犬の毛並みや毛艶が悪くなる原因と対策
2022.11.11
ふさふさ、つやつやしていた愛犬の毛並みが、なんだかゴワゴワしてきたし艶も悪くなってきた…これは決して珍しくないことですが、飼い主さんとしては心配ですよね。愛犬の毛並み、毛艶が悪くなる原因を知り、原因に合った対策をしていきましょう。
犬の毛並み・毛艶が悪くなる原因
愛犬の毛並みや毛艶が悪くなる原因は、どういったものなのでしょうか。原因はひとつではなく、いくつかのことが考えられますので、該当するものがないかチェックしていきましょう。
もし愛犬がシニアと呼ばれる年齢になっているのであれば、毛並みや毛艶の悪さは、いわゆる老化によるものかもしれません。毛並みや毛艶が悪くなったことが、愛犬の老化を知るきっかけとなることもよくあります。人間も年とともに毛髪や皮膚の状態が変化していきますが、老犬も同じ。人間の白髪のように毛の色が白っぽくなったり、毛の質が変わったりします。
年齢はまだシニアの域には達していないという場合は、栄養不足に陥っているのかもしれません。子犬や成犬の健康には、総合的にバランスの取れた栄養が必要不可欠ですが、好きな食べ物ばかりを与えたり、おやつのような食事が続いたりすると、毛並みや毛艶を保つために必要な栄養が不足してしまいます。皮膚、筋肉、骨、毛などトータルで健康な体をつくるためには、栄養バランスの取れた食事が大切です。
そのほか、ストレスも毛並みや毛艶を悪くする原因になるので、注意しましょう。運動不足や引っ越しなどによる環境の変化、季節の変化などがストレスとなることもあります。
また、ノミやダニなどの寄生虫が皮膚のトラブルを引き起こし、毛並みや毛艶が良くない状態になってしまうこともあるでしょう。寄生虫がつくのは、定期的なブラッシングやシャンプーなど、日ごろのお手入れが不足している可能性もありますので、思い当たる節はないか、振り返ってみましょう。
ここまで挙げた原因に該当するものがないという場合は、病気が原因になっているかもしれません。病院を受診して、診察してもらいましょう。毛並みや毛艶に影響が出る代表的な病気としては、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症などがあります。
犬の毛並み・毛艶を改善するための食事
食事に配慮することは、愛犬の毛並みや毛艶の改善に効果が期待できます。まずは、丈夫な皮膚や毛をつくるもとになる良質のタンパク質がとれる食事にしていきましょう。タンパク質には植物性と動物性がありますが、犬は肉食動物ですので動物性タンパク質のほうが合っています。
さらに、皮膚を乾燥から守り、毛の質や艶を保つ必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルを組み合わせて栄養バランスを整えてください。この機会に、与えているドッグフードの栄養成分を確認してみてはいかがでしょうか。不足している栄養素に気づくことができるかもしれません。
犬の毛並み・毛艶を改善するためのケア
愛犬の毛並みや毛艶をよくするためには、食事の栄養バランスをよくすることと同時に、日ごろのケアも欠かせません。
ブラッシングはできれば毎日するようにします。毛のほつれや汚れが取れるだけでなく、皮膚を刺激して血行を促進しますし、飼い主さんとのコミュニケーションにもつながります。乾燥して毛艶が失われているときには、保湿スプレーを使いながらブラッシングをしてもいいでしょう。シャンプーは月に1〜2回が目安です。
なお、ケアをするときは、力加減には十分に気をつけましょう。犬の皮膚は人間よりも薄いので、力をこめてブラッシングしたりシャンプーをしたりすると、皮膚を傷めてしまいかねません。これでは、毛並みや毛艶が改善するどころか、皮膚のトラブルを引き起こしてしまいます。シャンプーや保湿スプレーも、刺激の少ないものを選ぶことがポイントです。
犬の毛並み・毛艶をよくするための対策と注意点
愛犬の毛並みや毛艶が悪く、いろいろと対処してみたけれど改善が見られないというときには、病気が原因となっているかもしれません。また、明らかに元気がない、食欲が落ちている、便の状態がいつもと違うというときも、病気の可能性があります。飼い主さんの目から見て「いつもと様子が違う」というときは、動物病院を受診して必ず獣医師に相談することが大切です。
病気ではなかった場合でも、動物病院では愛犬の状態に合わせてサプリメントの紹介をしてくれたり、アドバイスがもらえたりします。食事や日ごろのケアで思うほどの改善が見られないときは、獣医師に相談してみましょう。
愛犬の毛並みや毛艶が悪くなる原因と対策についてお伝えしました。栄養バランスの偏り、日ごろのケア不足、老化、病気など、いくつかの原因が考えられますが、心がけたいのは愛犬の様子をよく観察し、思い当たる原因に合った対策をすることです。必要なときには動物病院で獣医師に相談しながら、毛並みや毛艶を整えてあげてくださいね。
- 監修者プロフィール
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牛尾 拓(ウシオ タク)
経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許