猫の脂漏症はどんな病気? 症状と原因・治療法など
2023.04.10
あまり聞き慣れない病名かもしれませんが、猫がかかる皮膚疾患のひとつに脂漏症(しろうしょう)という病気があります。人間では脂漏性湿疹や脂漏性皮膚炎という皮膚病が知られていますが、猫の脂漏症は、どのような病気なのでしょうか。かかったときに見られる症状、原因や治療法について理解を深め、愛猫の健やかな暮らしをフォローしましょう。
猫の脂漏症とはどのような病気なのか、はじめに概要を説明します。
脂漏症は、皮脂の分泌が過剰、もしくは減少して、皮膚に異常が生じる病気です。皮脂の分泌が過剰になって異常が生じる「脂性脂漏症」と、分泌が減少して異常が生じる「乾性脂漏症」に分類され、「脂漏性皮膚炎」「マラセチア皮膚炎」という診断名で呼ばれることもあります。
なお、犬に比べると猫の発症数は多くはありません。
では、猫の脂漏症は、どのような症状を伴う病気なのでしょうか。犬に比べると猫の発症数は少ないというものの、脂漏症になる可能性はありますので、愛猫の皮膚に異変が見られたときのためにも、しっかり把握しておきましょう。
先ほど、脂漏症は「脂性脂漏症」と「乾性脂漏症」に分けられるとお伝えしましたが、皮脂が過剰に分泌される脂性脂漏症の場合は、皮脂で皮膚や被毛がベタつくようになります。また、皮脂に雑菌が繁殖するため、脂ぎった悪臭を発する、ベタついたフケが出る、皮膚のバリア機能が壊れてしまうために発疹や脱毛を生じるといった症状も特徴的です。
乾性脂漏症は皮脂の分泌が少なくなるため、皮膚が乾燥し、パサパサと乾いたフケが出るというのが、おもな症状です。
もうひとつ、猫の脂漏症の症状として気をつけたいものに「外耳炎」があります。これは、脂漏症が猫の外耳に発症することによるもの。外耳炎のおもな症状としてわかりやすいのは、臭いのきつい耳垢がたまることです。痒みもあるため、しきりに耳を気にするようになったり、頭を振ったりするようになります。愛猫にこのような症状が見られたら、ご注意ください。
もちろん外耳炎になる原因はほかにもあります。ただ、脂漏症が原因になり得ることもあることを、この機会にぜひ覚えておきましょう。
次に、猫が脂漏症になってしまう原因について見ていきましょう。
先ほど、脂漏症は「マラセチア皮膚炎」という病名がつくこともあるとお伝えしましたが、これは「マラセチア」という酵母が原因になっていることに由来します。マラセチアは、もともと猫の皮膚に常在しています。通常であれば病気を引き起こすようなことはないのですが、次のような要因により、症状を引き起こす原因になってしまうことがあるのです。
寄生虫や細菌等による皮膚環境の悪化、栄養が偏った食事など不適切な食生活がもたらす体調の変化、ホルモン分泌の異常、マラセチアに対するアレルギー反応などです。
そのほか、遺伝、猫白血病ウイルスに感染することや免疫疾患、肝臓などの内臓疾患との関連も示唆されています。
愛猫が脂漏症と診断されたときの治療方法についても確認しておきましょう。
ひとつは、抗真菌剤を投与してマラセチアの増殖を抑制することです。症状に応じて飲み薬や外用薬が処方されます。痒みや炎症が出ている場合は、そういった症状を軽減するための薬の使用も選択肢のひとつです。
免疫疾患や内臓疾患といった基礎疾患が原因となっている場合は、その治療を優先します。基礎疾患に対処しなければ、脂漏症は改善しないからです。
そのほか、食生活を見直したり、サプリメントを服用したりすることもあります。これらについても、獣医師のアドバイスに従うことが大切です。
なお、皮脂の分泌が過剰となっている脂漏症に対しては、薬用シャンプーという手段もあります。ただ、かえって皮膚の状態を悪化させることもありますし、愛猫に合わないシャンプー剤もあるので、必ず獣医師に相談するようにしましょう。
飼い主さんにできる予防法として、次のことを心がけていきましょう。
ひとつは、健康を維持するために、バランスのとれた食事を与え、適度な運動を促すことです。また、高温多湿の環境は脂漏症を悪化させる恐れがありますので、温度や湿度の管理に気をつけ、快適な生活環境を整えてあげてください。
ノミやダニの駆除薬の使用、適度なブラッシングで、身体を清潔に保つことも効果的な予防法です。殺菌も兼ねて皮膚を清潔にするためには、薬用シャンプーで洗うことも選択肢になります。ただ、治療の項目でもお伝えしたように、合わないシャンプー剤を使うと、症状が悪化することもありますし、そもそも猫の多くは体が濡れることを好みません。ストレスになってしまうこともありますので、シャンプーは獣医師に相談して行うようにしましょう。
犬ほど多くはないものの、猫も脂漏症という皮膚病を発症することがあります。この記事でお伝えしたような症状が見られたら、できるだけ早く動物病院を受診してください。悪化してしまう前に治療することが大切です。
なお、脂漏症が原因で外耳炎になるケースもありますので、耳の状態も定期的にチェックし、清潔が保てるようにケアをしてくださいね。
猫の脂漏症とは
猫の脂漏症とはどのような病気なのか、はじめに概要を説明します。
脂漏症は、皮脂の分泌が過剰、もしくは減少して、皮膚に異常が生じる病気です。皮脂の分泌が過剰になって異常が生じる「脂性脂漏症」と、分泌が減少して異常が生じる「乾性脂漏症」に分類され、「脂漏性皮膚炎」「マラセチア皮膚炎」という診断名で呼ばれることもあります。
なお、犬に比べると猫の発症数は多くはありません。
猫の脂漏症の症状
では、猫の脂漏症は、どのような症状を伴う病気なのでしょうか。犬に比べると猫の発症数は少ないというものの、脂漏症になる可能性はありますので、愛猫の皮膚に異変が見られたときのためにも、しっかり把握しておきましょう。
先ほど、脂漏症は「脂性脂漏症」と「乾性脂漏症」に分けられるとお伝えしましたが、皮脂が過剰に分泌される脂性脂漏症の場合は、皮脂で皮膚や被毛がベタつくようになります。また、皮脂に雑菌が繁殖するため、脂ぎった悪臭を発する、ベタついたフケが出る、皮膚のバリア機能が壊れてしまうために発疹や脱毛を生じるといった症状も特徴的です。
乾性脂漏症は皮脂の分泌が少なくなるため、皮膚が乾燥し、パサパサと乾いたフケが出るというのが、おもな症状です。
もうひとつ、猫の脂漏症の症状として気をつけたいものに「外耳炎」があります。これは、脂漏症が猫の外耳に発症することによるもの。外耳炎のおもな症状としてわかりやすいのは、臭いのきつい耳垢がたまることです。痒みもあるため、しきりに耳を気にするようになったり、頭を振ったりするようになります。愛猫にこのような症状が見られたら、ご注意ください。
もちろん外耳炎になる原因はほかにもあります。ただ、脂漏症が原因になり得ることもあることを、この機会にぜひ覚えておきましょう。
猫の脂漏症の原因
次に、猫が脂漏症になってしまう原因について見ていきましょう。
先ほど、脂漏症は「マラセチア皮膚炎」という病名がつくこともあるとお伝えしましたが、これは「マラセチア」という酵母が原因になっていることに由来します。マラセチアは、もともと猫の皮膚に常在しています。通常であれば病気を引き起こすようなことはないのですが、次のような要因により、症状を引き起こす原因になってしまうことがあるのです。
寄生虫や細菌等による皮膚環境の悪化、栄養が偏った食事など不適切な食生活がもたらす体調の変化、ホルモン分泌の異常、マラセチアに対するアレルギー反応などです。
そのほか、遺伝、猫白血病ウイルスに感染することや免疫疾患、肝臓などの内臓疾患との関連も示唆されています。
猫の脂漏症の治療方法
愛猫が脂漏症と診断されたときの治療方法についても確認しておきましょう。
ひとつは、抗真菌剤を投与してマラセチアの増殖を抑制することです。症状に応じて飲み薬や外用薬が処方されます。痒みや炎症が出ている場合は、そういった症状を軽減するための薬の使用も選択肢のひとつです。
免疫疾患や内臓疾患といった基礎疾患が原因となっている場合は、その治療を優先します。基礎疾患に対処しなければ、脂漏症は改善しないからです。
そのほか、食生活を見直したり、サプリメントを服用したりすることもあります。これらについても、獣医師のアドバイスに従うことが大切です。
なお、皮脂の分泌が過剰となっている脂漏症に対しては、薬用シャンプーという手段もあります。ただ、かえって皮膚の状態を悪化させることもありますし、愛猫に合わないシャンプー剤もあるので、必ず獣医師に相談するようにしましょう。
猫の脂漏症の予防方法
飼い主さんにできる予防法として、次のことを心がけていきましょう。
ひとつは、健康を維持するために、バランスのとれた食事を与え、適度な運動を促すことです。また、高温多湿の環境は脂漏症を悪化させる恐れがありますので、温度や湿度の管理に気をつけ、快適な生活環境を整えてあげてください。
ノミやダニの駆除薬の使用、適度なブラッシングで、身体を清潔に保つことも効果的な予防法です。殺菌も兼ねて皮膚を清潔にするためには、薬用シャンプーで洗うことも選択肢になります。ただ、治療の項目でもお伝えしたように、合わないシャンプー剤を使うと、症状が悪化することもありますし、そもそも猫の多くは体が濡れることを好みません。ストレスになってしまうこともありますので、シャンプーは獣医師に相談して行うようにしましょう。
犬ほど多くはないものの、猫も脂漏症という皮膚病を発症することがあります。この記事でお伝えしたような症状が見られたら、できるだけ早く動物病院を受診してください。悪化してしまう前に治療することが大切です。
なお、脂漏症が原因で外耳炎になるケースもありますので、耳の状態も定期的にチェックし、清潔が保てるようにケアをしてくださいね。
- 監修者プロフィール
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牛尾 拓(ウシオ タク)
経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許