犬の心筋症の症状・かかりやすい犬種・治療法など

2023.04.10
犬の心筋症の症状・かかりやすい犬種・治療法など
犬も心臓にさまざまな異常をきたすことがあります。心筋症は、そんな心臓疾患のひとつです。目立った症状のないまま進行することもあるため、飼い主さんとしても気をつけておきたい病気といえます。そこで、心筋症にかかると具体的にどのような症状が見られるのか、かかりやすい犬種や治療法も含めてお伝えすることにします。どうぞ愛犬の健康維持のためにお役立てください。
目次


犬の心筋症とは


はじめに、犬の心筋症とはどのような病気なのかについて把握しておきましょう。
心臓は、筋肉でできており、心臓の筋肉は「心筋」と呼ばれます。この心筋に、何かしらの原因で異変が生じることがあります。その結果、血液を送り出すポンプ機能が弱ってしまう、というのが心筋症という病気です。

恐いのは、これといった症状が見られないのに進行するケースも意外と多いこと。飼い主さんにとっては注意したい病気のひとつといえます。なお心筋症は、その病態により次のようなタイプに分類されているので、概要だけでも覚えておいてください。
肥大型心筋症
心筋が厚みを増して肥大するのが、肥大型心筋症です。心臓の内腔、いわゆる内側の空間が狭くなるため心臓の拡張や収縮に異常をきたします。そのため、血液の循環がうまくいかなくなってしまうのです。現段階では、原因はわかっていませんが、犬の発症はめったにないと報告されています。
拡張型心筋症
拡張型心筋症の病態は、心筋が薄く伸びてしまうこと。それにより心臓の収縮する力が弱まり、血液の循環に支障が生じます。犬に見られる心筋症の大多数が、この拡張型心筋症です。
発症しやすい犬種が報告されていることから遺伝が原因ではないかという説もありますが、はっきりした原因はわかっていません。
拘束型心筋症
心室の拡張機能に障害が生じるのが、拘束型心筋症です。心臓に必要とされる量の血液が入りにくくなるため、全身に送り出せる血液の量に影響が出てしまいます。ただ、肥大型心筋症と同じように、犬ではめったに見られない症例です。

犬の心筋症の症状


では、犬が心筋症になると、どのような症状が出るのでしょうか。具体的に見ていくことにしましょう。

ほかの病気との見分けが難しい面もあるのですが、まずは、元気がなくなる、食欲が落ちるといった症状です。運動することを嫌がるようになることもあります。また、心臓の働きが弱まり、肺に液体(血液成分)がたまって肺水腫を起こすと、咳や息切れ、呼吸困難といった症状が出るように。時には失神してしまうこともあります。

元気がないだけだとつい受診を先延ばしにしがちですが、やはり早めに動物病院で獣医師の診察を受けることをおすすめします。その症状を引き起こしている原因がわかれば、適切な治療をしてもらえますし、飼い主さんも対処がしやすくなるでしょう。

ただ、冒頭でもお伝えしたように、心筋症の初期段階は無症状であることが多いようです。そのため、知らない間に進行して突然死に至るケースもあることを頭の片隅に留めておきましょう。

心筋症にかかりやすい犬種


次に心筋症にかかりやすいと報告されている犬種についてお伝えします。

心筋症を発症することが多いとされているのは、ドーベルマン、ボクサー、グレート・デーン、ゴールデン・レトリーバー、シェパード、コッカー・スパニエルなどです。

ある程度、犬種が特定されていることから「遺伝が発症の原因になっているのではないか」という説もあります。また、アメリカン・コッカー・スパニエルでは特定の栄養素不足が疑われていますが、現段階では詳しい原因はわかっていません。

犬の心筋症の治療法


愛犬が心筋症と診断されたら、どのように治療するのでしょうか。
残念ながら、変質してしまった心臓の筋肉を治療により回復させることはできません。そのため、愛犬に見られる症状に合わせ、その症状を改善するための内科的治療をするというのが基本です。

例えば、血管を拡張する薬や強心剤を投与するなどして、血液の循環をよくするという方法があります。肺水腫により呼吸に影響が出ている場合は、利尿剤で余分な水分の排出を促すこともありますし、不整脈が出ているときにはその症状を軽減する薬が用いられます。

また、特定の栄養素不足が疑われるアメリカン・コッカー・スパニエルの場合は、不足しているであろうとされる栄養素を投与して経過観察をすることもあります。

治療の一環として飼い主さんにできることもあるので、お伝えしておきましょう。心臓に負担がかかるような激しい運動は避けつつ、症状に応じた適度な運動をするように心がけます。心臓病にかかった犬のためのフードもあるので、獣医師に相談しながら切り替えることも、飼い主さんにできることのひとつです。


お伝えしたように犬の心筋症は、ほかの病気の症状と見分けにくい面があります。初期は無症状のことも多いため変化には気づきにくいかもしれません。それでも、愛犬の様子に何かしら疑わしい症状が見られたときには、早めに獣医師の診察を受けましょう。かかりやすい大型犬種を飼っている場合は、定期的に健康診断を受けることもおすすめします。
監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許




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