【獣医師監修】トイプードルの毛が抜けるのは病気が原因?注意点についても解説

2025.04.02
【獣医師監修】トイプードルの毛が抜けるのは病気が原因?注意点についても解説

「トイプードルの毛が抜けることはある?」

飼っているトイプードルの毛が抜け始め、このような疑問を感じることはないでしょうか。急に毛が抜けやすくなり、不安を感じる方がいるかもしれません。


本記事では、トイプードルの毛が抜ける原因や抜け毛対策、抜け毛に関する注意点を解説します。日頃から抜け毛対策を徹底し、健康的な被毛の維持に努めましょう。

目次

 

トイプードルは毛が抜けやすい?



トイプードルは毛が抜けにくい犬種です。なぜなら、抜けにくい被毛の特徴を持つからです。知識として、以下の内容を把握しておきましょう。

被毛の特徴

トイプードルは、シングルコートの犬種です。多くの犬種はダブルコートで、アンダーコート(下毛)とトップコート(上毛)の2層構造を持っています。季節ごとにアンダーコートが抜け落ちて換毛しますが、トイプードルにはアンダーコートがありません。保湿や保温の役割を担うアンダーコート(下毛)が生えていないため、寒さには弱いとされています。


また、巻き毛になっているため、抜けたとしても毛に絡んで床に落ちにくいのが特徴です。そのため、トイプードルの抜け毛を見つけることは比較的少ないと考えられています。


さらに、トイプードルの被毛のタイプは、以下の2種類に分かれます。


被毛のタイプ

毛の特徴

カーリータイプ

頭からつま先までを覆う太い巻き毛。毛質は比較的硬く、抜けにくいため、アレルギーのもとになりにくい。

コーデットタイプ

ドレッドヘアのように垂れ下がり、何本も絡み合っているような毛。カーリータイプと異なり、毛質は柔らかい。毛が抜けても他の毛に絡み、抜けがあまりないと感じることが多い。

換毛期は無い

シングルコートの犬は換毛期(毛が生え変わる時期)がないため、ダブルコート(オーバーコートとアンダーコートで構成される)の犬に比べて抜け毛が少ないとされています。そのため、一度に大量の毛が抜けるような時期はありません。


換毛期がある犬の場合、毛が生え変わりやすくなるようにブラッシングをこまめにする必要があります。しかし、トイプードルの場合は、換毛期自体がないため、生え変わりを目的としたブラッシングは必要ありません。


トイプードルは抜け毛が少ない犬種であるため、普段以上に抜け毛が多くなった場合は、なんらかのトラブルが起きている可能性があります。気になる方は動物病院を受診し、獣医師に相談しましょう。

 

トイプードルの地肌が見えるのは問題ない?

 

お腹などの被毛が少ない箇所を除いて、健康なトイプードルの被毛は、密集度が高く、乾いた状態であれば地肌が見えることはあまりありません。部分的に短く毛を刈るスタイル(サマーカットなど)では、地肌が見えるのが通常ですが、それ以外で地肌が見える場合、以下の問題で毛が薄くなったり、脱毛などが発生している可能性があります。


  • 病気

  • ストレス

  • ホルモンバランスの乱れ

  • 皮膚の乾燥

  • アレルギー

  • カビや寄生虫

  • 栄養不足


子犬のトイプードルを飼う際は、購入前に被毛が密集した状態になっているかを確認しましょう。先天的な病気にかかっていたり、繁殖場の環境が悪かったりすると、生まれてから間もない段階で被毛が薄くなるケースがあります。ただし、子犬の場合は毛が柔らかく、密度が低いため、地肌が見えやすいことがあります。また、個体差もあり、一部の個体では遺伝的に毛量が少ないこともあり、健康上の問題がない場合もあります。


毛のトラブルを防ぎ、健康的な犬と一緒に生活するためにも、トイプードルを購入する際は被毛をチェックしてください。


トイプードルの毛が抜ける原因とは?

 

トイプードルの毛が抜ける原因とは?

 

トイプードルの抜け毛が多い時は、病気やストレス、ホルモンバランスの乱れが関係している可能性があります。それぞれ詳しく解説していきます。

病気

トイプードルの毛が抜ける原因となるおもな病気は、以下のとおりです。脱毛だけでなく、かゆみや赤みといった皮膚のトラブルがある場合は、動物病院を受診しましょう。


病気

概要

原因

症状

休止期脱毛症

毛周期に異常が起こり、脱毛が起こる病気。

ストレスや栄養不足、発情など。

かゆみや赤みは殆どなく、全身で広範囲に毛が均等に薄くなる。

マラセチア皮膚炎

皮膚に常在するマラセチア菌が異常繁殖することで起こる病気。

高温多湿な環境や不適切なスキンケア、加齢や脂質の多い食事など。

かゆみや赤み、フケや皮膚のべたつきなど。

脱毛症X

ポメラニアンやトイプードルといった犬種に見られる病気。

はっきりわかっていない。

左右対称の脱毛や赤み、かゆみなど。最初に尾やお尻周りから脱毛が始まることが多い。脱毛以外に特に症状はないことが多い。

クッシング症候群

副腎や脳の下垂体に異常が起こり、ホルモンが過剰に分泌される病気。

下垂体腫瘍や肺がんなど。

左右対称の脱毛。食欲増進やお腹の張り、多飲多尿やかゆみなど。

パターン脱毛症

かゆみのない左右対称の脱毛を引き起こす病気。

遺伝の可能性があるが、はっきりわかっていない。

左右対称の脱毛。

ストレス

犬はストレスがたまると、毛周期が休止期に入り、毛が抜ける原因になります。


トイプードルは小型犬のなかでも賢い犬種であり、人の感情に敏感です。そのため、飼い主とのスキンシップが不足すると、ストレスを感じてしまうことがあります。


犬のストレスの種類とおもな原因は以下のとおりです。


ストレスの種類

ストレスを引き起こす状況

心理的ストレス

  • 留守番する時間が長くなる

  • 新たに増えた動物と仲が悪い

  • 飼い主がイライラしている

  • 慣れない場所に行く

物理的ストレス

  • 湿度や温度が不適切

  • 洗剤や芳香剤などのにおいがある

  • 掃除機や雷といった大きな音がある

  • 室内の照明が明るすぎる

生理的ストレス

  • トイレが汚れている

  • フードの量や種類が合わない

  • 眠りづらい環境になっている

  • 体調不良が続いている


犬がストレスを感じると、以下のサインが出やすくなります。該当するものがないかチェックしましょう。


  • あくびが多い

  • 体を頻繁にかく

  • 食欲が低下する

  • 舌なめずりをする

  • 攻撃的な行動をする

  • 体をブルブルと震わせる

  • 元気がなく寝てばかりいる

  • 動きが鈍くなり無気力になる

  • 吠えたり呼吸が激しくなったりする

  • 下痢や嘔吐などのトラブルが起こる

  • まばたきが増えたり視線をそらしたりする

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスが乱れると、被毛の生え変わりのサイクルが乱れ、毛が抜ける可能性があります。とくに、避妊や去勢手術を受けたあとは、ホルモンバランスが乱れやすくなり、脱毛が起こることがあります。不妊手術をしていない場合でも、雌の場合、発情期の前後や妊娠期に、雄の場合も性ホルモンのアンバランスで部分的な脱毛がみられる事があります。


ホルモンバランスが乱れると、左右対称の脱毛が起こるのが特徴です。カビやノミなどが原因の場合、局所的な脱毛が起こりますが、ホルモンバランスが乱れた場合は全身に影響が出ることがあります。


毛が抜け始めたものの、かゆみがなく、左右対称で脱毛が起こっている場合は、ホルモンバランスが乱れている可能性があります。

 

トイプードルの抜け毛対策


トイプードルの抜け毛対策


トイプードルの抜け毛対策は、いずれも自宅で実践できるものがほとんどです。愛犬が抜け毛に陥らないよう、日頃から以下のケアを徹底しましょう。

適度なブラッシング

適度にブラッシングをすると、血行が良くなってハリのあるしっかりした毛が育ち、抜け毛の防止につながります。また、毛並みを整えることで、抜けた毛が他の毛に絡まりづらくなり、毛玉ができにくくなります。


トイプードルの抜け毛対策としては、ブラッシングは2~3日に1回おこなうことをおすすめします。とくに、耳の後ろやしっぽの付け根、脇の下といった毛が絡まりやすい場所を重点的にブラッシングしましょう。

定期的なシャンプー

定期的なシャンプーを心がけることで、皮膚の汚れがケアでき、脱毛につながる皮膚感染症を予防しやすくなります。


シャンプーをするときは、泡立てた状態で優しく洗い、シャンプーが残らないようにしっかりとすすぐことが重要です。また、シャンプー後は乾燥防止のために、専用のコンディショナーをつけることをおすすめします。


頻繁にシャンプーしすぎると皮膚表面の皮脂が不足し、乾燥にトラブルが起こりやすくなります。そのため、シャンプーは多くても月1~2回までにとどめておきましょう。


使用するシャンプーは、保湿効果があり、低刺激なものやトイプードル専用のものがおすすめです。

清潔な生活環境

清潔な生活環境を整えることで、脱毛につながるような皮膚炎の予防になります。部屋が不衛生になるとダニやノミが増え、毛が抜ける原因になるので、こまめに掃除機をかけたり、布団を干したりして清潔な状態を維持しましょう。


また、トイレや寝る場所が汚れていると、ストレスがたまり、抜け毛の原因になることがあります。汚れがたまっていないか定期的にチェックし、トイプードルのストレスにならないよう注意しましょう。

健康的な食事

栄養バランスに配慮した健康的な食事を心がけることで、脱毛を予防しやすくなります。日頃から以下の栄養素を意識的に摂取し、抜け毛を防ぎましょう。


栄養素

概要

たんぱく質

皮膚や被毛などを作るために必要な栄養素。不足すると、皮膚のハリやつやがなくなり、乾燥や抜け毛の原因になる。

必須脂肪酸

とくにオメガ3系脂肪酸に含まれるDHAやEPAには、炎症を抑える効果があり、オメガ6脂肪酸には皮膚のバリア機能を維持する働きにより、皮膚や被毛の調子を整える。

ビタミン

とくにビタミンEには抗酸化作用があり、皮膚の老化を抑える働きが期待できる。


上記を普段の食事から摂取するのが難しい場合は、獣医師に相談の上で、サプリメントを摂取するのも一つの手段です。食事内容や栄養について悩む場合も、獣医師に相談してみるのがおすすめです。

適度な運動

適度に運動すると血行が良くなり、新陳代謝が活性化するため、被毛の健康状態を維持できるようになります。また、抜け毛の原因となるストレスの軽減にもつながるためおすすめです。


トイプードルの場合は、1回あたり15〜30分程度の散歩を1日に2回するのが理想的です。雨で散歩が難しい場合は、室内でおもちゃを使って一緒に遊び、運動させるようにしてください。


ただし、体調が悪いときに運動をさせると、かえって悪化する場合があります。愛犬の様子を確認し、問題ない場合は、運動させるようにしましょう。

トリミング

トイプードルの毛質は、ヨークシャーテリアやマルチーズといった直毛の犬種とは異なり、毛玉ができやすいのが特徴です。一度毛玉ができると、周りのゴミを巻き込み、ほぐすのが難しくなります。また、トイプードルの毛は他の多くの犬種と比較して伸び続ける傾向があります。そのため、定期的にトリミングすることが重要です。


トリミングしない状態が続くと、皮膚の通気性が悪くなり、皮膚炎を起こす可能性があります。そのため、最低でも2ヶ月に1回はトリミングサロンに行き、カットしてもらうようにしましょう。


トリミングサロンで施術を受ける際は、カットに加えて、シャンプーとリンスをセットでしてもらうのもおすすめです。

ストレス軽減

犬がストレスを感じると、毛周期が休止期に入りやすくなり、抜け毛の原因になることがあります。トイプードルは毛周期の成長期が非常に長い犬種ですが、過度なストレスでは休止期に移行することがあります。トイプードルにとってストレスの原因になるものがないか確認することが重要です。


たとえば、以下のような状況が発生していないか確認しておくことが大切です。


  • 近所で騒音が起きていないか

  • バランスの悪い食事になっていないか

  • 犬を留守番させる機会が増えていないか

  • 散歩や運動の機会が減っていないか

  • スキンシップの機会が減っていないか


飼い主が気づかないうちに、上記のような状況に陥り、犬がストレスを抱えているケースがあります。しっかりチェックしておきましょう。

 

トイプードルの抜け毛についての注意点


トイプードルの抜け毛対策をする際には、守るべき注意点があります。以下の内容を把握し、抜け毛を防ぎましょう。

ブラッシングやシャンプーに慣れさせる

ブラッシングやシャンプーは、子犬のときから慣れさせておくことが重要です。とくに子犬の場合、好奇心旺盛でさまざまなものに興味を持つため、体が汚れやすくなります。


汚れを放置すると皮膚病やにおい、抜け毛の原因になるため、しっかりケアするように心がけましょう。また、子犬のときからブラッシングやシャンプーに慣れさせておくと、成長したときの自宅でのケアが楽になります。


ブラッシングやシャンプーに慣れさせるコツとしては、おやつやおもちゃを上手に使うことです。これらで注意をそらしつつ毛並みを整えたり、体を洗ったりするとスムーズに進めやすくなります。

異常な抜け毛は動物病院で診てもらう

普段は抜け毛が気にならないものの、ある日から異常に抜け毛が多くなる場合は、病気の可能性があります。局所的に抜け毛が見られたり、全身の脱毛がひどい場合は、速やかに動物病院を受診し、獣医師に相談してください。


抜け毛の原因となる病気としては、以下が挙げられます。


  • 休止期脱毛症

  • マラセチア皮膚炎

  • 脱毛症X

  • クッシング症候群

  • パターン脱毛症


放置すると、症状が悪化し、治療が難しくなるケースがあります。手遅れにならないよう、突発的な抜け毛が見られる場合は、獣医師の診察を受けましょう。

 

まとめ 異変を感じる場合はなるべく早く動物病院へ

 

トイプードルは、換毛期がないため、比較的毛が抜けることは少ないといえます。しかし、病気やストレス、ホルモンバランスの乱れがあると、抜け毛が多くなるケースがあります。


突発的に毛が抜けたり、全身の毛が大量に抜けたりした場合は病気の可能性があるため、速やかに動物病院を受診し、獣医師の診察を受けましょう。


抜け毛対策として、日頃から定期的な運動をさせたり、栄養バランスに配慮した食事を与えたりすることが重要です。また、ブラッシングやシャンプー、ストレス対策やトリミングといった習慣も必要です。


抜け毛のトラブルが起きないよう、日頃から対策を徹底し、健康的な被毛を維持しましょう。

監修者プロフィール

岩谷 直(イワタニ ナオ)

経歴:北里大学卒業。大学研修医や企業病院での院長、製薬会社の開発や学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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