犬の関節炎の症状・原因・治療法について解説

2023.04.10
犬の関節炎の症状・原因・治療法について解説
愛犬の歩き方がいつもと違う、そういえば走り回ることがなくなったと気づいたとき、もしかしたら関節炎を発症しているかもしれません。特に、愛犬が高齢期に入ろうとしている、すでに高齢期となっているのであれば、より注意が必要です。人間にも見られる関節炎ですが、犬の関節炎とはどのような疾患なのでしょうか。症状や原因、治療法について解説します。
目次




犬の関節炎とは


関節炎とは、関節組織に炎症が起きている状態のことです。炎症を起こしていますから、相応の痛みがあります。

ここで、関節炎について理解を深めるためにも、関節組織とは何であるかについて掘り下げてみましょう。まず「関節」についてです。関節とは、骨と骨のつなぎ目の部分を指します。つなぎ目がどんな役割をするのか、人間の体を例にして考えてみましょう。

もし私たちの足の骨が、足のつけ根からかかとまで1本の状態になっているとしたら、どうなるでしょうか。当然ながら、足を曲げることができません。歩く動作や走る動作に制限がかかることは、容易に想像がつきます。

足のつけ根とかかとの間に複数の骨があり、骨と骨を関節がつないでくれたらどうでしょうか。足を自由に曲げられるようになり、歩くことも走ることもスムーズです。犬の場合も同じで、関節があるからこそ、歩いたり走ったり、時にはジャンプしたりという動きができるようになります。

しかし関節は、直接、骨と骨が接しているわけではありません。硬い骨と骨が接していたのでは、動くたびに骨どうしがこすれ合い、すり減ってしまいますし、痛みも感じるでしょう。そのため関節は、骨を守りながらスムーズに動けるように働く、軟骨などの組織で構成されています。

とは言っても、長い間に渡って関節を酷使し続けたり、思わぬ衝撃を受けたりすると、軟骨もすり減りますし、関節組織にも影響が及ぶ可能性があります。その結果、炎症が起きてしまうことがあるのです。

炎症は、関節のある場所ならどこでも起きる可能性があります。犬の場合は、前足につながる肩関節、肘関節、手根関節、後ろ足につながる股関節、膝根関節、足根関節のいずれかが好発部位です。

犬の関節炎の症状


犬の関節炎では、次のような症状が見られます。

歩くときに足を引きずったり、足を上げたり、かばうような仕草をしたりというのが、ひとつ。そのほか、散歩に行こうとすると激しく抵抗する、歩くスピードが遅い、これまでスムーズに上れていた段差や階段に上れなくなるといったことも関節炎で見られる症状です。もしかしたら、飼い主さんの目から見て明らかな腫れが確認できることもあるかもしれません。この場合も、関節炎が疑われます。

いずれにしても、歩き方や動き方にいつもと違う様子が見られるのは、愛犬の体に何かしらの異変が起きている証拠と考えて対処することが大切です。

なお関節炎は、寒さや気圧の変化により痛みが強くなることがあります。ふだんは痛そうな素振りを見せなくても、急に冷え込んだ朝や大きな台風が近づいているときに痛そうにしていたら、関節炎の可能性も探ってみましょう。

犬の関節炎の原因


どうして犬は関節炎になってしまうのでしょうか。その原因について、見ていきましょう。
まずは、関節に負担がかかることが挙げられます。どのようにして負担がかかるのか、その筆頭が加齢によるものです。加齢は、長年の疲労や負担が蓄積されるということでもあります。そのため、年をとればとるほど発症しやすくなりますし、実際のところ関節炎は、高齢の犬によく見られます。

そのほか、激しく運動をしすぎて関節に負担がかかってしまったというケースもありますし、肥満の犬では体重を支えるために負担がかかり炎症を起こすこともあるのです。

関節にかかる負担以外では、感染症が原因になることもあります。これは、ケガなどの外傷がきっかけとなり、関節の中にまで細菌が入り込んで炎症を起こすというもの。また、稀ではありますが、免疫異常などの原因で、自ら関節組織を攻撃して炎症を起こしてしまうというケースもあります。

犬の関節炎の治療法


さて、犬が関節炎を患ったときには、どのような治療が行われるのでしょうか。
とても残念なことですが、壊れてしまった関節組織は元に戻すことができません。そのため治療では、基本的に痛みをやわらげること、進行を遅らせることに主眼が置かれます。

軽度であれば、まずは安静に過ごしてみることが最初の選択肢です。症状によっては、炎症や痛みを抑える内服薬や注射を使用します。肥満の場合は、適度な運動や食生活の改善など、生活習慣を見直していくことも大切な治療の一環です。軟骨成分を補うサプリメントが処方されることもあります。

症状が重い場合は、関節を固定したり人工関節を入れたりといった外科手術での治療もありますが、愛犬の体に負担がかかりますから、獣医師とよく相談することが大切です。


犬の関節炎は加齢も原因となるため、なかなか予防しにくい面があります。愛犬は言葉で痛みを訴えることができませんから、飼い主さんが早めに気づいてあげることが大切だといえます。愛犬の歩き方がいつもと違う、痛そうにしているといった様子が見られたら、獣医師に相談してみてください。飼い主さんの気づきで、愛犬を痛みから解放してあげましょう。
監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許



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