犬のてんかんはどんな症状? 原因・治療方法など
2022.12.01
愛犬が突然けいれん発作を起こした! 目の前でそんなことが起きたら、飼い主さんは冷静ではいられないでしょう。けいれんの原因となる病気はいくつか考えられますが、そのひとつに「てんかん」があります。犬がてんかんを患った場合、どのような症状が出るのでしょうか。この記事では、てんかんの原因や治療方法について解説します。
犬は人間と同じように、脳の信号伝達機能により、体を動かしています。てんかんは、この信号伝達機能に何かしらの乱れが生じ、体の部分的なけいれんや全身に及ぶけいれん、時には意識障害を繰り返し起こしてしまう病気です。発作を繰り返す頻度はまちまちですが、通常は時間が経つと元の状態に戻ります。
てんかんの特徴として覚えておきたいのは、「繰り返す」ということです。けいれんを起こしたのが1回限りであれば、てんかんと診断されることはあまりありません。脳に明らかな原因が見つからないケースと、脳に明らかな原因が見つかるケースが見られます。
もう少し掘り下げて解説すると、てんかんは「特発性てんかん」と「症候性てんかん」の2つに分けることができます。
「特発性てんかん」は、血液検査や画像診断など、いろいろな検査をしてもてんかんの原因が見つからない場合に診断されるもので、原因は特定できないものの、遺伝的要素が影響しているのではないかと考えられています。一方の「症候性てんかん」は、脳炎や脳腫瘍など、てんかんを誘発する病気があって引き起こされている可能性がある場合に診断されます。
犬に多く見られるのは「特発性てんかん」ですが、「症候性てんかん」も含め、いきなり症状が出ることが一般的です。そのため、残念ながら予防は難しい病気と把握しておいてください。
ちなみに、てんかんはどんな犬にも起こる可能性のある病気ですが、特にかかりやすいといわれている犬種には、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ビーグル、シェットランド・シープドッグ、ボーダー・コリー、プードルなどが挙げられます。
次に、犬のてんかんの症状について具体的に見ていきましょう。症状は、全身に見られるものと、体の一部に見られるものに分けることができます。
全身症状は、けいれんや体全体の硬直、犬かきのように手足を動かすなどが特徴です。多くの場合、犬は意識を失っています。体の部分的に見られる症状は、顔や足に見られるけいれん、ひきつりやこわばり、ふらつき、大量のよだれなどです。こちらは全身症状とは異なり、意識を失うことはあまりありません。
このような症状の出るてんかんですが、発作はたいてい数分以内でおさまります。そのため、すぐに命に関わることはない場合もありますが、1日に複数回の発作が起きたり、数分以上も発作が続いたりするときは重篤な症状であるといえます。脳に後遺症が残る可能性や命に関わる恐れもありますので、速やかに動物病院を受診しましょう。
先ほどもお伝えしたように、てんかんは原因が明らかなものもあれば、原因が不明なものもあります。しかし、「特発性てんかん」は、かかりやすい犬種があることから、遺伝的な要素が大きいのではないかと考えられています。
「症候性てんかん」は、脳炎、脳梗塞、水頭症など脳に関する病気のほか、外傷、腎臓病、肝臓病などほかの病気が原因となっています。つまり、病気の影響により、二次的にてんかんの症状が出ているということです。
愛犬がてんかん発作を起こしたとき、特に初めてのときは飼い主さんも動揺してしまいがちです。だからこそ、どのように対処すればいいのか、しっかりと確認しておきましょう。
けいれんなどの発作を起こしているときは、体を無理に押さえつけたり揺さぶったりしないようにします。愛犬が動き回っているようであれば、家具に体をぶつけたり段差から落ちたりしないように、周囲の環境に気を配りながら見守りましょう。
同時に、獣医師に伝えるために、どのような発作が起きているか、持続時間はどのくらいかなど愛犬の様子をよく観察して記録しておいてください。可能なら動画で撮影すると、獣医師にも伝わりやすくなります。そのほか、発作の前の行動、発作がしずまった後の様子など、気になったこともメモしておきましょう。
犬のてんかん治療は、基本的には抗てんかん薬を投与することで行われます。目指すのは、発作の発生頻度を少なくすることと、症状を軽減することです。
また、「症候性てんかん」の場合は、原因となっている病気の治療を優先します。
犬のてんかんについて、どのような症状が起こるかを把握すると同時に、発作が起きたときの対処法も覚えておくと、いざというときに安心です。愛犬の苦しそうな様子を見ると、つい抱きしめたり動かないように押さえたりしたくなりますが、発作がおさまるまでの数分間は触らずに見守るようにしてください。愛犬に危険のないように配慮しながらきちんと記録を取り、発作がおさまったら動物病院の診察を受けてください。
犬の「てんかん」とは?
犬は人間と同じように、脳の信号伝達機能により、体を動かしています。てんかんは、この信号伝達機能に何かしらの乱れが生じ、体の部分的なけいれんや全身に及ぶけいれん、時には意識障害を繰り返し起こしてしまう病気です。発作を繰り返す頻度はまちまちですが、通常は時間が経つと元の状態に戻ります。
てんかんの特徴として覚えておきたいのは、「繰り返す」ということです。けいれんを起こしたのが1回限りであれば、てんかんと診断されることはあまりありません。脳に明らかな原因が見つからないケースと、脳に明らかな原因が見つかるケースが見られます。
もう少し掘り下げて解説すると、てんかんは「特発性てんかん」と「症候性てんかん」の2つに分けることができます。
「特発性てんかん」は、血液検査や画像診断など、いろいろな検査をしてもてんかんの原因が見つからない場合に診断されるもので、原因は特定できないものの、遺伝的要素が影響しているのではないかと考えられています。一方の「症候性てんかん」は、脳炎や脳腫瘍など、てんかんを誘発する病気があって引き起こされている可能性がある場合に診断されます。
犬に多く見られるのは「特発性てんかん」ですが、「症候性てんかん」も含め、いきなり症状が出ることが一般的です。そのため、残念ながら予防は難しい病気と把握しておいてください。
ちなみに、てんかんはどんな犬にも起こる可能性のある病気ですが、特にかかりやすいといわれている犬種には、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ビーグル、シェットランド・シープドッグ、ボーダー・コリー、プードルなどが挙げられます。
犬のてんかんの症状
次に、犬のてんかんの症状について具体的に見ていきましょう。症状は、全身に見られるものと、体の一部に見られるものに分けることができます。
全身症状は、けいれんや体全体の硬直、犬かきのように手足を動かすなどが特徴です。多くの場合、犬は意識を失っています。体の部分的に見られる症状は、顔や足に見られるけいれん、ひきつりやこわばり、ふらつき、大量のよだれなどです。こちらは全身症状とは異なり、意識を失うことはあまりありません。
このような症状の出るてんかんですが、発作はたいてい数分以内でおさまります。そのため、すぐに命に関わることはない場合もありますが、1日に複数回の発作が起きたり、数分以上も発作が続いたりするときは重篤な症状であるといえます。脳に後遺症が残る可能性や命に関わる恐れもありますので、速やかに動物病院を受診しましょう。
犬のてんかんの原因
先ほどもお伝えしたように、てんかんは原因が明らかなものもあれば、原因が不明なものもあります。しかし、「特発性てんかん」は、かかりやすい犬種があることから、遺伝的な要素が大きいのではないかと考えられています。
「症候性てんかん」は、脳炎、脳梗塞、水頭症など脳に関する病気のほか、外傷、腎臓病、肝臓病などほかの病気が原因となっています。つまり、病気の影響により、二次的にてんかんの症状が出ているということです。
犬がてんかん発作を起こした場合の対処法
愛犬がてんかん発作を起こしたとき、特に初めてのときは飼い主さんも動揺してしまいがちです。だからこそ、どのように対処すればいいのか、しっかりと確認しておきましょう。
けいれんなどの発作を起こしているときは、体を無理に押さえつけたり揺さぶったりしないようにします。愛犬が動き回っているようであれば、家具に体をぶつけたり段差から落ちたりしないように、周囲の環境に気を配りながら見守りましょう。
同時に、獣医師に伝えるために、どのような発作が起きているか、持続時間はどのくらいかなど愛犬の様子をよく観察して記録しておいてください。可能なら動画で撮影すると、獣医師にも伝わりやすくなります。そのほか、発作の前の行動、発作がしずまった後の様子など、気になったこともメモしておきましょう。
犬のてんかんの治療方法
犬のてんかん治療は、基本的には抗てんかん薬を投与することで行われます。目指すのは、発作の発生頻度を少なくすることと、症状を軽減することです。
また、「症候性てんかん」の場合は、原因となっている病気の治療を優先します。
犬のてんかんについて、どのような症状が起こるかを把握すると同時に、発作が起きたときの対処法も覚えておくと、いざというときに安心です。愛犬の苦しそうな様子を見ると、つい抱きしめたり動かないように押さえたりしたくなりますが、発作がおさまるまでの数分間は触らずに見守るようにしてください。愛犬に危険のないように配慮しながらきちんと記録を取り、発作がおさまったら動物病院の診察を受けてください。
- 監修者プロフィール
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牛尾 拓(ウシオ タク)
経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許