老犬がかかりやすい腎臓病とは? 原因や予防・治療法など

2022.10.31
老犬がかかりやすい腎臓病とは? 原因や予防・治療法など
老犬の腎臓病は、よく見られる病気のひとつです。症状としてわかりにくいため、知らない間に進行してしまうケースが多いことが特徴です。しかし、あらかじめ腎臓病の知識を得ておけば早期発見につながりますし、予防に努めることもできるはずです。また腎臓病との診断を受けた後も、適切に対処できるようになります。
この記事では、老犬の腎臓病について説明しますので、しっかりと確認しておきましょう。
目次

犬の腎臓病の原因


老犬の腎臓病は、何が原因で発症するのでしょうか。腎臓病は「急性腎障害」と「慢性腎臓病」に分類されるので、それぞれについて説明します。

急性腎障害は、短期間のうちに腎臓の働きが低下する疾患です。原因としては、いくつかのことが指摘されていますが、よくあるケースは飼い主さんが常用している薬、庭にまいた除草剤など、犬にとって毒となる物質を摂取してしまうこと。

そのほか、大量出血や脱水症状を起こしたときも、腎臓に血液や酸素が供給されなくなり急性腎障害を発症することがあります。また、結石ができて尿管が閉塞することも原因のひとつです。

一方の慢性腎臓病は、徐々に腎臓の働きが低下していく疾患です。原因は多岐にわたるのですが、例えば腎臓に起きた炎症などにより、徐々に腎臓がダメージを受けること。急性と異なり進行はゆるやかですが、年齢とともに発症する確率は上がっていきます。

犬の腎臓病の症状


次に症状を見ていきましょう。急性腎障害と慢性腎臓病では異なる症状が見られます。

急性腎障害の場合は、突然ぐったりして意識が低下する、呼吸が荒くなる、下痢や嘔吐、脱水などの症状が見られます。尿に関しては、量が急激に減る、もしくは、まったく排尿がないことも。痙攣が起きることもあり、注意が必要です。

慢性腎臓病の症状として顕著なのは、水を飲む量が増え、尿量も増えること。そのため、尿の色は薄くなる傾向にあります。そのほか症状が進行している老犬の場合、食欲不振や体重の減少、便秘や下痢症状、そして痙攣を起こすことも。特に痙攣は症状末期に起きやすいので、早急な受診が必要です。

老犬の腎臓病の注意点


老犬の腎臓病で注意したいことを確認しておきましょう。急性腎障害の症状が見られた場合は、命を落とす危険があるので、一刻も早く受診することです。

慢性腎臓病はゆるやかに進行することもあり、初期の段階では症状がわかりにくいとされています。老犬の場合、気づいたときにはかなり症状が進行していたということも多く、その場合、失われてしまった腎臓の機能を治療で回復させることは難しいといえるでしょう。

ただ、そのことを念頭に置いて細やかな観察を続ければ、ちょっとした体調の変化を感じやすくなります。気になることがあったら、早めに受診して尿検査や血液検査をしてもらいましょう。定期的な健康診断も有効です。

犬の腎臓病の治療法


急性腎障害の場合は原因により治療法が異なるため、ここでは、多くの犬に見られる慢性腎臓病について説明します。

具体的な治療法は進行の度合いによりますが、観点は同じで「現在の腎臓の機能をできるだけ維持すること」です。そのひとつとして推奨されているのが食餌療法で、タンパク質の量を抑える、リンやナトリウムの量を調節するといったことで対処します。腎臓のケア用に調整されたドッグフードを、動物病院の獣医師のアドバイスのもと食べさせるといいでしょう。

ただ、老犬の場合、硬いフードでは食べにくかったり、フードが変わることをいやがったりすることもあります。その場合は、フードを温めたり、やわらかくふやかしたりして、食べやすくする工夫をしてみてください。もしくは、腎臓ケア用の液体フードやサプリメントを利用してもいいでしょう。通常のフードにかけてやわらかくすることもできますし、シリンジで直接与えることもできます。

慢性腎臓病の治療でもうひとつ気をつけたいのが、脱水症状にならないようにすることです。通常の飲み水だけで不十分な場合は、点滴治療で水分を補います。

さらには、腎臓の働きをサポートする目的で、投薬治療が行われることも。特に老犬は、腎臓以外の内臓も衰えてくるので、普段の様子をよく観察して獣医師に伝え、指示を仰ぐことが大切です。

犬の腎臓病は予防できる?


腎臓病を完全に予防する方法は確立されていないのですが、日々の生活を予防につなげることはできます。

まず、食事は塩分を控えて栄養バランスが良いものを与えるようにしましょう。水もいつも新鮮なものが飲めるようにしておきます。運動で体を動かすことも、健康維持のためには大切です。ただし、老犬の場合は無理をせずに。

また、日ごろから老犬の様子をよく見ること、定期的に健康診断を受けることも、予防につながります。腎臓病は、尿検査や血液検査で発見されることもあるので、ある程度の年齢になったら獣医師に相談してみてください。


慢性腎臓病は老犬に多く見られる症状です。ふだんから老犬の様子を気にかけ、腎臓病が疑われる症状に気づいたら、動物病院を受診して獣医師に相談しましょう。症状に気づいたときには、かなり進行していることもあるので、早めの受診を心がけてくださいね。
監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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