【獣医師監修】猫の鼻づまりの原因・解消法とは?動物病院に行くべきケースも解説

「猫がフガフガと苦しそうな音を出している」「鼻水が続いていて心配」「病院へ連れて行くべきか迷っている」と悩んでいませんか。
猫の鼻づまりは、猫風邪や鼻炎による一時的な症状だけでなく、腫瘍や歯周病などの病気が原因となっている場合もあります。また、鼻づまりが続くことで食欲不振や口呼吸を引き起こし、体調悪化につながることも少なくありません。
本記事では、猫の鼻づまりの見分け方や主な原因、動物病院を受診すべきケース、自宅でできる対処法や予防法まで詳しく解説します。愛猫の異変に早く気付くためにも、ぜひ参考にしてください。
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猫の鼻づまりの見分け方
猫の鼻づまりは、見た目だけでは気付きにくいことがあります。しかし、呼吸音や普段の様子を観察することで、異変に気付ける場合も少なくありません。
特に、呼吸時に「ブーブー」「フガフガ」「ピーピー」といった音が聞こえる場合は、鼻づまりが起きている可能性があります。ただし、猫がリラックスしているときに鳴らす「ゴロゴロ音」と似ていることもあるため、音だけで判断するのは難しい場合があります。
鼻づまりかどうか迷ったときは、音とあわせて喉元が小刻みに震えているかも確認してみましょう。ゴロゴロ音であれば喉の周辺に振動を感じることが多い一方、鼻づまりによる異音では振動がはっきりしない場合があります。ただし音だけで正確に判断することは難しいため違和感が続く場合は、鼻水やくしゃみ、呼吸の様子や食欲、元気の有無なども含めて観察することが大切です。
猫の鼻づまりの原因
猫の鼻づまりは、単なる風邪だけでなくさまざまな原因によって引き起こされます。鼻水が増えて鼻の通りが悪くなるケースもあれば、腫瘍や歯の病気が関係していることもあります。
原因によって必要な治療や対処法は異なるため、まずはどのような病気や異常が鼻づまりにつながるのかを知っておくことが大切です。ここでは、猫の鼻づまりの主な原因について解説します。
鼻炎・鼻水
猫の鼻づまりで最も多い原因の一つが鼻炎です。鼻炎になると鼻の粘膜に炎症が起こり、鼻水の分泌量が増加します。さらに鼻水の粘度が高くなると、うまく鼻の外へ排出できず、鼻腔内にたまって鼻づまりを引き起こすことがあります。
鼻炎は、猫風邪とも呼ばれるウイルス感染症や細菌感染によって発症することがあります。特に猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスによる上部気道感染症は、くしゃみや鼻水、鼻づまりの代表的な原因です。
また、真菌感染症の一種であるクリプトコッカス症によって鼻炎が起こることもあります。さらに、稀にアレルギー反応が慢性的な鼻づまりに関与する可能性もありますが、猫の鼻づまりでは感染症や慢性鼻炎など他の原因がより一般的です。
屋外に出ることがある猫の場合は、草の種や植物片などが鼻腔に入り留まることで、急なくしゃみや片側性の鼻水を起こすこともあります。
鼻咽頭ポリープ、鼻腔内の腫瘍
猫の鼻咽頭ポリープは炎症性ポリープと考えられており、非腫瘍性の病変ですが、鼻咽頭の粘膜から発生した場合に鼻づまりや開口呼吸などの症状が見られることがあります。罹患年齢は2歳以下の若齢で比較的多く見られますが、成猫でも発生することがあります。
また、まれではありますが、鼻腔内に腫瘍ができることで鼻の通り道が塞がれ、鼻づまりが生じることがあります。
初期は片側だけの鼻水や鼻づまりとして現れることもありますが、進行すると呼吸音が大きくなったり、鼻血が出たりする場合もあります。特に高齢猫で症状が長期間続く場合は注意が必要です。
猫の鼻腔内腫瘍は発生頻度こそ高くありませんが、発見された場合は悪性腫瘍であるケースも少なくありません。鼻炎と似た症状が続く場合は、画像検査などによる詳しい診断が必要になることがあります。
口腔内疾患(歯科疾患)
歯周病や歯の根元の感染症などの口腔内疾患が、鼻づまりの原因になることもあります。特に上顎の歯根感染や口鼻瘻(こうびろう:口と鼻がつながってしまう状態)では、炎症や感染が鼻腔へ波及して鼻水や鼻づまりを引き起こすことがあります。
歯垢や歯石の蓄積によって歯の根元に膿瘍ができると、その膿が鼻腔へ広がり、鼻づまりや鼻水を引き起こす場合があります。症状が進行すると、膿や出血を伴う鼻水が見られることもあります。
また、生まれつき鼻の構造上、鼻づまりを起こしやすい猫種も存在します。特にエキゾチック・ショートヘアやペルシャなどの短頭種は鼻腔が狭いため、軽い炎症でも鼻づまりを起こしやすい傾向があります。
猫の鼻づまりでよくあるトラブル

猫の鼻づまりは、「少し呼吸がしづらそう」というだけで済むとは限りません。鼻が詰まることで食事や呼吸に影響が及び、体力の低下や体調悪化につながることがあります。
特に食欲不振や口呼吸は、飼い主が気付きやすい重要なサインです。ここでは、猫の鼻づまりによって起こりやすい代表的なトラブルを解説します。
ご飯を食べなくなる
猫は人よりも嗅覚に頼って食べ物を認識する動物です。そのため、鼻づまりによって匂いを感じにくくなると、食欲が低下することがあります。
普段はよく食べるフードなのに急に興味を示さなくなったり、ご飯の前までは来るものの食べなかったりする場合は、鼻づまりが関係している可能性があります。
また、食欲不振が続くと十分な栄養や水分を摂取できなくなり、体力低下や脱水につながる恐れもあります。特に子猫や高齢猫では体調悪化のスピードが早いため注意が必要です。
なお、「ご飯を食べない」「元気がない」といった症状は、鼻づまり以外のさまざまな病気や環境などが原因となっていることもあります。
「猫がご飯を食べない・元気がないときの原因と対処法」の記事も参考にしてください。
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猫がご飯を食べない・元気がないときの原因と対処法
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口呼吸になる
猫は本来、鼻で呼吸する動物であり、安静時に口呼吸をすることはほとんどありません。そのため、口を開けて呼吸している場合は何らかの異常が起きているサインと考えられます。
特に鼻づまりが重度になり、鼻から十分に空気を取り込めなくなると、呼吸を補うために口呼吸をすることがあります。呼吸が荒い、舌を出して呼吸している、苦しそうに見えるといった症状がみられる場合は注意が必要です。
口呼吸は鼻づまりだけでなく、呼吸器疾患や心疾患など重篤な病気によって起こることもあります。口呼吸が見られた場合は様子見をせず、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
猫の鼻づまりは動物病院に行くべき?
猫の鼻づまりは、一時的な鼻炎などが原因で軽症に見えることもあります。しかし、猫は不調を隠す習性があるため、見た目には元気そうでも症状が進行しているケースがあります。
また、鼻づまりの原因によっては自然に改善することもありますが、感染症や腫瘍、歯の病気などが関係している場合は治療が必要です。そのため、鼻水や鼻づまりの症状が数日以上続く場合や、食欲低下・元気消失・呼吸異常を伴う場合は動物病院を受診しましょう。
特に注意したいのが、鼻水に血が混じる場合です。鼻の粘膜の炎症だけでなく、鼻腔内腫瘍などの重い病気が隠れている可能性もあるため、できるだけ早めに受診しましょう。
また、生後6か月未満の子猫に鼻水や鼻づまりの症状がみられる場合も注意が必要です。子猫は体力や免疫力が十分ではなく、食欲低下による栄養不足や脱水を起こしやすいため、症状が軽く見えても早期の診察が推奨されます。
さらに、食欲不振や元気消失、口呼吸、発熱などを伴う場合は、鼻づまり以外の病気が関係している可能性もあります。症状が長引く場合や悪化している場合は様子見をせず、早めに動物病院を受診しましょう。早期に原因を特定して適切な治療を受けることが、猫の負担を減らすことにつながります。
猫の鼻づまりの解消法
猫の鼻づまりは原因によって治療法が異なりますが、症状を和らげるために自宅でできる対策もあります。ただし、根本的な原因が感染症や腫瘍などの場合はセルフケアだけでは改善しません。鼻づまりが続く場合は動物病院を受診したうえで、補助的なケアとして取り入れることが大切です。
部屋を加湿する
空気が乾燥すると鼻の粘膜も乾燥し、鼻水が固まりやすくなるため、鼻づまりが悪化することがあります。特に冬場やエアコンを使用する時期は室内が乾燥しやすいため注意が必要です。
加湿器を使用したり、室内に洗濯物を干したりして適度な湿度を保つことで、鼻の粘膜の乾燥を防ぎやすくなります。ただし、湿度が高すぎるとカビや細菌の繁殖につながるため、40〜60%程度を目安に管理しましょう。
ネブライザー治療を受ける
ネブライザー治療は、動物病院で行われる鼻づまりの補助治療の一つです。専用のケージやボックスの中に猫を入れ、水分や薬剤を霧状にして噴霧し、自然に吸い込ませます。
治療時間や方法は動物病院によって異なることがありますが、10~15分程度が一般的で、鼻腔内や気道の保湿、薬剤の吸入による症状の緩和が期待できます。特に鼻炎や猫風邪による鼻づまりの際に実施されることがあります。
ただし、ネブライザー治療だけで原因が治るわけではありません。感染症や口腔内疾患など原因に応じた治療と併せて行うことが重要です。
猫の鼻づまりの予防法

猫の鼻づまりは、すべてを予防できるわけではありません。しかし、日頃から健康状態を観察し、感染症対策や定期的な健康チェックを行うことで、異常の早期発見や重症化の予防につながります。
特に猫は体調不良を隠す傾向があるため、飼い主が小さな変化に気付くことが重要です。ここでは、猫の鼻づまり予防のために心掛けたいポイントを紹介します。
日頃から観察する
猫の鼻づまりを早期に発見するためには、普段から鼻の状態を観察する習慣をつけましょう。
鼻水が出ている場合は、透明なのか、黄色や緑色なのか、血が混じっていないかなど、色や量を確認することが大切です。透明な鼻水でも長期間続く場合は注意が必要です。
また、くしゃみの回数が増えていないか、呼吸時に「ブーブー」「ピーピー」といった異常な音がしていないかも確認しましょう。以前と比べて変化が見られた場合は、動画やメモで記録しておくと、動物病院を受診した際に症状を正確に伝えやすくなります。
定期検診やワクチン接種を怠らない
鼻づまりの原因となる感染症の中には、ワクチン接種によって予防や重症化予防が期待できるものがあります。そのため、動物病院で推奨されるワクチンプログラムを継続することが大切です。
また、定期健康診断を受けることで、飼い主が気付きにくい病気を早期に発見できる可能性があります。特に歯周病などの口腔内疾患は鼻づまりの原因になることがあり、進行するまで症状がわかりにくいケースも少なくありません。
さらに、高齢猫では鼻腔内腫瘍などの病気のリスクも高まるため、定期的な健康チェックが重要です。
猫の鼻づまりについてよくある質問
猫の鼻づまりについては、「どの猫でも起こるの?」「病院ではどのような治療をするの?」など、さまざまな疑問を持つ飼い主さんも多いでしょう。ここでは、猫の鼻づまりに関してよく寄せられる質問について解説します。
鼻づまりが起こりやすい猫種は?
猫の鼻づまりはどの猫にも起こる可能性がありますが、特に鼻が短い「短頭種」は鼻腔の構造上、呼吸音が大きくなったり鼻づまりを起こしやすかったりする傾向があります。
代表的な猫種としては、エキゾチック・ショートヘア、エキゾチック・ロングヘア、チンチラ、ヒマラヤン、ペルシャなどが挙げられます。
これらの猫種では、軽い鼻炎でも症状が目立ちやすいことがあります。そのため、普段から呼吸音や鼻水の有無を確認し、異変に気付いたら早めに動物病院へ相談することが大切です。
動物病院ではどのように治療する?
猫の鼻づまりは症状そのものを抑えるだけでなく、原因に応じた治療を行うことが基本です。
例えば、猫風邪などの感染症では、症状を和らげる治療や二次感染を防ぐ治療が中心となります。原因によっては抗菌薬や抗ウイルス薬が使用される場合もあります。鼻腔内の炎症が強い場合は、ネブライザーによる吸入治療を行うこともあります。
また、腫瘍や歯周病などが原因の場合は、それぞれに応じた専門的な治療が必要です。鼻づまりはさまざまな病気のサインとして現れることがあるため、症状が続く場合は自己判断せず、原因を特定するためにも動物病院を受診しましょう。
まとめ 猫の鼻づまりは原因の見極めが重要
猫の鼻づまりは、鼻炎や猫風邪による一時的な症状だけでなく、鼻腔内腫瘍や歯周病などの病気が原因となっていることがあります。また、鼻づまりによって食欲不振や口呼吸が起こり、体力低下や脱水につながる場合もあるため注意が必要です。
軽度の症状であれば室内の加湿などで負担を和らげられることもありますが、根本的な改善には原因に応じた治療が欠かせません。特に鼻血が混じる場合や子猫の鼻づまり、口呼吸を伴う場合は早めの受診が推奨されます。
日頃から鼻水の有無や呼吸音、食欲の変化を観察し、異常を感じたら早めに動物病院へ相談しましょう。早期発見・早期治療が、愛猫の健康を守るための大切なポイントです。
- 監修者プロフィール
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岩谷 直(イワタニ ナオ)
経歴:北里大学卒業。大学研修医や企業病院での院長、製薬会社の開発や学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許



