心です。ケガや病気が潜んでいるかもしれません。


老犬の息が荒いとき、原因は生理的なものであることも多いのですが、ケガや病気が原因である可能性も否定できません。呼吸の回数を数え、愛犬の様子をよく観察してみてください。暑さ対策などで原因を取り除き、それで呼吸が戻れば経過観察で問題ありませんが、対処しても息が荒いままである、明らかにいつもと異なる呼吸をしているというときには、すぐに獣医師の診察を受けるようにしてください。
監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許



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